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怠惰の神候補   作者: タイト
番外編 ドワーフの里、その後
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一難去ってまた一難

アレックスの一人称が、俺から僕に変わっていますがミスではありません。

「かわせっ! ロゼッタァァァァァァ!!」

 シリウスの叫びとほぼ同時に、ロゼッタは熱線に襲われ見えなくなった。



「はわぁぁぁあああ、ロ、ロゼッタ様ぁぁぁぁああああ……」

「――――戻るぞ、バール」

 もうもうと立ち上る土煙、その向こうにロゼッタの姿はなかった。


「し、しかし「ここにいても意味はない、行こう」」

 

 敵はすでに同士討ちにより全滅している、だが安心してはいけない。

 土偶の巨人達は、朝が来るまで何度でも出現し続けるのだから。


「どうして……こんな事に…………」

「ひどいのだぁ、あんまりなのだぁぁ」

「くそっ! オイラがもっと早く動いていれば!」

 シリウスは無事、仲間達と合流する事ができたが一同の表情は当然のように暗かった。

 ロゼッタと同じパーティーに所属していたニダリーに至っては、涙さえながせぬままただただ焦点の定まらない眼のまま立ち尽くしていた。


「シリウス様、お気を確かに。今は生き残る事だけを考えましょう、彼女の犠牲を無駄にしてはなりませぬ……」

 唯一取り乱していなかった執事のロドリエスが、戻ってきたシリウスをやさしく迎え入れた。彼は元は軍人だった、仲間の死を受け入れる事に慣れてしまったのかもしれない。



「お前達、いったい何を言ってるんだ? 人を勝手に殺すなよ」


 完全にお通夜モードの仲間達に対して、シリウスは言い放った。



「そうよ、人を勝手に殺さないで頂戴、痛っ!」

「「「「ロゼッタ! なんで、どうして!?」」」」


 信じられないような顔で、そこに現れた女性ロゼッタを見つめる一同。

 服も髪も焦げ跡が残り、皮膚に火傷ができていたが確かに彼女は生きていた。

 そして、彼女の隣にはもう一人……。



 彼女の隣には、肩を貸しながら歩く自称(・・)勇者のアレックスの姿があった。


 そうロゼッタの命は、アレックスの手により救われていたのだ! 救われていたのだが……。


 その姿は攻撃を受けていたはずのロゼッタよりも悲惨で、全身泥まみれの埃まみれ、頭は焼けてちりちりになり、膝はがくがくと笑っていた。


 そのみっともない姿を見て、ポラリスが指をさしながら腹を抱えて笑い出した。

 たとえ子供とはいえ、命の恩人を笑われた事にロゼッタは腹を立てた。ポラリスに対して謝罪を要求したロゼッタだったが、他でもないアレックス自信がそれを拒否した。


「いいんだ、みんなが無事なら僕は満足さ」

 彼の表情は、彼の膝と同じぐらい楽しげであった。

 


 ――ガクガクガクガクガクガクガクガク!!!


「あっはっはっは、震えすぎなのだアレックス」

「違うぞこれは! 地s――」


 次の瞬間、シリウス達の足元がガラガラと崩れ去り、その下にあった巨大地下空洞に落下していった。

 そして入水、落ちた先には巨大地底湖があった。


「ヤベエ、全員陸にあがれぇ! 今襲われでもしたら、ひとたまりもねえ!」

 ディアークに従い、陸地まで泳ぎ出ると落下してきた穴のほうを見た。

 そこには復活した巨人達の姿があったが、こちらをのぞき込むばかりで降りてくるそぶりは見せなかった。


「ひゅぅ、助かったぜ、ここはダンジョン領域外みたいだな」

「ダンジョン!? ここはただのサバンナとは違うのか?」

 ディアークに詰め寄るシリウス。


「おお悪ぃ、戦闘とは関係ないんで言ってなかったけどよ、ああ、この辺はずいぶん昔に生まれたダンジョンだ。あの巨人達は、ここが生み出したモンスターだぜ」


「なるほど……ん? どうやらこの地下空洞が本来の地面のようだな、ダンジョン領域が覆いかぶさるように成長して今の形になったようだ」

 シリウスは、土の具合から予測を立てた。


「そんな事より、早く上に戻ろうぜ」

「そうだな。みんな、上まで駆け上がるぞ、隊列をそろえて一気に――」

 シリウスが上に戻ろうと号令をかけたのだが、ただ1人ゴンゴンだけは空洞の奥のほうをただ、じいっと見つめていた。


「そういや、ここのダンジョンコアって、まだ見つかってないんだよな。もしかして、この奥とコア部屋がつながってたりしてな! ……そう都合のいい話はねえかぁ、なはは……がぁ! やべえ!」

「どうした! ――なっ!? 全員奥へ逃げ込めぇぇぇ!」


 馬鹿笑いしようとしたディアークは、顔を上げた先で巨人達がこちらに向けて熱線を放とうとしているのを目撃した。

 シリウスもすぐさまそれに気が付き、逃走の指示を出した。直撃こそ避けられたものの出入り口である縦穴が崩落し、地下空洞内に閉じ込められてしまった。


「おいおいあいつら、ビームのチャージのために固まってただけだったじゃねえか! どこの誰だよ、ここはダンジョン外なんて言った奴は!」

「「「お前だろ、ディアーク!」」」

 一同の激しい突込み。


「アルドラ、【ライト】だ。こうなったら、奥に進むしかないぞ」

「わおん!」

 アルドラの両目がひかり、前方を照らし出した。


 光に照らし出された光景に、その場にいた誰もが度肝を抜かれた。

 地下空洞の奥には、村が丸々一つ飲み込まれていたのだ。


「やはりそうだったのか……」

 そしてゴンゴンの次の言葉で、一同は再び度肝を抜かれる事となる。


「この村は……オレの故郷の村だ!」

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