第6話 ネタバレ、ルークが勝つ
3度目の人生開始から2ヶ月が経過した。
今日は父ルークの、18歳の誕生日だ。声の張り、身長や体つきのせいでもっと大人だと思っていたら、俺の精神年齢と同い年だったらしい。
ちなみに母ナタリーは16歳だって、俺より年下なんだってさ。
俺の誕生日もすごかったみたいだけど、ルークの誕生日はもっとすごいな、というかこんな毎回毎回パーティー開いて大丈夫なんだろうか……予算とか。
まあ俺は庶民として生活してきたからな、その辺の常識のずれとかを理解して勉強していかないと、絶対後で後悔するんだろうな……頑張ろう。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ルーク!」
「領主様!」
突然、ワインを口にしたルークが苦しみだし床に倒れた。
「全員その場を動くなぁぁぁ!」
会場にいた警備の人間が声を張り上げ、それに従うようにみんな動きを止めた。
分かったぞ、犯人はこの会場内にいる!
「隊長! 屋敷の外に怪しげな人物が、こら大人しくしろ」
あっ……外でしたかそうですか。
怪しい男の正体は、例の偉そうな男ジースだった。彼の所有物から毒物が発見され、なぜそんな物を所持していたのか問いただしたところベラベラと喋りだした。
「そんなのは決まっている、権力のありどころを正すためだ! 何故領主の弟であったわしではなく、あんな青二才が家督を継ぐのだ、可笑しいではないか!」
「それが、前領主ルミナス様の意思でございます」
「黙れ! 使用人風情が!」
その後もジースは、先日の襲撃を企てた犯人が自分だという事や、自分の娘とルークをくっつけて権力を握ろうとした事などを、それはそれは自慢げに話した。自分はこんなすごい作戦を思いついたんだ凄いだろう、とでも言いたげな顔をしていた。
「ふんぎゃあ! ふんぎゃあ!」
「な、なぜガキがまだ生きている! 放っておいたデッドコブラはどうした!?」
始末しましたが何か?
はははは、はぁ、あの人小物過ぎて可哀そうになってきた、ギャグマンガのように吹っ飛んでお星さまになってほしい。
なあパパさん、寝てないでさっさとこいつを何とかしておくれよ。
「よっと、ジース叔父様、あなたにはがっかりしましたよ」
「き、貴様なぜ生きている」
「こんな毒で、僕が死ぬとでも」
ジースの所持していた毒を、ジュースのようにぐびぐびと飲み干したルーク。
会場の空気が殺人犯への怒りから一変、まるでいたずらに失敗した子供を憐れむような感情で埋め尽くされたように感じた。
「フェフォ、フェフォ」
終いには曲芸用に連れてこられていた、キルモーフにまで心配され慰められる始末。それがとどめとなったのか、彼は膝から崩れ落ちた。
そして、変化が始まった。
「ぐぬぬぬぬぬぬぅぅぅ、愚民共がぁ、馬鹿にしやがって、コケにしやがって、何故だぁぁぁぁぁぁ!! 何故あいつが選ばれた! 何故わしは選ばれなかったぁぁぁぁぁぁ!!」
セミが成虫に変化するようにジースの背中が大きく裂け、そこから巨大な何かが迫り出してきた。
「力に飲まれたか……行くぞサバ―ナ!」
ルークの叫びを合図に、パーティー会場は戦場へと姿を変えた。