第59話 黒竜は体は強いけど、火を吐くのは赤竜のほうが得意だぞ
今回は短めだったので、次回は早めに投稿の予定です。
「ちくしょう、なんなんだよあいつら! 団長を殺されて悔しくねえのかよ!」
イオルムガルド王都のはるか上空に、若き黒竜の叫びがこだました。
「逆にお前は平気なのか、1人で飛び出してきて? えっと、ホルン?」
「ノルンだ! 間違えんな、人間!」
そして、はるか上空を行くノルンの背には、プレアデスの姿があった。
先刻、王都からの砲撃を退ける事に成功したプレアデスは、王都に殴り込み……もとい話し合いの場を設ける為に再び動き出した。
その際にプレアデスに同行する事を申しでたのが、この若い竜ノルンだった。
どうやら彼は、プレアデスの実力を目の当たりにし、その力を利用して団長殺しの復讐を果たそうと考えたようだ。
当然、他の黒竜達も同じように力を合わせる……事はなかった。
ノルンを除く他の竜達は、
『人間と組むぐらいなら死んだほうがまし』
その意見を一切曲げる事はなかった。
プレアデスの想像以上に、竜と人の溝は深いらしい。
「本当はオレだって人間と組むなんてごめんだ、ヘドが出るぜ! けどさぁ、団長の敵を討てないのはもっとごめんだ!!
お前と組んだら絶対に勝てる、お前を利用して王牙団長の敵を討ち終わったら、最後はお前を八つ裂きにしてやるから覚悟しとけよ!!!」
「………………はい」
ノルンの発言に対して、いろいろ言いたくなったプレアデスだったが、逆に面倒な事になるだろうと思い言葉をひっこめた。
敵陣の上空にもかかわらず、結構のんきした様子の2人。
あれほど苛烈な攻撃を加えてきていた王都側が、
なぜ今は攻撃を仕掛けてこないのか?
それどころか、竜族の接近を認知していながら、
なぜ今だに王都住人達は避難の1つも開始していなかったのか?
2人まだ、その不可解な状況に気づいてはいない。




