第5話 パパは最強のライバル
「こくこくこく、けぷぅ」
「いい子ね、プレアデス」
食事、なう。
謎の襲撃事件から1週間、何もできず時間だけが過ぎていった。
エミリアと母親を含め5人体制で常に俺は世話を焼かれる、そんな状態で派手な行動がとれるはずもなく、俺は普通の赤ん坊と同じように成長していった。
今の気分を例えるなら、高校生が一桁の足し算を懇切丁寧に教えられてる気分だ。折角知識を引き継いだまま生まれ直したんだから、もっと高度な事がしたい!
ん? 誰だ廊下を走り回ってるのは。この部屋にまっすぐ向かってくるぞ……まさか!
「ナタリー、プレアデス、聞いてくれ外での仕事の引継ぎが完了したんだ! これでしばらく、家族一緒にいられるぞ!」
「良かったわねルーク、じゃあさっそくこの子とお昼寝してきてはどうでしょう」
「それは名案だ、行こうプレアデス!」
な~んだ、うちの父親か、てっきりまた誰かが襲撃してきたのかと思ったぞ。
というか領主の仕事って、他人に任せていいもんなのか? 普通は子供の世話を他人に任せるのが、貴族のやり方だと思うんだが…………俺の世話したせいで領地が滅んだなんて事になったら、末代までの恥、いや俺が末代になりかねない。
「【サーチ】…………こんな所に盗聴器が、抜け目のない奴らめ」
寝室に入るなり、ルークは魔術を発動させた。
あっぶねぇ、寝室に盗聴器なんて仕掛けられてたのか、勇み足でエミリアに正体を明かしてたら、多分奴らの仲間に会話がダダ漏れになるところだったぜ。
「はぁ……警備の人間の再教育を手配しないとな、こんなすぐ調べて分かるような魔道具1つ発見できないなんて」
俺の世話役の人間が奴らの仲間の可能性だってある、そこもちゃんと確認してくれよ。
「大丈夫だプレアデス、僕が絶対守ってやるからな。戻ってきて正解だった、まずは警備指導の見直しと、不審人物の情報収集、それからそれから――」
父ルークは、ぶつぶつ言いながら出ていった。
俺を置き去りにして!
まいっか、ちょうど1人でいろいろ練習したかったし、仕掛けられてた盗聴器も破壊されたみたいだし。
プレアデスが自主練に励んでいる頃、ルークはペットのメスライオン、サバーナと共に屋敷を回っていた。盗聴器発見の報告と、警備員の配置の確認を行っているようだ。
「主よ、あの男は放置してよいのか」
サバ―ナがルークに尋ねた。
「彼も僕と同じ神候補の1人だ、今後の返答次第では仲間に引き込む」
「主のお力なら、仲間など不要なのでは?」
「サバ―ナ、自信を持つ事と驕り高ぶる事は別物だよ。1人より2人、2人より3人の方が強い、当たり前の事じゃないか」
「あの男が役に立つとは到底思えませんが……」
サバ―ナは不服そうな様子だ。
「だから今、自由な時間を与えて強くなるチャンスを与えてるんじゃないか」
「なるほど……どこまで主に迫れるか、見ものですね」
その後も1人と1匹は、ナタリーに発見され、寝室に連れ戻されるまでの間、それはそれは優雅に屋敷内を散策したそうな。