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怠惰の神候補   作者: タイト
新大陸編(前編)
39/74

第39話 最強は誰だ! 英雄と勇者、激突!

「そうだシリウス、今から模擬戦やらないか?」

「お、いいねえ、お前達はどうする、なかなかないチャンスだと思うぞ」


「やってやるのだ! ギッタンギッタンにしてやるのだ」

「う~ん、ポーちゃんがやるなら」

 シリウスの問いかけに、ポラリスとミルザムが答えた。


 というわけで俺達は現在、宿にある修練場に来ている。

 

 アルドラの騒ぎの後、アレックスとシリウスは意気投合し、互いの武勇伝を語り合っていた。

 そのうちに各戦闘における戦法や戦術の話になり、武器の良し悪しや魔術の活用法の話になり、目の前に技を試せる相手がいるし実戦で試そう、という流れになったわけだ。



「おいおい、何か向こうが騒がしいな」

「おれ聞いたぜ、何でもヘブンズゲートとスーパーノバの連中がやりあうんだってよ!」

「マジかよ、最前列で見学しねえと!」

「邪魔だどけい! 最前列は俺様が頂いた!」

「フェフォフォー(ポップコーンいらんかねー)」

「フェルフォフォー(ドリンクもあるよー)」

 噂を聞き付けた宿の利用者達が、試合を見ようと修練場まで集まってきた。


「【守護方陣】でござる」

 忍者さんは、観客達に被害が出ないように結界を張り、安全地帯が分かるように印をつけ始めた。ただ相手はあのシリウスとアレックスだ、この人の結界で防ぎきれるんだろうか?


「ちょっと失礼、ゴンゴンさん、あれやりましょう!」

「あれ……そうだな、やってやろうか!」

 あれというのは、先日身に着けた俺とゴンゴンさんによる連携必殺技だ。単純な技ながらその威力は絶大で、練習で試したときにはシリウスの【ルシファー・キャノン】を相殺する事に成功した。


「受けて見ろ! 【ディバイィィィィィィン――」

 俺はゴンゴンさんの足首をつかみ、ジャイアントスイングの要領で回り始めた。


「ハンマァァァァァァ!】」

 そして回転の勢いが最大限まで高まったところで、ゴンゴンさんの両拳を結界に向けて叩きつけた! 俺の生み出す回転エネルギーとゴンゴンさんの持つ馬鹿力が合わさり、結界はミシミシと音を立てて砕け散った!


「……というわけで、シリウスは【ルシファー・キャノン】禁止で」

「そうか、ならこの銃も最大出力で撃たない方がいいかもしれないな」

 シリウスは、両手の中にある二丁の銃を眺めながらそう答えた。


 て、あれ? シリウスはさっきまで竜族の里に行ってたはずだ、何で調整中といっていたはずの銃がここにあるんだ? そうか、ドワーフの里に戻ってきたときに受け取ったんだな。


 そんな俺の予想は、外れていた。


「俺の銃は特別製でな、ドワーフではなくリザードマンに調整してもらっているんだ」

「な! リザードマンにも武器職人がいるのか!?」

「ああ、彼らの皮膚は熱に強いし、鉱石も住処のそばでとれる。……あまり大きな声では言えないが、俺は正直リザードマンの方が職人として優れていると思ってる。この里の現状を知り、その思いはさらに強くなったぞ」


 何故だか理由は知らないがシリウス達が前回立ち寄った時より、この里の職人の腕は明らかに落ちているらしい。

 たしかに普通の鍛冶屋に比べれば、腕があることは間違いない。が、しかし、かつて魔王ベルゼブブを討ち滅ぼした聖剣エクスカリバーを筆頭に不滅剣デュランダル、イージスの盾等を生み出した人間の子孫の腕前かと言われれば首をかしげずにはいられない。


 俺は彼らの技術力を当てにして、ここまで来たんだ。もし彼らの腕が本当に落ちぶれているんだとしたら、装置の謎も、その先にあるビーストの足取りもテニシラさんの行方も振出しに戻る事になる。


「……一体何が起こっているんだ?」

「知りたいでござるか? この国で何が起こったか」

「忍者さん、知ってるんですか、あなた!」

「拙者はここに住んでるでござる、といっても2年前に引っ越してきたのでござるが……ともかく、職人達に降りかかった悲劇について、そこの話は拙者にも出来るでござるよ」


「じゃあ教えて「おっと! 情報は立派な商売道具でござる。自分の足で探しまわるか、拙者の出す条件をのむかのどちらかでござる」」


 確かに、今のは俺が軽率だった。情報屋なんて職業が成立するように情報とは商品だ、今の俺の発言は、彼が持つ金の卵をかすめ取ろうとする行為に他ならない。


「アレックス、よろしく頼むぞ」

「こちらこそ、シリウス」

「おっと、試合が始まるでござる、結界を張り直さねば。例の件は、このあとで」


 俺をこの場に残して、バールとルノワそしてゴンゴンさんが外で聞き込みをするために動き出していた。俺はここで彼らの戦いから技を盗む、バール達は今後に備えて情報をつかむ、それが今の俺達の最善だと、そう考えている。


 試合開始の合図と共に、世紀の対決が幕を上げた。

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