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怠惰の神候補   作者: タイト
新大陸編(前編)
38/74

第38話 キルモーフは、訓練次第で多種多様なスキルに目覚める(異世界豆知識)

「ここは冒険者の宿でござる」

「アイエエエエ!「シンク君どうした!」……忍者がいたものでつい癖で」


 冒険者の宿、五右衛門は、転生以来の和風な雰囲気の宿だった。

 そこで俺達を出迎えてくれたのは、忍者装束に身を包み目元にゴーグルの様な物を装着し、肌の露出が0パーセントの男性だった。


「驚かせてしまい申し訳ない、拙者は全身にひどい火傷を負っているため、このような姿でしか人前に出られぬでござるよ」

「そうなんですか、てっきり忍者が宿をやってるのかと」

「むむ? 拙者は正真正銘忍者でござるよ、きちんと里で修練に励んでいたでござる」

 ツッコミどころの塊みたいな人だな……。


「ところで、俺達泊まるところを探してるんですが、この宿って魔獣の連れ込みは可能でしょうか?」

 俺は、外で待っているアルドラの説明をした。


「もちろんでござる、ここは冒険者の宿、テイマーの来客も織り込み済みでござる」

「だそうです、ゴンゴンさんはどう思います?」

「テイマー用施設がある宿は少ないし、他を探して日が暮れてしまうようだと外の彼らがかわいそうだ。うん、オレもここにするべきだと思う」


 というわけで、しばらくこの宿を拠点にする事になった。

 シリウス達の事情が分からず、こちらといつ合流できるかはっきりしないため、広間を1室借りる事にした。これなら部屋が埋まってシリウス達が泊まれない、なんてことを心配しなくて済む。


「くぅ~ん」

「こらアルドラ! そっちは人の家、宿はこっちだ」


「おいおいなんだあれ」

「なんかのショーか?」

「おれらも行ってみようぜ!」


 慣れない土地でビビりまくるアルドラを、宿まで誘導しようと奮闘していると、里の住人や冒険者達が群がってきた。人だかりが怖いのか、アルドラは体を丸めて動かなくなってしまった。


「しょうがない、ゴンゴンさん頼みます」

「よいしょっと、こらこら暴れるんじゃない、大人しくするんだ」

「ほ~れアルドラ、ビスケットはここですぞ~」

「はっはっはっは、わおーん!」


 餌やら何やらで気を引き、ゴンゴンさんが無理やり宿まで持ち運ぶ。

 まさかアルドラが、こんなに憶病だったとは。飼い主のシリウスがそばにいないせいもあるだろうが、それにしたってこれは問題あるんじゃなかろうか。

 

 だが騒ぎが起こった事で、アレックス達も近くまで来ていた。怪我の功名、これは話しかける絶好のチャンスだ。


「もしやあなた方は、スーパーノヴァのアレックス様ではありませんか?」

 さっそく、バールが行動に移していた。


「ええ……もしやあなた方はヘブンズゲートの!?」

「はい、シリウス様と旅をさせて頂いております」

「おお! それは何という偶然、良ければ旅の話を聞かせていただけませんか!」

 何というか、若干騙してる感が出ている気もするが、嘘はついてない。


 ともかく、シリウス達と連絡をとろう。仲間が出来るかどうかは、あちらにとっても重要な事のはずだからな。



「すみません、竜族の里にいるシリウスまで1本」

「フェフォフォフォー(通話料をこちらにお願いします)」

「あ、どうも」


 というわけで、俺は連絡用キルモーフの前にいる。

 彼らキルモーフは、仲間同士でテレパシーを送ることが出来る。その習性を利用して生まれたのが、目の前にあるキルモーフ電話だ。

 通常キルモーフのテレパシーは4000メートルほどしか届かないが、彼ら電話キルモーフはテイマーに訓練され、その距離を10倍近く伸ばしている。


 ヘブンズゲートのメンバーは全員、キルモーフ電話が通じる通信機を所持している、これで直接シリウスと話ができるはずだ。この事実に宿をとる前に気が付いていれば……いやきっとたぶんシリウスもここに泊まるはずだ! 恐らく。

 キルモーフは全身を微振動させながら、体をシャカシャカと揺らし始めた。


「こちらシリウス、どうぞ」

 ……俺の、真後ろから声が聞こえてきた、俺の知らない間に戻ってきていたらしい。見知らぬ女性が2人も一緒にいた、彼女達が例のポラリスとミルザムだろうか。


「フェフェルフォ?(通話を延長しますか?)」

「いや、もういいです」

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