第37話 勇者様との再会
「陸だ、陸が見えてきたぞ!」
「もう着いたのか、意外と早かったな」
ラルティーモ王国を飛び立ち、俺達はマッハ3という速度で海を渡ってきた。アルドラの背中の上では結界が常時展開され、優雅で快適な空の旅を楽しむことが出来た。
そして今、俺達が降り立とうとしている大地がイオルムガルド王国、言いづらいので大抵は東大陸やでかい島、ドワーフがいるところ、など結構適当に呼ばれている。
地球でいうオーストラリアのように、大陸全体を1つの国が治めていて、水資源、鉄資源共に豊富な土地として有名だ。
そんな事を考えていると、いつの間にか着陸まで完了していた。
街中で動きづらいアルドラとルノワにはこの場に待機してもらい、バールにはその護衛をしてもらう事になった。
街には俺達4人で向かい、今後の活動拠点となる宿屋の確保や、この国での目的達成のための情報収集を行う事になった。
最優先目標はビーストからテニシラさんを救出すること、その次に天力吸収装置の開発者の調査、そしてオリハルコン装備を作ってもらう職人探しだ。
早速俺達はドワーフの里で、宿屋探しに――。
「おっと、ポラリスからの通信だ……予定変更、俺達は竜族の里に向かう」
「何かあったのかシリウス?」
「俺の仲間にこの島の火山活動の調査と、俺の銃を調整に出すように頼んでいたんだが、調査の方で少々厄介な問題が起こったらしい」
そう言って、シリウスとロドリエスは、竜族の里がある火山地帯へと向かった。
「シンク君、彼は竜族と言っていたが、ここにはドラゴンが住んでいるのかい?」
「ええそうです、そもそもこの国は竜族が支配していた土地なんです。そこに後から人族がやってきて、竜達を人が住めない山奥まで追いやったんです」
両主族の領土争いは、それはそれは凄まじいものであったと教科書に書かれていた。戦争が激化していく中で、最終的にはドワーフの生み出した兵器が竜族を敗北に導いたとされている。
まあ、当時を知る奴はいないし、この話がドワーフの株を上げるための捏造の可能性も捨てきれないけどな。
だが歴史がどうであれ、彼らの技術力が抜きんでている事は紛れもない事実だ、目的達成のためにも彼らの協力を得られるように頑張らないとな。
……その前に宿の確保だな。
さーてと、長期滞在可能でグリフォンの乗り入れが可能な宿はどこかな~と。
「ちょっと、頼んでたのと全然違うじゃない、これ!」
「うるせぇ! 魔導士の杖なんてちゃちな物注文しやがって、おれ様の腕はもっとごつい戦士の為にあるんだよ! 作ってやっただけ感謝しやがれ!」
里の中を進んでいると、近くから大声が聞こえてきた。
気になって近くまで行ってみると、ガタイのいい武器屋の店主と、魔導士の女性が言い争いをしていた。
その女性には見覚えがあった、爆炎のロゼッタ、クローリアで出会った冒険者の1人だ。昔と変わらず、いやさらに磨きのかかったいい足をしている。
「ロゼッタ、杖の方は……これは?」
「あ、アレックス、あんたも言ってやってよ、このおっさんに杖を作り直すように!」
「おお、そっちの兄ちゃん! あんた剣士だろ、おれ様の腕を貸してやってもいいぜ!」
「お断りだ! ロゼッタ、他の店に行こう」
ロゼッタの元にやってきた男は、見習勇者アレックス。彼とは昔共闘したことがある、そのとき俺が弱かったばっかりに、敵のダブルラリアットに仲間諸共巻き込まれて大ダメージを負わせてしまった。
現在彼は、ロゼッタを含めた4人でパーティーを組み、世界中を旅して修行に明け暮れているらしい。知名度ではシリウス達ヘブンズゲートに劣るが、実力は彼らの方が上である……と俺は睨んでいる。
「ああもう最悪、いい杖が手に入ると思ってここまで来たのに、値段が高いばっかりでたいしたことない品ばっかりじゃない!」
「ドワーフの技術力は、俺の知らない間に大きく衰退していたようだな、残念だよ」
2人はとぼとぼと、里の中心を目指して歩きだした、恐らく自分達の宿に戻るのだろう。
「シンク君、どうなっているんだ? 話が随分違うようだが」
「……分かりません、何か大変な事が起こってるのかもしれないです」
もしかしたら、たまたま偶然アレックス達が外れの店を引いただけかもしれない。そうだ! 分からないなら本人達に聞けばいい、彼らの方が俺達より先に来てたみたいだし里の状態を教えてもらおう。
俺達はアレックス達を追いかけて、五右衛門、という名前の冒険者向けの宿にたどり着いた。
前作では名無しだった勇者様に、名前が着きました(適当)。




