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怠惰の神候補   作者: タイト
犯罪組織撃滅編
31/74

第31話 正義の使者再来

ゴンザレスは、前作の19話に登場します。

 謎の研究施設、そこに俺達は降り立った。


「見ろよ見て見ろよ、きっとここがビーストのアジトだ! どうだホントにあっただろう、な、な! な!!」

 確かに怪しい、情報が少ないせいでアジトかどうかは断言できないが、危険な施設なのは間違いなさそうだし、村の騎士団に報告して調査して――。



「ん~~ま~ま~……ま~ま~」

 この後の行動を考えていると、ルノワが勝手に施設の奥へと走って行ってしまった。彼女はママ、ママと叫んでいた……まさかテニシラさんか、それともキルモーフか!? 彼女がここにとらえられているのか?


『俺はルノワを追う、誰か騎士団へ連絡を頼む』

「おれもおれも、この奥からお宝の匂いがするんだ」

 俺とロロエルは、ルノワを追いかけて奥へと進む事になった。


 ルノワの足は想像以上に速いうえ、体を軟体化させ障害物や扉を無視してずんずん進んでいくせいで、なかなか距離が縮まらなかった。ロロエルの開錠スキルが無かったら、今よりもっと手間取る事になったかもしれない。

 ……いや、壊せばいいだけだしあんまり変わらないか。


 そしてたどり着いたのは、いくつも牢屋が並んだ部屋だった。

 見た目には綺麗だったが、こびりついた死臭や糞尿の臭いのおかげで、ここがどれだけひどい場所であったか容易に想像できた。


「ま~ま~、ま~ま~!」

「誰もいねえな?」

 ルノワが見つめる先には、空っぽの牢屋があった。


「おい見ろプレア、こっちの机になんか資料が残ってるぞ。え~っと、お、この絵の奴って絶対あいつだよな、目玉でかいし。多分、ここに囚われてた奴の情報だろうな」

 パラパラと資料をめくっていくと、そこに俺が探していた顔があった。傷跡が残った顔、セクシーの口元、テニシラさんの資料がここにあった。

 ……キルモーフは一緒じゃなかったのか? 雪原地帯で事切れたのか、それとも道中ではぐれたのか、まさか資金稼ぎで売ったとかいうなよ俺達の恩芋虫を。


 多分ルノワとテニシラさんは、何かの理由でここの奴らに捕えられ、ルノワだけ恐らく通風孔を抜けて外に出てきたんだ。そこで俺と再会して、ここまでついてきたんだな、きっと。



「はっはっは侵入者どもめ、我が正義の鉄槌で砕け散るがいい」

『な? お前は!?』


 ――ゴシャァァァ

 声の主が打ち付けてきた拳をとっさに避けると、拳の勢いで巻き上げられた埃がもうもうと宙を舞った。

 俺はこの男を知っている、スキンヘッドの頭、上半身をむき出しにしたその恰好。


『ゴルゴンゾーラ、死んだんじゃなかったのか!』

「ゴンザレスだ! 正義の使者ゴンザレス様だ、間違えるんじゃない!」


 そうそう、ゴンザレスね。

 各地で騒動を起こしてきた犯罪者で、クローリアの騎士団に捕えられてコロシアムで見世物にされながら首を跳ね飛ばされたゴンザレスさんね。


 ……何で生き返ってんの?


「どうだい、ここまで見てきて気が付いているとは思うが、ビーストの持つ技術力は素晴らしい物だろう。私はそれらを守るため、人類の未来の為に日夜働いているのだよ」

 あ、やっぱりここが基地なんだ、調べる手間が省けたよ。


『技術? 生憎俺達は頭が悪くてね、ここがどれだけ素晴らしい場所なのか理解できなかったんだ。ゴンザレス……さん、無能な我々にここがどういう場所なのか教えていただけませんか?』

「いいだろう、君のその謙虚さに免じて特別にこの正義の使者である私が教えて進ぜよう。ここは……究極の生物を生み出すための場所だ、正義の化身である私もここで生まれた」


『究極の……生物?』

「そうだとも、各地に点在するビーストの活動拠点、そこでは日々生物の、再生、複製、進化、合成を繰り返し、世界を完全なる平和へと導く究極の生命体を生み出そうとしているのだ」

 おおそれは凄い、俺も応援するよ……本当に平和利用するならな。


『まさか、クレアもここで生まれたのか?』

「クレア? 例のレプリカシリウスの事かな? ああそうだ、彼の毛髪から肉体を生成、ここの所長の能力で得た記憶をコピーした実験体だ。所長が騎士団に捕えられたため、施設の設備を輸送していたところで逃げ出されてしまったのだよ」


 騎士団に捕らえられた所長? まさかあの悪徳商人か!? なるほどな、孤児院を買収してもっと大きな施設を建築しようとしてたんだ。だとすると、ゴンゴンさんを襲った魔族達も、ビーストとつながりがあったのかもしれないな。


「さて、ここで愚かな君達にクイズだ、何故私は侵入者である君達にこんな情報を渡したと思う?」

『貴方が割といい人だから』

「はっはっは、不正解だよお馬鹿さん。何故なら君達はここで死ぬからさ!」


 周囲にあった牢屋が天井に吸い込まれ、広い広い空間が生まれた。

 まるで闘技場のように変化したその空間には、ゴンザレスと同じ姿をした戦士達が俺達を取り囲むようにして並んでいた。


「へへ、どうせ全部でくの坊だろ、束になってかかってきやがれ!」

『ロロエル、いっとくがゴンザレスは偽シリウスより強いからな』

「……まじでっ」

『安心しろ、全部俺が相手してやるから……』


 ゴンザレス、まさかあんたとこんな形で戦う事になるなんてな。

 かつての俺は、あんたを集団で囲んで袋叩きにする事でしか戦えなかった。


 さあ、俺の2年間とあんたの2年間、どっちが強くなったか勝負だ!

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