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怠惰の神候補   作者: タイト
ラルティーモ入国編
24/74

第24話 犯罪組織を潰しに行こう

「う、あああ、ああ」

 何者からか攻撃を受け、ロロエルは腹から血を流して倒れていた。

 まさか他の神候補がどこかにいるのか? 急いでこの場を去るべきか、周りを警戒すべきか、敵の目的はなんだ、もしライバルを蹴落とす事が目的なら俺達も危ないぞ。


「プレアデス様、お怪我は?」

「シンク君、何もここまでしなくても!」

「いた~い、いた~いの?」

『誰かが狙ってるかもしれない、警戒態勢!!』

「「!!」」 「?」


 しかし、それらしい反応は俺の【サーチ】の範囲にはない。俺の思い過ごしだろうか、だったらなぜロロエルはこんな怪我をしたんだ? 本人に聞いてみるのが早いが回復魔法は消耗が激しい、敵がいるかもしれない状況でむやみに使うのはあまりに危険すぎる。


「いた~い、いた~い、がぶっ!」

「ぎゃぁす!」

『ルノワ、なにを!』

 突然ルノワがロロエルの腹に牙を突き立て、どくどくと何かを流し込み始めた。一瞬消化液かと思ったが、ロロエルから苦悶の表情が消え、出血が収まった事で、それが止血薬と痛み止めであった事が分かった。



「悪党の他に魔族までいたのか……おいお前、そいつらはお前の仲間か?」

 突然頭上に影が差し、誰かの声が聞こえてきた。顔を上げるとそこには、巨大なグリフォンに人間が2人乗っていた。グリフォンはゆっくりと着陸し、乗っていた人間もグリフォンの背から降りてきた。


 現れたのは執事風の老人と、綺麗な黒髪と黒い瞳をした若い男だった。


「ひっ!」

 ルノワが驚いて、俺の後ろに隠れた。ルノワの方がでかいので、ほとんど隠れられてないが。


「これはこれは、ヘブンズゲートのお二方、今日はどのようなご用件で?」

「ヘブンズゲートだって! 世界各地を回り、荒ぶるドラゴンや民を苦しめる魔族共を駆逐して回っているという冒険者パーティーじゃないか! まさかこんな所で出会えるなんて」

 バールの呼びかけに、ゴンゴンさんが反応した。


 ちなみに、彼らヘブンズゲートはかつてクローリアで起こった、買い占め事件のきっかけとなったパーティーでもある。彼らに一切責任はないはずなのだが、逆恨みで彼らの命を狙い返り討ちにされた冒険者が何人もいるそうだ。



「俺達は今、そこの男を始末するためにここに来た。そいつは行く先々で、盗みや破壊活動を繰り返している大罪人だ、大人しく引き渡してもらおうか!」

『男?』

「そこに寝そべっている、妙な格好してる奴だ!」

『ロロエルさん……』

「趣味だよ、わりいかよ……」


『悪いに決まってんだろコラァァ! 盗みや破壊活動はどうでもいい、俺が巻き込まれてないからな。けど、そんな恰好で俺に近づいてきた事は絶対許せん! さっきの戦闘中、ちらっとスカートの中が覗けたときに感じたこの、若干胸が高鳴るような感覚をどうしてくれんだボケェェェ!!』

 俺は、病み上がりのロロエルを蹴り飛ばし、向こうに差し出した。


 ――ブォン

 シリウスは、【オーラブレイド】をロロエルに向けた。


「ちょちょちょちょ、待った! おれがあれこれやってたのは、ちゃんと理由があるんだって、アジト! そう、犯罪組織のアジトを探し出すためだったんだよ!」

「見苦しいな、そんな嘘までついて」

「ホント、ホントだって、ほらこれ地図! アジトの場所の! この場所を突き止めるために、いろいろぶっ壊したり、潜り込んだりしてたんだ! おれは神候補として、こいつらの悪事を暴きたかっただけなんだ!」


 ロロエルは、パンツの中に隠していた地図を開いて、俺達に広げて見せながらそう叫び続けた。おそらく、奴に正義の意思なんてないだろう。偶然手に入れた犯罪組織の情報を盾にして、自分の悪事をうやむやにしてしまおう、そう顔に書いてあった。


「そうか、だったら俺も共にアジトに乗り込もう、そこでお前の正義を見定める」

「よっしゃー、助かったバンザーイ!」

「で、次はお前だ、魔族の娘」


 シリウスは、今度はルノワの方に刃を向けた。

 ルノワはそれをかみ砕き、ムシャムシャと腹に納めた。

「ふぁ~、おやすみなさい……」

 今ので満腹になったのだろうか、彼女は眠り始めた。あまり変なものを食べて後で体調を崩したりしないといいが。


「なななななな、こいつ……眠ったぞ!」

『そりゃ寝るでしょ、赤ちゃんだし』

「魔物は身の危険に備えるため、ここまではっきりと寝たりはしない、例え生まれたての赤ん坊でもな! 例外があるとすれば、魔物を束ねる存在……つまり魔王の一族だけだ!」


 シリウスの言葉に、ヘブンズゲートのメンバーは戦闘態勢に入った。まるで親の仇でも取るかのような勢いで、ルノワの命を刈り取らんと攻撃を放った。

 その攻撃を、バールが受け止めた。


「ルノワ様は、プレアデス様の大切な配下のお1人、やらせませんぞ」

「そこをどけ! 奴は将来、人類の大いなる敵になる存在だ、今確実に仕留める!」

「プレアデス様は将来神になられるお方、魔王如き立派に従えていただけるはず」

「神? そこの赤ん坊が、俺と同じ神の座を?」


 俺と同じ? つまりシリウスも、何かの担当の神候補……なのか?


「どうでしょう、ちょうど実力を測るにふさわしい相手も見つかった事ですし」

 バールは、ロロエルの地図を指さした。


「ご自分の目で確かめてみてはいかがですかな、わが主の実力を」


 どうやらバールは、俺にもアジトに乗り込むよう促しているらしい。

 元はといえばルノワは、どっかで売りさばこうと思って育ててた気がする。その換金アイテム1個のために、時間を消費してリスクを冒すというのもどうかと思うが。


「神、魔王、オレは一体なにと関わり合いを持ってしまったんだ!?」

『あ、ゴンゴンさんいたんだった……』

 すっかり蚊帳の外だったゴンゴンさんに、俺は全てを話そうと思った。ここまで踏み込んでおいて、確かな情報を与えない事は逆に危険だと思ったからだ。


 さて、何から説明したものか……。

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