第17話 人々に救いの手を差し伸べる者達
突如、村に危険が迫っている事を知らせる鐘の音が、ガンガンと鳴り響いた。ただ事ではないようだ、宿の外ではパニックになった村人達が、他の住人達を押しのけるようにして逃げ惑っていた。
「まさか、昼間の魔族か?」
『いえ、そうではないみたいです、この気配は……人間!?』
俺の【ブースト】で強化された感覚が、不審な動きをする集団を捉えた。例えるなら、松明を手にし足並みをそろえて歩く魔導士の集団だろうか。
「何故、魔導士だと思うんだい?」
『鎧がすれる音が無く、布がすれる音しかしないので、多分そうかと』
「凄いな、そんな事まで分かるのか」
窓の外では、騎士団が続々と村の外に集まっているようだった。
魔族がいたのとは逆方向の出入り口からか、昼間の戦闘は不完全燃焼だったし、今度はいい戦いができるかもしれないな。
「ん? シンク君、何処へ?」
『ちょっと騎士団と合流してきます』
「……そうだな、君ならそういうと思っていた。で、オレは何をしたらいい、どう動けば被害は最小限に出来ると思う?」
『……相手の正体が分からないと動けないので、俺が先に行って確認してきます。ゴンゴンさんは、皆さんに声をかけて集まってもらっていてください』
「よし、そうしよう」
ゴンゴンさんは、宿を飛び出し他の仲間と合流していった。
んじゃ、俺は1人で前線へ行きますか。
俺は気配を頼りに、標的の元まで走った。
騎士団は陣形を守りながら行軍しているようで、俺より先に出発したのに村からあまり離れていない様子だった。
騎士団を追い抜いて、さらに走るとそいつらはいた。松明を掲げ、ぞろぞろと歩く修道服らしき物に身を包んだ男達。その修道服には、俺が生まれて間もないころに襲い掛かってきた、侵入者が付けていた物と同じマークが付けられていた。
間違いない、奴らは教会の人間だ。そして、俺の求めている情報を知っているかもしれない連中だ。
「止まれ! そこに赤ん坊がいるぞ」
やば、見つかった!
「おお、なぜこんな寒空の下に」
「我らが神よ、この者に救いを与えたまえ」
……俺じゃなかったか、ヒヤッとしたぜ。
彼らは、道端に捨てられていた赤ん坊を発見したらしい。
そして彼らはナイフを取り出し、赤ん坊に突き立てようとした。
「我らが神エルローよ、この物に救いを与えたまえ!」
『させるかよ! この勘違い野郎どもが!』
「誰だ!?」
俺は一気に距離を詰め、標的にされた赤ん坊をかっさらい、奴らから距離を取った。
「ん~~ん~~」
『ここから動くなよ、すぐ終わらせるから』
俺は、大きな瞳が特徴的な赤ん坊を近くの岩陰に隠して、奴らと向き合った。
『あんた達、クローリアって国に聞き覚えは?』
「おお、新たな子供が、彼にも神の救いが必要だ」
『俺は仲間の無実の証明の為に、情報を集めてるところなんだ』
「それはお辛かったでしょう、すぐ楽にして差し上げます」
『あんた達のボスはどこだ、そいつと話をさせてくれ!』
「「「「救いを救いを救いを救いを――――」」」」
俺の話に一切耳を傾けず、彼らは俺に刃を向けてきた。




