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怠惰の神候補   作者: タイト
エルマーズ領編
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第11話 旅立ち準備開始ぃ!

次回から、第2章開始です。

 3度目の人生が始まって1年が経過した、今日は俺の1歳の誕生日だ。


『俺、旅に出ようと思うんだ』

 俺は、前々から言おうとしていた話題を切り出した。


 たった1年だが、俺は随分と成長した。

 体力面はまだまだだが、鍛えに鍛えた魔力と、世界中から集めさせた豊富な知識が今の俺にはある。前世の俺と勝負しても、今の俺はきっと負けないだろう。


 当然、周りの人間からは反対された。特に母親である、ナタリーからは猛反発された。いや、いきなり今日出ていくわけじゃないから落ち着いてほしい。

 でも外に出ていくことは絶対に必要な事だ……俺の目的を果たすためにも。



 話は1年前に遡る。

 俺が父ルークの正体を知った日、そして俺達が同盟を結んだ日だ。


『あんたはさっき、自分は最高神だって言ったよな?』

「正確にはそれと肩を並べる、だけどね」

『じゃあ、その権力で地獄に落ちた女神を救い出せないか!』

「! 詳しく聞かせてくれないか」


 俺は、ルークに事情を説明した。

 俺が今まで自分を磨いてきたのも、神を目指そうとしていたのも、すべては俺の仲間、女神マーテルを地獄から解放する方法を知りたかったからだ。


『あいつは、働きすぎが原因で地獄に落とされたんだ。そんなの納得できねえよ、頑張った奴が地獄行だなんて、だから俺は何とかあいつを救い出したい』


「……確かに、抗議の余地は十分ありそうだ。だが天界側の意見にも一理ある、神の奇跡、天力は有限なエネルギーだ。だからこそ天界の神々は、それを少しずつ地上の民に分け与え、自分達の力で道を切り開けるように仕向けているんだ」

『だから、女神が働きすぎるのは良くない事なのか』

「そうなるね」


 しかもマーテルは、人の運命を狂わせて美女を集めようとしたり、魔族を人間の土地に招いて国1つダメにしたり、寒さから逃れるために天力を大盤振る舞い――――あれ、これ控えめに言って大罪じゃね?

 地獄に落ちて当然じゃね?

 俺はルークに、マーテルの行いを全て話した。


「……妙だな、そのぐらいなら何の前触れもなく地獄に投獄なんてありえないはずなんだが……。それが有り得るとすれば、マーテルがそれらの天力を天界から盗み出したりしてないとな」

『そうなのか? でもあいつなら、それを盗み出すためより自力で稼ぐ事に全力になりそうなもんだけどな』


「これは僕の推測だが、盗んだんじゃなく、盗まれたんだ何者かによって。そしてその罪を、濡れ衣を着せられたんだ、マーテルは!」

『どういうことだ?』

「人間の中にも天力を行使できる者がいる、そしてそういった者の中には、力欲しさに神々からでさえ天力を奪い取ろうとする者達がいるんだ。何か心当たりはないかい?」


『…………教会、教会じゃないか? マーテルは教会で命名師もやってたし、彼女の宿は教会の近くだったはずだ!』

「なるほど、調べてみる価値はありそうだ。この推測が真実だったとすれば、天界と下界との関係を揺るがす大事件だ」


 ここで問題になるのが、教会も大規模転移に巻き込まれて行き先が分からない事だ。エルマーズ家の権力も、さすがに国外には通用しないだろうし、さてどうしたものか。


 というわけで今に至る。

 俺は散り散りになったであろう、教会の連中を探すために旅に出る事にした。

 ルークも俺の為に――実際には人助けをしてポイントを稼いで神の座に戻るために、全面的に協力してくれる事になっている。


 おそらく、周りの説得や旅の準備のため、出発にはもうしばらくかかるだろう。

 待ってろマーテル、必ず無実を証明して地獄から救い出してやるからな。

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