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成り行き任せの異世界転生  作者: 狭焼飛露&龍弥&かつらぎネコ
とりあえず
4/10

とりあえず武器入手

どうもここまで読んでくれた人ありがとうございます。

1話目とこの話を書きました。

狭焼 飛露です。

リレー小説って自分で読んでも違和感ありまくりだと思います。

寛大に呼んでくれると嬉しいです。

ポツリポツリと小屋のような建物を中心にしていくように小雨が降ってくる。


そして俺の目の前には鬼気迫る表情でニーナを睨むモアとそれを感じて睨み返すニーナ。

永久に続くかと錯覚した睨み合いはモアから口火を切ることで動き出す。


「なんなの貴方は! おにーちゃんは私のおにーちゃんなの! 勝手に後からおねーちゃん宣言で姉弟キャラとかいらないのよ! 」

などと訳の分からんことを怒りながら喋り出した。


遂に正体を表すのかと思って緊張を高めていたニーナもその言動にポカンと口を開けて立ち尽くしていた。

しかしそんな俺とニーナの事など知らないと言わんばかりにモアの口撃(こうげき)は続く。


「それにさっきからおにーちゃんに対しての酷い態度は何なのよ! 最初の頃はあんなに優しかったのになんで今更そんなに辛辣なわけ? 心を弄ぶとかなんとか言ってたけどそれにしても限度があるよ! 」


モアは先ほどのニーナの仕打ちに意を唱えていたらしい。

そのモアの言葉でニーナは顔をキッと強めて睨み直す。


「貴方、いま最初の頃と言いましたね? なぜ会って間もないはずの貴方がそれを知っているのですか? 」


仕打ちに関して触れなかったのはその部分では勝てないと判断したからなのか。


それにしてもまずい、ここでモアが下手な返答をするとこんな所で殺し合いになってしまう。


それだけは何としても避けなければいけない。

そしてレイは2人から見える中間まで移動した。


「おい、お前ら、そろそろそのへんに…」


「おにーちゃんは黙ってて!」

「レイは黙っててください!」


駄目だった…


この人たち聞く耳持ってくれない。

それから何分、いや何時間経ったのかわからないまでに口論は続いた。

モアも俺の立場を理解しているのか不利になりそうなことははぐらかし、話を変え、ニーナに不利な状況を作らなかった。


そこはやはり叡智の書なのだろう。


結果として立っていたのはモア、へたりと女の子座りで沈んでいたのがニーナだった。

やはり叡智の書には勝てなかったみたいだ。

そしてニーナはむくりと立ち上がり俺の方へ近づいてきた。


そして申し訳なさそうな顔で俺に頭を下げた。


「ごめんなさい、私がどうかしていました」


これまた突然の事で驚いたが今度はちゃんと対処できる。


「あぁ、謝ってくれたから別に気にしないよ、ただなんであんなに乱暴になったのか理由を教えてくれないか?」


その俺の言葉にコクリと頷いてニーナは喋り出す。


「今日出かけていたのはここ周辺の街の長が集まる集会でした。 そこでは食料や金銭や(まつりごと)などについて皆で話し合い場所なんです」


そんな所があるのか、それに呼ばれるニーナはやっぱり貴族令嬢なんだな。


「実はその会議で貴方の事が話されたのです」


俺のこと? 別に俺なんか不思議でもないだろうになぜだろう。


「私があなたとお会いした経緯を長たちに話したところ、貴方が敵対国のスパイではないのかと嫌疑をかけられました。 勿論私はそんなことは無いと説得したのですが信じてもらえず、挙句には貴方がスパイかどうかを判断する監視役を命じられたのです」


「それでイライラしてたと? 」


「いえ、それだけなら良かったのですが、そんな話を聞かされて怒っている私を他所にレイがいつ会ったのか分からない女と至近距離で話し合っていたのを見て、本当にレイがスパイじゃないのか分からなくなってしまったのです」

と、ニーナの話はそんな所だった。


つまり私の心を弄んでって言ってたのはまさに、信じていたのに裏切られた、みたいなものだったのだろう。

なんか悪いことした気分になってきた。


「その、なんか、ごめんな? 」


とりあえず謝るべきと思ったので謝る。


「いえ、私こそろくに話も聞かずに怒ってごめんなさい」


ニーナも謝ってくる。


「よし! それじゃあ、今回の話はこれで手打ちにしよう! 」


元気さを取り戻し話を変えようとする。


「いいのですか? それに、まだ監視役の件についても…」


「いいよ別に、そんなん考えたって仕方ないだろ、 それならこれから頑張って嫌疑の疑いもなくなるように実績を残してやれば問題ないさ」


そう言われてやっとニーナも笑顔を取り戻す。


「はい! 頑張りましょう!」


怒っている時の笑顔のような怖さなど微塵もない、それこそ雨上がりに咲く一輪の花のように綺麗な笑顔だった。

雨も上がりニーナのいる当たりに日差しが差し込んでいるせいで余計そう見える。


「さて、それじゃ気を取り直して魔法適性でも見るか、モアもそれでいいよな? 」


「うん! 勿論だよ おにーちゃん。 でも…」


モアは含みのある言い方をして一息着いてからニーナに向けて言った。


「おにーちゃんは私のなんだからね! 」


概念貼り付けただけなのになんだろうこの演技力。

叡智の書怖いわぁ。


そんなことを思いながら魔術堂へ向かおうと振り向く時、足が水に取られて滑ってしまう。


「うわっ! 」

「おにーちゃん!!」


咄嗟にモアがコケそうな俺の手を引っ張りバランスを直そうとするが悲しきかな、その可愛らしい身長のせいか逆に巻き込まれてしまう。

2人はゴロゴロと何回転かした後何かにぶつかって止まった。


「レイ!? 大丈夫ですか! 貴方は怪我人なんですよ!? 」


ニーナがこちらに駆け寄ってきた。


「いてて、ごめんごめん、モアも大丈夫か? 」


「うん、大丈夫だよ~ おに~ちゃん~」


そんな返答をしてくるモアだったが明らかに目を回りていた。

そんなモアを片手にぶつかった何かを掴んで立ち上がろうとする。


「あ、 ダメです! レイ それは!」


ニーナが何かを言いたそうだったが遅かったらしい。

途端に体の中に尋常ではない何かが溢れかえってくる。 まるで滝のように激しく、津波のように力強く、そして炎のように熱かった。


「あ、熱い! なんだこれ!!」


目を開けられず耳も轟音で満たされ触覚は津波のように内側から侵食される。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

「レイ!」

「おにーちゃん! 」


混乱から回復していたモアも心配そうにこちらを見つめてくる。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


頭の中がそれだけで満たされていく。

そしてとうとうレイの意識は糸のようにプツンと切れた。


 ―特典ボーナスを消費し蘇生します―


―これにより、贈り物ギフトに使用制限が掛かりました―


―使用制限が解除されました―


―スキルを解放、獲得しました―


―覚醒開始します―




ーーーーーーーーーー


「この短期間で2回もギフトを使うなんてね~、あの子、かなりの不運に見舞われているね」


カラカラとした声が空間に響く。


「そのようね、こんなに不運だと転生させたのも間違いだと思えてくるわ」


上品に聞こえそうな笑い声も響く。


「しかし彼はアレに触れた。 これからはきっと楽しくなるよ」


「今までも失敗した子はいるのよ? まぁ、期待せずに待ちましょうか」


2人の会話は続く。


ーーーーーーーーーー




「……イ!」

「……ゃん!」


そんな声が聞こえてくる。

聞き覚えのある声、徐々にハッキリと聞こえてくる。


「しっかりして下さい、レイ!」

「起きてよ! おにーちゃん!」


ニーナとモアが俺を心配して声をかけているのが分かる。


どうやらあの原石とやらに触れてしまったせいで膨大な魔力が体を侵食したのだろう。

しかし疑問な事があった。

ニーナの話では触れたら1回死なないと駄目らしいのに俺はこうして生きている。 どんな原理か分からないがあの魔力は本当に1回死んでもおかしくないものだった。


しかしこうして生きているのだから原石が劣化していたとか当たりどころが悪かったとかそんな所なのだろう。

それよりも早く起きないと、あまり起きるのが遅くてガチ泣きされても嫌だしな。


「ニー…ナ…、 それ…に、モア…」


痛みで掠れ声になりながらも二人の名前を呼ぶ。

俺の声を聞いたふたりはその顔を泣き顔から嬉し泣き顔へと変えた。


「レイ! 大丈夫ですか! ちゃんと今の状況が分かりますか!?」


「おにーちゃん安心して! 治癒魔法かけ続けてるから! きっと助かるよ!!」


ふたりは俺の目をしっかり見て病人を看病するかのように優しく手当していた。


「ありがとな、2人とも、もう大丈夫だ」


「でも!」

「しかし!」


2人はまだまだ優しかったがあまり甘えてもいられない。

というかこんな民家のある外で大の字で寝転んでるとか恥ずかしい。

そう思い、軋むからだに鞭打って無理矢理体を起こす。


「よし! もう立てるし、本当に大丈夫だ。 問題ない」


そんな俺を見てようやく2人は安堵を浮かべた。


「本当に、良かったです。 貴方が原石に触れてしまった時は本当にもうダメだと思いました」


「そう、俺も死んだなと思ったんだよな、でも生きてる。 理由は分からんけどな、 モア、わかるか? 」


「全く検討がつかないよ、蘇生魔法の形跡なんてなかったもん」


「そっか、やはり分からんか」


「ごめんなさい、叡智の書なのに役に立てなくて」


モアは自分の仕事を果たせてないことに申し訳なさを感じていたらしい。

そんなことを感じなくていいのにな。


「いいよ、多分これもどっかの誰かのイタズラかなんかだろ」


モアに暗に「神が何かしてる」と匂わせて励ます。


「ま! 生きているならめっけもんだ、 それにしても原石に触れちゃったのか、近くで見てみるつもりだったがまさか直に触っちまうとは」


そんなことを言いながら刺さっている刀状の原石の前に立つ。


「レイ、また触る気ですか? やめてくださいよ? またあんなことされては困ります」


ニーナが呆れ半分怒り半分と言った感じに言い寄ってくる。


「う~ん、俺もなんか遠慮したいけど今度は普通に行ける気がするんだよな」


ニーナの言葉も右から左に躊躇なく刀の柄に触れる。


直前にモアとニーナの「あ!?」という声が聞こえた。

またあの嵐のような奔流が来ると思ったが逆に何も起きなかった。

と言うより普通に触れたので少し力を入れて引き抜いてみた所その形はまさに刀だった。

柄から刃先まで黒っぽくてすこし紫がかっているようにも見える。

刀身はとても綺麗で切れ味は抜群そうだ。


こんな形の『原石』あっていいのかと思ったが使えそうなので割愛する。


「まさか、それに触れるなんて…」


ニーナは驚愕に口を開けていた。

モアも有り得ないとばかりにこちらを見詰めていた。


「多分、1回触った後だから耐性でもついたんだろ」


レイはおもむろに刀を構えてみる。

すると頭にズキリと痛みが走る。


―スキル 『剣術』を解放しました―


―『剣聖』を獲得するにはレベル上げが必要です―


そんな言葉が浮かんだ。

慌ててステータスを開いてみるとスキル欄に剣術と付与というスキルが浮かんでいた。

剣術をタップして見ると説明が浮かび上がる。


【この世の全ての剣術に精通し、熟練の技術として使うことが出来る】


そんなチートスペックを見て疑問が浮かび上がった。

前にモアとステータスの話をした時、確か剣術には、レベル上げが必要だって聞いてたのに何もせずに手に入れちまった。

もしかしてレベルが上がったのか?


そう思い自分のレベルを確認した。


宮嶋(みやしま) (れい) ♂ Lv.127


ステータスにはそう明記されていた。


……………は?…………


いやいや、待ってほしい、確か前確認した時は1だったはずだ。 なのになぜこんなにも、それも中途半端な数字まで上昇しているのだろう。

というより強すぎだろ。


多分さっきの死にかけたやつが原因だとは思うけど…

うん、考えても埒が明かないな。


「ニーナ、ちょっといいか?」


レイはニーナを呼んだ。


「はい、なんでしょう」


まだ、驚きの余韻から冷めきっていないのか呆けたように返事してくる。


「ちょっとこの刀試してみたいから何発か弓打ってもらっていいか? 」


「え!? でもいいのですか? 体の方は…」


「大丈夫だって、ほら、この通りちゃんと動けるよ」


レイはその場でピョンピョン跳ねたり腕をグリングリン回して元気アピールをする。

本当に体調がいい。 もしかしたら倒れる前よりいいかもしれない。


「理由は全く分かりませんが、とりあえず打ってくれと言うならいいでしょう。 私もその剣が気になるのも事実です」


「遠慮なしで頼むぜ、 なんなら家で打とうとした必殺技っぽいのでもいい」


「分かりました、全力で行きますよ!」


お互いを見つめ合いレイは刀を、ニーナは弓を構える。


「また、空気なんですけど私…」


そんな呟きが聞こえた気がしたがスルーした。


「行きます!!」


その掛け声とともにレイの刀の使用実験が始まった。

最後まで読んで暮れてありがとうございます。

3話目で一応3人それぞれの話の展開に触れたわけですが、誰が1番良かったとか、ここは直した方がいいとかそういう感想は気軽に下されば嬉しいです。

それでは5話のかつらぎネコさんに、ご期待ください。

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