とりあえず成り行き任せ
リレー小説二番手、かつらぎです。
屈指の筆の遅さに定評があります。
いつもは創伽夢勾さんのニコ生に入り浸って、書いています。
妖刀チートみってねー!
ガチャっとドアの開ける音がし、一人の中性的な顔立ちをした男がでてくる。
「今日の仕事終了! いや~、これでゴロゴロできる!」
私は振り向き、彼に対し嘆息しながらこう告げる。
「まだよ、あと2人ほど追加で送るから」
「えぇ~、神様役まだするの~? めんどくさい~」
仕草が一々わざとらしくかなり煩わしい。
しかし彼の話術は一流で、私も度々言いくるめられてしまう。
「それにしてもさっきのは馬鹿なガキだったわね」
「そうそう! いきなり『俺の生殺与奪権はお前にあるんだろ?』って、覚えたての言葉を言いたい盛りなんですかねぇ。 もうホント、笑いをこらえるのに必死でしたよ」
カラカラと笑いながら彼は言う。
「でも、アイツはダメね。 面白くともなんとも無い、私の小説には合わないわ」
「そうだね。 それにしても、小説を書くために違法に入手した世界を弄くり回す大罪を犯すなんて、よくやるねぇ」
「あなたに言われたくないわ。 愛を布教するといって、1億円以上を騙し取った結婚詐欺師さん」
彼らのドロドロとした笑い声が響く。
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「あぁ、そういえばミヤシマくん」
どうして零が名前といったのに呼んでくれないんだろうか。
いや、違うか。
見ず知らずの人をいきなり名前で呼ぶのは失礼だよな。
いや、これはもっとお近づきになれるチャンスなのでは?!
「あの、出来れば、零と呼んで欲しいです。 ルーシェさん」
「ふふ、じゃあ、レイ。 私の事もニーナって呼んでくださいね」
ま、眩しい! 笑顔が眩しすぎて直視できない。
「あ、は、はい! ニーナさん! 違った、ニーナ!」
しどろもどろになりながら返事をする。
やった! 計画通り!
……新世界の神様を思い浮かべてしまった。
「それでは、レイ、行きましょうか」
「はい! 行きましょう!」
不注意というのはよくある事だ。
それも何か嬉しいことがあった後ほど多い気がする。
ニーナがこちらを振り向く。
気になって俺も後ろを振り向くと、顔面にまで跳んで迫るスライムがいた。
思わずのけぞり、転んでしまう。
それも頭から。
最期に聞こえたのは、頭に何か堅いものが当たった音だけだった。
―特典ボーナスを消費し蘇生します―
―これにより、贈り物ギフトに使用制限が掛かりました―
―使用制限を解除するにはレベルを規定値まで上げる必要があります―
目が覚める。
窓からは夕日が差し込み、部屋を照らしている。
どこかのお屋敷だろうか。
頭に包帯が巻かれている。
多少ごわついた布団を剥ぎ取り、半身を起き上がらせる。
包帯をはずしているとドアの開く音がする。
「あ! レイ、だめです。 安静にしていてください」
ニーナがドアを開け、何かを持って入ってくる。
パンと温かそうなスープだ。
しかもニーナは先ほどの冒険者のような格好ではなく、貴族のご令嬢が着るような服装になっている。
どちらもよく似合っていたが、服装一つで印象ががらりと変わり、どちらも素敵だと思う。
「あの、えっと、ここは?」
彼女はパンとスープの乗った容器をベッド脇に置き、布団を掛け直してくれる。
そして椅子をこちら側に手繰り寄せて座る。
「その前にまず、頭の怪我は痛みますか?」
「頭の怪我?」
そういって頭を弄るが特にこれといった外傷はない。
「そんなものないけど」
「そうですか、良かったぁ」
安堵の表情を見せるニーナ。
ますます何がなんだかわからない。
「あのぅ、えっと、現状の説明が欲しいんですが……」
「あ! そうでした、そうでした! うーん、何から話せばいいのやら」
ニーナはどこか天然のきらいがあるらしい。
挙動の端々にそういったものが見受けられる。
こちらから説明することにする。
「えーっと、ここはどこ? 何でそんな格好してんの?」
「ここはレイと出会ったムナル平原から山を一つ越えた所にある私の故郷、エンゲルの街の領主である私の父のお屋敷です! そして私は領主の、貴族の娘なのです! つまり偉い人!」
よくぞ聞いてくれました、みたいな顔で言う。
あれ?でも、
「じゃあ何でその貴族の娘様があんなところに?」
「べ、別に昔から冒険者に憧れてて、たまーに嫌な行事があるときに抜け出して、魔物退治してるなんてことじゃないですからね! あとこっぴどくお父様に怒られると思うので今日の抜け出した言い訳に協力してください!」
「お任せください! この私、レイ ミヤシマ、この身が滅びようとも本気で言い訳して見せます!」
「そうだよね、ダメだよね。……って、いいのぉ!」
「いいですとも!」
パンとスープを食べながら(パンは意外と固かったのでスープにひたして食べた)二人で言い訳の打ち合わせをした。
そして数十分後、ニーナの父親がやってきた。
かなり渋い顔立ちで白髪が目立つ、髪はすべて後ろに流していて、貴族らしい服のイメージを一段階下げたような服を着ている。
「話は大体聞いたぞ、ニーナ。 ムナルに行っていたんだな」
「言い訳していい?」
「ダメだ」
言い訳が思いつかなかったんだ。
ここから完全に親子の会話だった。
数分後父親の方が折れたらしい。
「はぁ、もういいわかった。 だが、こいつをこの屋敷に置いておくのは一週間だけだぞ」
「お父様ありがとう!」
ニーナの父親が部屋から出て行く。
その直後、ドアがノックされ、一人のメイドが入ってくる。
「お嬢様、ご夕食の準備が整いましたので、どうぞお越しくださいませ」
「うん、わかったわ。 レイはどうするの?」
貴族の夕食というのが気になるが、
「いや、俺はもう食べてお腹いっぱいだから」
「そう? じゃあ、ドアの横にこの子がいるから何か用があったら言ってね」
そういうと、ニーナを呼びにきたメイドがうなずく。
ニーナが出て行く。
彼女と同時に出て行ったメイドの女の子が絶対に呼ぶなよって顔をしてたので呼ぶことはないだろう。
静けさが部屋を支配する。
もう日が落ちかけ、部屋にある蝋の明りが部屋を照らしている。
さて、これからどうするか。
考えても埒があかない気がする。
「寝るかぁ」
布団のごわつきが気になるがまぁ寝れないことはない。
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「…すたー、マスター! 起きてくださーい!」
誰かの声で目が覚める。
月明かりが部屋に入り込み、割とよく見える。
枕元を見てみると本があるだけだ。
「なんだ、本か」
そういって眠ろうとすると、
「なぜ、ここに本があるのか不思議に思え、朴念仁!」
「本がしゃべった?!」
本を手に取る。
背表紙には何か文字が書かれているが読めない。
「ようやく一人きりになったと思ったら、いきなり寝るし、何度呼んでも起きないとかありえないです。 マスター」
本に乗っかる、というより出てきている小さな女の子。
金髪を一つまとめにしており、将来有望そうな顔立ちをしている。
「なにこれ」
女の子が深くため息をつく。
「私はこの本、叡智の書から作り出された、いわゆるナビゲーターのようなものです。 天才美少女ナビコちゃんと呼んでくれてもかまいません」
「何だよナビコちゃんて! そんなんならモアとか名づけるわ!」
「いいですね、モア、採用です」
いいのかよ。
「……じゃあ神様が言っていたボーナスって君のことなの?」
「いえ、私は世界からの贈り物ギフトです。 あなたの言っている神様が何者かはわかりません」
「叡智の書なのにわからないのか?」
「私から叡智の書にアクセス制限が掛かっているので閲覧できません。 そうだ、試しに”ステータス”と唱えてください」
「え? ”ステータス”?」
と唱えると画面が出てきた。
驚いて変な声が喉から漏れる。
本の少女が覗き込み、手に触れ、下へとスクロールさせる。
「あっ! おい、勝手に弄るなよ」
「ほらこことか見てください」
彼女が指を刺したところを見ると、
[剣術]使用不可
と書かれている。
「これ、どういうこと?」
「つまり、レベルを上げないとチートハーレムが出来ないということです」
「そんな! あんまりだぁ」
収集つかなくなったので次の人に任せます。
改正(ニーナをニーアと書かれていたので直させて頂きました。)