表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬が西向きゃ尾は東!  作者: 櫻井 千桜
3/8

三日目 編集さんと王子様

投稿遅くなりすみません。これからはほぼ毎日投稿していきたいと思います。


それでは、前回の続きからどうぞ!


「その御友人は、どうして呉橋先生の絶版本をご存じだったのですか?」


紗耶香の言葉にハッと意識を戻す。確かにそれは私も気になる。よっぽどコアな人か、それとも活字中毒者なのか...。


「倉敷は覚えているかな?カズ...白鳥 和真、高校時代の俺の友人でさ、元図書委員長の...。」


白鳥シラトリ 和真カズマ...。自身も、また彼の周りに集まる人達もスポーツマンだった長谷川君にしては、珍しい友人の内の一人だったため、うっすらとは記憶している。白鳥君は、毎年主席の優等生。静かな空間を好み、よく図書室で本を読んでいた。テスト勉強をするために長谷川君が図書室を訪れたことで、二人は仲良くなったんだと、長谷川君は続けた。


「『図書室の王子様』っていう異名で有名だった人だよね?でも、彼が活字中毒者だなんて、聞いたことないよ?」


私はカフェオレの入ったカップを両手で持ち、首を傾げる。白鳥君は、ただ静かな場所にいることが好きだっただけで、図書室に居ても、本を手にすることは一度もなかったと聞いている。だからこそ、彼が読書をしている様子を想像することは容易ではない。


「図書室にある本は、元々中学にあったものが多かったから、読む気になれなかったんだって。それに、彼は活字中毒者っていうわけじゃなくて、純粋に本が好きなんだってさ。」


私達の居た高校の図書室は、元々他の学校のそれよりも圧倒的に小さく、本の数も少なかったため、利用者は必然的に少なかった。だから、彼は新しい本を読もうにも、本が無さ過ぎて読めなかったのだ。


「でも、カズが『図書室の王子様』って呼ばれ出してから、女子生徒の図書室利用者数は、過去最高になったって、司書の先生喜んでたよ。」


呆れつつも嬉しそうに語る長谷川君。それはそれでどうなんだろう?白鳥君にとっては、読みたい本が無い苦痛に加えて、多くの女子生徒の出現で図書室は静かではなくなったのだ。当然、そこを離れたがっても仕方ないと私は思うけど...?


「そこのところはカズもしっかりしてるからね。『静かにしないと一生学校なんか来るか』って怒鳴ったらすぐ静かになったってさ。」


...それは確かに大人しくなるよ。流石だね。



「それで、話は戻るのですが...。」


あ、しまった。紗耶香の質問から脱線してた。長谷川君も『しまった!』って顔してる。


「カズの父親が出版社の人だったみたいで、父親から貰ったと言ってましたよ。...『絶版にはなったが、そうするには惜しい作品だった』って言ってたみたいで...。」


それは初耳だ。白鳥君のお父さんが出版関係のお仕事をしていたこともそうだし、何より、私の黒歴史を『惜しい』とまで言ってくれたことにも、驚きを隠せない。目の前の紗耶香も、私と同じ気持ちだろう。僅かに目を見開いているのがレンズ越しにでも分かる。絶版にしようと言い出したのは、他ならぬ紗耶香だったのだから。


「...その理由は、聞かれましたか?」


紗耶香は少し眉間に皺を寄せ、目を伏せることで、心を落ち着かせているようだった。そして、静かに聞いた。その様子に何かを察した長谷川君は、しかし首を横に振った。


「...いえ。でも、この二作品は確かに、絶版にするには勿体無かったかなって、俺個人も思いました。...って、俺はそんなに本とか読まないんですけどね。でも、凄く面白かったように記憶しています。」


そうハッキリと言い切った長谷川君を前に、紗耶香は泣きそうな顔をしていた。


ちょっとシリアスな展開になりそうですが、この作品はほのぼのさせたいので、あまり長引かせたくないなぁ、と個人的に思っております。


そして、お知らせなのですが、TSUTAYA×リンダパブリッシャーズ 第1回 WEB投稿小説大賞 Bコースの方に、このたびこの作品を応募することに致しました!何とか募集要件を満たせるよう頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ