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THE WORLD  作者: 深海 律
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5話

お久しぶりです、深海です。

凸と凹が遣り合って(?)おります。

よろしくお願いいたします。

アーシアとの先程からしている会話から、自分なりに理解し始めた頃だった。

そのイラついた視線に気付いたのは・・・。


今度は何だ?

こちらを正視こそしてないが、見られているのは分かる。

機嫌はすごぶる悪そうだ。

正直、今は話し掛けたくない。

だが、そろそろ今の状態や今後についても話を聞きたいのでそうも行かず、重い口を開く。

 「で、俺が何なのかはなんとなく分かった。」

 年齢はともかく、何も知らない『現実の子』である俺に生まれたときからしかるべき教育を受けてきた先輩である彼女が呼んで知識を与えてくれている状態が今だ。

 先ほどの話にもあった先代に何も教わっていない者への救済処置というやつだろう。

 では次は今後についてだ。

 「俺がその『現実の子』なら、何かする事があるんだろ?一体何をしたらいいんだ?」

 まったく見当がつかない。

 あの話では『アーチ』とか言うものをどうにかしなければヤツラが来るという話だ。

 それが一生なんて絶対ごめんだ。

 一刻も早く自体の収拾してしまわなければ、今までの生活に戻れないし何より仕事は・・・どうするか?一応連絡を入れておくか?

 そんな事を考えている矢先、アーシアの鋭く不機嫌な声が飛んできた。

 「言っとくけど、そう簡単にことが済むとか思わないでよね?」

 「・・・何?」

 何か重要な事が耳に飛び込んできたが、とっさには間の抜けた声しか出なかったが彼女は気に是ずつ付ける。

 「今までの生活云々だとか、仕事だとか考えている暇はないわよ?生きるか死ぬかの追いかけっこなんだから。」

 死ぬ気で一生逃げ回りなさい、と鼻を鳴らしながら言い放ってくる。

 どういう事だ?

 「まったく、一体いつからこの追いかけっこが続いてると思ってるの?何億年も続いて今に至るのよ?そう簡単に終わる分けないじゃない?」

 分かってる?と近寄ってきて顔を覗き込んでくる。

 最初はそんな長い事続いているのか・・・とうなずき、次の瞬間固まった。

 何億年?一体いつからこれ続いてんだよ!とアーシアに向き直る。

 向き直るが、言いたい事を言い終えたのかシレッとそっぽを向くところだった。

 まるで、後は自分で何とかしてね?と言わんばかりに・・・・。

 

 会話が途切れて1時間ほどが過ぎただろうか?

 正直、気まずい。

 何か質問したくてもこの空気だ。

 何か、色々無理な感じがする。

 本当に一体全体どうしたらいいのかと内心途方にくれ始めたが、相変わらずきれいな闇色の少女は背を向けたままである。

 しかも、何故か機嫌悪気だ。

 本気で「俺、何かしたか!?」と大声で色々言いたいくらいに不機嫌だ。

 それでもそろそろ今後についてや、本当に俺が『現実の子』とやらなら何をしなくてはならないかなどを教えてほしいのだが。

 先ほどもそんな事を言っていたし・・・。

 「いい年して教えてほしいとか考えてないで、ほかの事考えたら?」

 「・・・あ?」

 突然耳に飛び込んでくる声に驚きかをお上げる。

 今、なんと言った?何で俺の考えた事が分かってるんだ?さっきから。

 「顔に出やすい。感情的スギ。それ、『夢』に付け入られて即効で死ぬわよ?」

 何?何か怖い事をさらっと言ったな、この娘。

あ、最初からか。

「とりあえず、する事は少ないし単純よ。」

良かったわね、と声なく視線をよこすと近付いてきて目の前の木箱にドカッと腰をおろす。

 先ほどの話からして、少しの単純作業であるとは思えないのだが・・・と、目の前の少女に視線を合わせた。


 「あ、ありがとう。」

 目の前に差し出されたのは湯気の立つステンレス製のマグカップ。

 それを口元に運べば、香ばしい香りが鼻腔をくすぐり視界には褐色の液体がゆれているのが見える。

 感謝して飲みなさいとばかりに、やはり上から目線の少女が視界の端に移るが、今は目の前のコーヒーに集中することにした。

 ああ、うまいな。

 程よい苦味と喉を流れて胃を暖めた液体に安堵と感謝とを送る。

 フッと向かいに腰掛、同じくコーヒーをすする少女に目を向けると似た様な反応を見せていたので少し意外な気分になるが、同時にこちらも見もせずに声がした。

 「奴らから逃れ、生きて何かを口にできることは存在しているということよ?感謝位するわ。」

 あ、また読まれた。

 少し間抜けな感想を胸中にとどめながらも、何となく、生まれたときから奴らに追いかけられ教育された目の前の少女が果てない苦労の後今を生きているのだとう事を垣間見た気がした。

 「覚悟はしておいたほうがいいわよ?私たちは日陰の世界を生き続ける物なのだから。”今まで”なんて存在しない。死にたくなければ必死に逃げなさい。どんな時でも。いざという時は、そう、目の前で私やほかの『現実の子』が息絶えても助かる仲間を連れて生き延びる事。」

 今聞いたことに、聞きながら目をむくと「これは鉄則」と視線を向けてくる。

 本当にいったい何なんだ。

 本当に自分はなんて世界に関わって言うんだと、そっとため息を漏らした。


 カップが空になる頃、ようやくアーシアが口を開いた。

 「さて、さっきすることは少ないし単純だと言ったけど実は揶揄なんかじゃなくてそっくりそのままの意味だから覚えておいてね?」

 手の中で弄んでいたカップを止めて向き直る。

 そのときの俺の顔は非常に間抜けなものであったはずだが、少女は何気ない事の様に続けてくる。

 「私たちは奴らに対抗できる唯一の施設『操作アーチ』を目指すの。でもその前にすることがあって、その為に多くの同胞も命を落としてきたの。」


 伝承の中にあった『アーチ』という言葉。

 その数はかなりあるそうだが、中でも『夢』に対抗することができるのは『操作アーチ』と呼ばれる施設らしい。

 そもそも『アーチ』には2種類あり、奴らへの攻撃を加えられるのが『操作アーチ』だという。

 ならそこへすぐ向かえばいいじゃないかとアーシアに進言したところ「馬鹿ね、それだけじゃ意味内のよ。説明聞きなさい」とにらまれる事になったが。

 その『操作アーチ』を使用するには恐ろしいほどのエネルギーが必要なのだと言う。

 ではそのエネルギーは何処から?

 そこで出てくるのがもう1種類の『アーチ』でこれを通常のものと考えるのが一般らしい。

 大地を流れる『竜脈』の上に『アーチ』は存在するらしい。

 そして『竜脈』から引っ張り上げたエネルギーはそのままでは使用できないため『もうひとつのアーチ』でエネルギーへと変換し大気に満たすために噴出していく。

 そこで初めて『操作アーチ』が大気からエネルギーを吸い込んで動くのだという。

 「俺たちの役目は通常『アーチ』の開放、か?」

 不意につぶやくとアーシアがうなずく。

 「歴代の『現実の子』はそれを主な役目とするわ。古の時代に作られ力のたまった『アーチ』を開放して回るの。それがいつかのためになるはずだし、もうかなりの数の『アーチ』開放されているから・・・そろそろのはずなんだけどね。」

 まだ、『時の鐘』が鳴らないのだと言う。

 『時の鐘』―――『操作アーチ』の使用が可能な域に達した際現れる現象、で『現実の子』の右目に何かの模様が現れるらしい。

 本当にそんな事がと首をかしげていると、まだ何も現れていない右目に手をやったアーシアがつぶやく。

 「もう、そんなに先ではない気がしているのだけどね。」

 それはすぐ終わるということだろうか?

 と、ここでまた顔に出てしまったのだろう。

 眉を寄せた彼女の不機嫌極まりなく、だが途中から意地悪な含みを持った声が響く。

 「私はまだ若いからね。でもあなたは年くってるし、どうかしら?」

 同時になんて事を言うのかと反論をしようとしたが、彼女の次の言葉にさえぎられてしまう。

 「冗談はともかく、それが主な仕事よ。後は適当に年いったら次世代作って教育して頂戴。数は力だわ。」

 「な!?」

 とんでもない事をさらっと言い残し立ち上がったアーシアは目の前を通り過ぎて、何かの作業を始めてしまう。

 まったく、どうしろと言うのか?

 当分動くこともせず固まっていたら肩が痛くなったが、相変わらずの彼女には悟られたくないなどと意地をはり、当分ふんぞり返っていたのであった。

呼んでくださりありがとうございます。

凸と凹がやりあい、結局打ち負かされるバルド(一応メイン主人公)。

これもよろしくお願いいたします。


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