4話
続きです。
ずいぶん刻んでおります。
ただ、説明なのでここできりました。
よろしくお願いいたします。
世界は幻想から産まれた。
はるか古の時代に『大地の民』はそれを見守っていた。
しかし、世界には彼らのほかに『古代人』と呼ばれる種族もいた事から、度々争いが起きそのたびに大地はえぐれていった。
戦いの続く日々の中、ついに後がなくなった『大地の民』は『世界の本質』―――『存在の根源』と呼ばれる流れを見つけ出した。
それは大いなる流れ。
生ける者の始まりと終わりと全ての叡智の流れであった。
そこから全ての『存在』は生まれ還っていく場所。
その強大な力を彼らは取り込み理解した。
『現実』と『世界の成り立ち』、『理』を・・・。
それから幾日かしら、いく年かしら経ったある日、『古代人』はこの世界から姿を消した。
残されたのは勝者のはずだった。
しかし、その場には『大地の民』も立ってはいなかった。
世界は『夢』に包まれた。
かの民たちは『夢』にさらされる『常世』たる『現実』を支えるべく柱の生を紡ぐ事になった。
それは子々孫々と受け継がれる『朱』の定め。
延々と終わる事のない螺旋の生。
しかし、それを哀れに思った『天の神子』は彼らに知恵と授けた。
最初の御子に『アーチ』を作り力を蓄えよ。
後の世で『朱』の定めを受け継ぐ子らがいたなら、その力を解放し、束ね『夢』にぶつけよ。
その時こそ、この定めの終わりの時となる。
『天の神子』はこの言葉を残し、残された『台地の民』は竜脈の上に彼の建造物を建て、時を繋ぐ旅を始めた。
静かな語りが終わると、目の前の少女は顔を上げ瞼を開けた。
これは・・・何かの神話なのだろうか?
聞いた事などまったくないが・・・。
いやそんな事より気になる言葉がなかったか?
そうだ、「世界は『夢』に包まれた」とか何とか・・・。
確か『夢』とは、あのいやな感じのする連中のことではなかっただろうか?
それがどうしてこんな昔話の様なものに出てくるんだ?
訳が分からないと目の前の少女に視線を向ける。
ちょうど肩にかかっていた長い髪を払ったところだった。
「何よ。」
同時に視線に気付くと悪態ついてきやがった・・・。
本当に可愛くない娘だ。
しかし、そんな事は今はいい。
「今のは何だ?何かの神話のように聞こえたが?それに『夢』?」
「本当に何も知らないのね?『現実の子』は皆聞かされて育つはずだけど?」
一体どういう育ち方をしてきたの?とばかりに呆れたような視線をよこしてきた。
それは一体どういう育ち方なんだと思わず言い返してしまったさ、胸中で。
「目覚めもつい先日。どっちが『現実の子』かは分からないケド、先代が亡くなったのも何年も前。何も聞かされてもおらず、『夢』との遭遇も始めて。しかも極めつけは、男。始めて見たわ。」
指折りこちらが答えた質問内容から色々言ってくる。
本当に何様かというほどその態度は、小生意気過ぎてもはや何も思わない。
「男の『現実の子』じゃおかしいのか?」
「おかしいっていうか、聞いた事がないわね。」
アーシアいわく、母が『現実の子』で子供が女ならそのまま継承されるが、息子の場合は普通の子供なので『夢』にも追われたりしないのだそうだ。
ただしその息子に娘ができた場合は確実に『現実の子』になる為、母親は生まれたのが息子であっても、知識等を教え込み受け継がせ、孫娘かまだ後の世代に生まれた女の子供に伝えさせるのだという。
そうしておかないと、何も分からないまま『夢』に追いかけられる事となりその先の生存率も変わるのだという。
確かに、何も知らずあんなモノに追い掛け回された日には生きた心地がしない。
実際追いかけられてみたから確実にやばいと思う。
ただ、どうしても継承されていないとしてもたまに格上の『現実の子』が呼び寄せその後の面倒を見てくれる事―――主に生き残り方等を教え込んでくれるなどという事があるそうで現在俺もその面倒見られる側なのだという。
そこまで聞いてみると確かに俺はおかしいのかもしれない。
女しかいないはずの『現実の子』の特性が俺に出てきている。
出る時期も何も知らされていないという状況も何もかもだ。
第一両親からそんな話一切聞いていない。
何故だ?
「女しかいないけど男が『現実の子』になるって事については・・・想像の域は出ていないケド、思い当たることがあるわ。」
唐突にアーシアの声がして顔を上げる。
眉間にしわがより嫌な事でもしゃべるのかという顔で口を開くアーシア。
その血筋に秘められている力が濃く、強い場合は性別は問わずに『現実の子』に覚醒する事がある、というものである。
それは、最初の『現実の子』といわれる御子の血族たる血統の者を指すらしい。
まあ俗に言う『直系』に連なる、限りなく『本家』に近い分家みたいなものだろうとこの時俺は理解したが、なぜかアーシアは苦い顔をしたままである。
本当にどうしたのだろうか?と俺は首をかしげていた。
読んでくださり、ありがとうございます。
ほんとうに、かなり刻んでます。
切りがいいとこだと思ったもので、こんなです。
次回、これからについて話していくと思いますので、また呼んでいただければと。
よろしくお願いいたします。