ツンデレ乙女(男)
「あー、そういえばモデルかなんかが越してきたんだっけ」
ぼりぼりと、胸元をまさぐりながらカズトさんが窓の向こうの一軒家を見る。このオッサンくさいところもなれるとキュートでかわいいのだ。
「門脇栞、今人気上昇中の成長株!」
私は自信満々に胸を張る。
「なんでお前がそんな偉そうなんだよ」
「私の後輩!でも私のほうが美人!!」
「人気上昇中のモデルをオプション扱いできるお前の自信はすげえよ」
やたっ!カズトさんに褒められた!
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「んで、アキ。リハビリっつ-のはどうするつもりだ」
「それはね、つまり」
私は右手を人差指と中指の間に親指を通すように握りこみ、
「ヤッちゃえ」
そのままヤスアキさんの顔の前に突き出す。
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「な、なななななな」
ヤスアキさんは突き出された右手を凝視しながら顔を赤くし体を震わせる。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃん。別に初めてじゃないんでしょ?」
「こいつはたぶん未経験だぞ」
私を助けようとして車にはねられたカズトさんが笑いながらこちらに吹っ飛んできた時以来の衝撃を受けた。思わず手に持っていたコーヒーカップを取り落すところだった。
「……なんで?こんなにイケメンなのに?」
「あー、それ俺もこいつを家に連れ込んだ時に同じ事言ったわ」
で、その当の本人さんはなんで顔を真っ赤にしながら目をそらすのか。
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「日照権について何度か顔を合わせたことがありましたが、まあこの女よりは知性がありそうでしたね」
この家はもともとカズトとヤスアキさんが二人で住むための家だが、無駄に背が高く、地下にも深い。
ところで、冷静を装うヤスアキさんはその顔は桜色に染まっているけど。
「アキ、あれでヤスはごまかせているつもりだから触れてやるなよ」
「なんか負けた気がするけど、この中で一番乙女だよね」
いつの間にかテーブルのこちら側に来たカズトさんとヤスアキさんに背中を向けて話し合う。
「そこの二人、聞こえてますよ!」
声が震えてるんですけど、そこまで恥ずかしいの?それとも女性となんかあったの?
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「アキ、ヤスはなんだかんだ言ってひとりだと寂しいタイプだからな」
「それもなんとなく知ってた」
現に、今私とカズトさんが二人で話してるとなんやかんや話に入ろうとするし。本当に嫌なら無視すればいいのにね。
「余計なお世話です。それはさておき、どうするつもりですか?」
ヤスアキさんはこれ以上は深手になると判断したらしい。そうは問屋が卸さないぜ!
「あ、強引に話題をかえた」
「あれは自信家っぽく見えて恥ずかしがりっていうテンプレみたいな存在だからな」
カズトさんは耳元で話しかけるふりをして、その実ヤスアキさんにもしっかりと聞こえる声でしゃべる。そうすればヤスアキさんが反応するとわかっているから。
「聞こえてますよ!」
ほらね。
「知ってるぞ、お嬢様」
「知ってるよ、お嬢様」
カズトさんの愛は独り占めは難しそうだなあ……。
文章読みにくいと思います。
もともと4コマ漫画のコンテを書き直してるので、読んでる人の感性でぐいっと、フィーリングでガッと。何とかしてください。
気持ち的には弾幕シューティングのあれですあれ。