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第4話 金にならない命を、俺は救う
夜半、下級貴族の容態が急変した。
神殿は動かない。
「追加の寄進がなければ、
これ以上の祈祷はできない」
家族は泣き崩れていた。
もう、払える金はない。
俺は、呼ばれた。
「……頼む。
体面も財産も、もうない。だが、命だけは……」
俺は首を振った。
「金はいりません」
周囲がざわつく。
「代わりに」
俺は言った。
「治ったら、
今日あったことを、全部話してください」
治療を始める。
今度は、完全に。
祈らない。
隠さない。
結果だけを出す。
男は、完全に回復した。
翌朝。
下級貴族は神殿の前で告げた。
「祈りでは治らなかった」
「だが、彼は治した」
「金は取らなかった」
沈黙。
帳簿が、意味を失った瞬間だった。
神官長は、俺から目を逸らさなかった。
その視線に、怒りはない。
あるのは、計算だ。
「……なるほど」
低く、呟く。
「金にならない奇跡は、
確かに――厄介だ」
背筋が冷えた。
これは終わりじゃない。
始まったばかりだ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
第4話で序盤は一区切りです。
ここから先は、
神殿と主人公の関係が完全に変わっていきます。
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