第1話 現代最強の一日
「陽青様、今日も脅迫状が届いています」
俺、中野陽青高校一年生。自宅のポストに脅迫状が届きました。
「なんでだよ、どこの誰だよそんなことをするのは」
「いつもの二人ですよ。ふふふ、三人とも仲が良くて良かったです」
使用人の田畑さんがおかしそうに笑う。現状の問題は笑いごとで済まされるようなものじゃないんだけど。なにせ俺は今の人生で計百回以上犯人である二人に殺されかけているのだ。現代最強の陰陽師と呼ばれている俺だけど、日に日にあの二人が強くなっていく一方で背中がピリピリする。ある時は毒殺。ある時は刺殺。あるときは魔法で攻撃を食らいまくっている俺だ。
「田畑さん、気づいてる? あの二人俺のこと本当に殺しに来てるよ? 仲なんて良くないよ?」
「そんなことを言ってはいけませんよ。大事なお友達なんですから」
これわかってないうえわかってもらえないやつだ。田畑さんは俺のことを微笑ましそうに見ているが俺は殺されないようにするのに必死なのだ。俺は式神を用意して二人の現状を調べ上げることにした。指を二本立てて、すぐに式神を放った。
『期待せずに待っているんだな』
式神からもこんな声が聞えた。俺はげっそりする。俺はキッチンに向かい冷蔵庫からヨーグルトを一つ取り出して、棚からスプーンを取る。気を紛らわすためにも好物のヨーグルトを部屋に戻って食べる。
「俺、前世でなにか悪いことでもしたのか?」
犯人である二人とはどっちも女の子で、俺と同じ学校の同級生だ。現代はスキルと魔法が重要視され、精神的な面で人類は発展してきた。犯人である二人の同級生はそんな世の中でも天才、そして努力家と評価されている人間だ。女の子に俺から手を出すわけにはいかないし、現代最強と言う肩書もある。いや、この肩書には特にこだわっていないのであの二人に押し付けてもいいのだが、俺を倒さないことには納得しなさそうな二人だ。
「陽青様は前世を信じる派なのですか?」
「うーん、輪廻転生については考えたことがあるけどさっぱりだな。信じるか信じないかで言えば半々。あってもなくてもあまり変わらないって感じかな」
「わたしは信じたいですね。自分が前世でどういう人生を歩んで今この生にどう繋がっているのか知りたいものです」
「不思議なことを言うんだな、田畑さん」
「そうですかね?」
俺は前世の記憶があるにはあるのだ。田畑さんにはいつか話してあげたいが今は早い。まだ俺が現代最強じゃなく、ただの一般人。それもモブにして雑魚だったころの記憶。転生ってものが実在することに驚いたけどなんとなく納得した。世界は基本的に平等だと言うことを。




