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第一王子ミシェルの苦難  作者: 神村 結美


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プロローグ

 ここはリヴィエール王国。近隣国と比べると小国に扱われるが、どちらかというと豊かで平和な国である。


 俺の名前は、ミシェル・リヴィエール。この国と同じ名前のファミリーネームであることからわかるように、この国の王族の一人である。


 俺の家族は、国王陛下である父エドマンド、王妃のアルレット様、側室のミレーヌ、第一王女のレベッカ姉様、第二王女のシュゼット姉様、第一王子の俺、ミシェル。そして、双子の第三王女ブランシュと第二王子フェルナンがいる。


 正妃アルレット様は見た目も雰囲気もおっとりしていて人が良さそうに見えるが、幼い頃から父の婚約者に選ばれるだけあって、聡明で頭の回転も良く、人心にも長けている。所作も作法も上品で完璧。誰もが憧れる淑女だ。実は表の顔と中身の乖離が凄いのが、それは家族しか知らないことである。あまり接点のない人々はアルレット様の雰囲気と見た目に油断して騙される。わざと隙を見せて相手の弱みなども探っているとアルレット様本人から聞いた。


 正妃のアルレット様の子供は俺以外の4人。俺一人だけが側室のミレーヌの子供だ。


 父上とアルレット様は結婚して早々に第一子を授かり、2年後には第二子が産まれたがどちらも王女だった。さらに2年が経過したが、王子どころか子供も授からない。そこで側室が宛てがわれた。比較的に男が産まれやすい家系で、正妃の派閥とも問題がなく、且つ産まれた男の子が次期国王となっても問題のない血筋や家柄などの条件で絞った結果、伯爵家令嬢であったミレーヌが選ばれたそうだ。


 男子を望まれた母は、期待通り男の子を産んだ。プレッシャーから解放されたからか、第一王女と第二王女が育って手が掛からなくなってきた影響もあるのか、俺より5つ下の双子の弟妹が出来た。


 それから早10年が経過し、現在は学園に通っている。


 幼少期に絵本に出てきた王子様は誰からも好かれていて、尊敬されて、憧れの代表だった。キラキラとしていて幸せそうに映っていたのに、そんなもののはただの幻想だった。


 平和で豊かな国であっても野心家はいる。権力や甘い蜜を求めて王族に取り入ろうとする貴族達。貴族であれば当然の腹の探り合いや足の引っ張り合いも日常茶飯事だ。宝石やドレスで競い合い、婚約者が居ても諦めない令嬢達。


 例えば、自分がしがない下位貴族の産まれであったなら、それらとは程遠い立ち位置を望むことが出来たかもしれない。しかし、王族だからこそ巻き込まれてしまう。もちろん身分が関係しない問題もあるが、それは自分の立場のせいだろう。一度も自分が望んでいないのに……なぜ、巻き込まれなければいけない? なぜ自分なんだ? と自問したことは数え切れない。


 もうこんな生活は嫌だー!! 俺は、あらゆるものから解放されて自由になりたいんだ!


 幼い頃からそばに居る侍従の前では自然体でいるし、信頼しているからこそ、他の誰にも聞かせられない文句や本音も言いまくる。それに対してよく、「もぅ、やさぐれないでくださいよ〜」と言われるが、俺の立場になったらわかるはずだ! 

 誰だってやさぐれたくなるだろう。


 だから、ちょっと俺の話を聞いてくれるか?

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