言い渡されたズッ友宣言
「そ……そう言えばさ、エリサから聞いたんだけど、ハルトがルミナに告白しに行ったって聞いたんだけど……ど……どうだったの……?」
しばらく無言で歩いていた私とハルトだったが、私は意を決してハルトへと告白の事を聞くと、ドキドキしながらハルトの言葉を待つ。
もしこれでハルトがルミナと付き合うことになったと言ったら帰ってから一人で泣こう……。
「ああ、あれね……断られたよ……」
「え……?断られたんだ……そっか……そうなんだ……」
ハルトはルミナに断られた……。
それを聞いた途端心の中の不安は消え、私は安堵感に包まれた。
「なんか僕がルミナに断られて嬉しそうだね……」
「え……っ!?そ……そんなことはない……!」
いかん……。
安堵したせいか、顔がニヤけていたのかもしれない……。
「ふ~ん……まあいいけどね。それに、告白って言っても、友達から罰ゲームでルミナに告白してこいって言われたんだけどね」
「そ……そうなんだ……」
そ……そっか、罰ゲームか……。
ハルトがルミナを好きになって告白したとかじゃないんだ。
それを聞いて私は心の中でホッと胸を撫で下ろすと共に、もしかしたらこの先本当にハルトに好きな人ができて、その人に告白する日が来るのではと言う危機感もまた感じた。
ならば早く手を打たねば……。
でもなんて言おう……いきなり「ハルトが好きだから私と付き合って!」と言うのもなんか引かれそうだし、どうしたものか……。
「でもさ、やっぱり彼女は欲しいとは思うかな……。だってもし僕にも彼女がいたらこの先色々と楽しそうだなって思うしさ。レオナはどう思う?」
こいつ……それを私に聞くか……っ!?
でも、考えようによっては告白をするまたとないタイミングっ!
行け私!勇気を振り絞ってハルトに自分の想いをぶつけるんだ……!
「ハルト……もしかしたらさ……ハルトのすぐ近くに彼女になってもいいって言う女の子がいるかも知れないぞ……?」
「そんな女の子いたっけ?」
「例えば……ほら、私……とか……?」
私は顔を赤くしながら上目遣いでハルトを見つめる……。
よく言った私!
心の中で全私がスタンディングオベーションをし、惜しみない拍手をする。
後はハルトがOKを出すだけ……!
私は期待を込めた眼差しでハルトの言葉を待つ……。
「レオナ……?あはははは……!僕とレオナは何があってもずっと友達だって小さい頃約束したじゃないか。だからレオナの事は仲のいい女友達だって思ってるよ」
「んな……っ!?」
ピシ……ッ!
私はハルトの言葉で石化したかのように固まった……。
ずっと友達……確かにそう言った。
でもそれは今よりもずっと幼い頃の話であって、今と昔は違う……っ!
「それに、僕はレオナの事が好きだよ。勿論友達としてだけど」
「と……友達……?ただの……?」
「え?うん、僕たちはずっと友達だよね」
ただの友達……、ズッ友宣言……。
その言葉が重くのしかかり、私は膝から崩れ落ちた。
ハルトにとって私はただの友達……恋愛の対象外……。
私は昔からハルトの事を好きだったのに、ハルトは私のことなんて何とも思っていない……。
その現実を突きつけられた私は、そのまましばらく項垂れた……。
「はは……ははははは……」
もう乾いた笑いしか出ない……。
そして気がつけば目の前が涙で滲んでいた。
「ねぇレオナ、大丈夫?」
「……もういい、一人で帰る」
ハルトが心配して私の肩に手を置こうとするが、私はその手を払い除けるとそのまま一人トボトボと帰ったのだった……。