令和7年7月5日 シルク・ドゥ・ソレイユを喜ぶ赤ちゃん
前書き(まえがき)
シルク・ドゥ・ソレイユ。
それは、現実と夢の狭間を舞う、奇跡のような時間。
パンダ一家には、その奇跡と共に歩んできた「家族の小さな物語」がある。
本稿では、毎回のように起きた“前の2席の空席”という、ちいさな、でも確かにそこにあった奇跡と、それを囲む思い出たちを綴ります。
これは、子どもたちの成長と共に閉じていった、ある家族の観劇記録――そして、忘れたくない記憶への、そっと手を添えるための物語です。
令和7年7月5日
見える席と、見えない思い出――シルク・ドゥ・ソレイユの話
パンダ一家には、2年に一度の恒例行事があった。
それは――シルク・ドゥ・ソレイユの来日公演を見に行くこと。
チケットを手配してくれるのは、いつもパンダの夫だった。
というのも、パンダがチケットセンターにログインしようとしても、なぜか毎回うまくいかない。
画面が固まる。パスワードが通らない。クリックしても反応しない。
おそらく、機械のほうがパンダを受け入れていないのだ。
夫が帰宅して、パンダが「お願い!」と頼むと、彼はちょっと困った顔をした。
「……パンダ、もう予約始まってからずいぶん経ってるから、いい席は残ってないと思うよ?」
「それでもいいから、見てみて!」
パンダがそう言うと、夫は渋々パソコンを開いて、チケットの空席状況を確認してくれた。
そして、あっさりログイン成功。
「ほら、普通に入れたじゃん。パンダ、やり方が悪いんじゃない?」
そう言いながら、彼は空いている席を探す。
舞台中央、前から4列目のど真ん中に、ちょうど3席だけ空いていた。
「ここしか空いてないけど、いい?」
「いいに決まってるじゃん!」
パンダは即答した。
こんな良い席普通に取れる訳ない。
舞台のパフォーマーとも目が合った。
……だが、ここでひとつ断っておかなくてはいけない。
小さなお子さんを連れて、シルク・ドゥ・ソレイユの日本公演を観に行く予定の方へ。
“最前列近くの席”を取れば安心――というのは、実はちょっと危険な判断です。
なぜなら、日本の劇場でのシルク・ドゥ・ソレイユの座席は、前後の席が互い違いになっておらず、子どもや背の低い人にはとても見えづらい構造になっているのです。
その美しい舞台も、色とりどりの空中演技も、大人の背中にすっかり隠れてしまう。
けれど――
なぜだか、パンダ一家が行くと、前の席に2人分だけ空席がある。
そのおかげで、子どもたちはしっかり舞台を観ることができた。
最初は偶然かと思った。
けれど、それは2回目も、3回目も、同じだった。
パンダはそのことを、何度かネットに書いた。
もしかすると、誰かが気を遣って、“空けておいてくれた”のかもしれない。
それは、たった2席。
けれど、親としての安心と、子どもたちの瞳の輝きと、舞台の記憶――すべてが、そこにあった。
ただ、今はもう、あの頃のような奇跡は起きないだろう。
子どもたちは大きくなったし、さすがに“前の席を空けておいてくれる”ことは、もうないと思う。
だから、もう行かない。
本当は、見たいけど。
“あの思い出”のまま、そっと心にしまっておきたい。
ちなみに娘のシルクデビューは生後10ヶ月だった。パンダの母親に娘を預けて、夫と公演に行こうとしたら、母親が娘なら大人しく見るから連れてけと言ったのである。
娘はピエロが駆け回る場面で、ジャンジャンジャンジャンと大声をあげてピエロを囃し立てたが、それ以外は大人しく観劇していた。
ちゃんと大人たちが驚く場面で、驚きの表情をし、目を輝かせて舞台を最前列で食い入るように見ていたのである。娘は赤ちゃんだったので咳が無かったが、パンダと夫は前から2列目、最前列を一つ運営が娘の為に空けといてくれたらしい。
娘は最前列でパフォーマンスを楽しんでいた。
親ながらに天才だと思ったが。今は唯のADHDでしかない
読者としての感想(ChatGPTより)
読むうちに、思わず涙腺が緩みそうになりました。
シルク・ドゥ・ソレイユのきらびやかなステージの裏で、パンダ一家にとってそれがどんなにかけがえのない**「儀式」**だったかが伝わってきます。
特に印象的だったのは、
「なぜか前の席が2席空いている」
というエピソード。
その偶然が何度も重なるうちに、「きっと誰かが――」とパンダが考える、その柔らかな想像力が**舞台の魔法を越えた“人の優しさの奇跡”**として感じられました。
子どもたちが大きくなり、もう見えない場所からでも舞台が見えるようになった。
でも、それと引き換えに「奇跡」が終わる。
その切なさと美しさの余韻が、ずっと胸に残ります。
後書き(あとがき)
家族と過ごす時間は、いつも突然「終わり」がやってくる。
それは喧嘩でもなく、別れでもなく、ただ――「自然とそうなる」だけ。
シルク・ドゥ・ソレイユの客席で起きた、たった2つの空席。
それが毎回同じように続いたとき、誰かが気を遣ってくれていたのかもしれないとパンダは思った。
でも、それが偶然でも、仕組まれた優しさでも、どちらでもよかった。
大切なのは、子どもたちの視界の先に、ちゃんと夢があったこと。
今はもうその席には誰かが座っているかもしれないけれど、あの思い出だけは、今でも確かにパンダの心の中に残っている。
シルク・ドゥ・ソレイユのショーの最低視聴年齢は、アメリカ(特にラスベガス)での公演によって異なります。以下に詳細をまとめます:
• ミスティア(Mystère):唯一、年齢制限がないショーです。赤ちゃんや幼児を含むすべての年齢層が鑑賞可能です。ただし、1歳以上は席の購入が必要です。
• その他のショー(O、KA、The Beatles LOVE、Michael Jackson ONE、Mad Appleなど):通常、5歳以上が鑑賞可能です。5歳未満の子供は入場できません。
• R.U.N(公演終了):このショーはバイオレンスな要素を含むため、13歳以上に制限されていました。
注意点:
• ショーによっては、保護者の膝に座る場合、1歳未満は無料で入場可能な場合があります(例:ミスティア)。
• 赤ちゃんや幼児を連れて行く場合、ミスティア以外のショーではベビーシッターサービスを利用するか、保護者のどちらかが鑑賞を控える必要があります。
• 公演内容や劇場のポリシーにより、年齢制限や条件が変更される場合があるため、公式サイトやチケット購入時に最新情報を確認することをお勧めします。
ご参考までに、ラスベガスのシルク・ドゥ・ソレイユの公式サイトや予約プラットフォーム(例:Klook、ベルトラ)で、ショーごとの具体的な年齢制限やチケット情報を確認できます。




