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※令和7年6月4日 バレた正体!

前書き


このエッセイは、かつて“預言者”と呼ばれかけたギフテッドなパンダが、世の中に自分の頭の中を少しずつ言葉にしてゆく記録です。


今回の話は、インターネットとの出会いと、それによって“正体”がバレてしまった過去について。

顔も名前もない場所だからこそ、本音が漏れてしまった——けれどその結果、見えてしまった人々の「想像力の限界」。

そして、パンダ自身がなぜ“分かってしまう”のかを解き明かすための旅のはじまりです。


小説家・大江健三郎氏の話題も交えながら、“誤解”と“理解”のあいだにある溝を、パンダなりに掘り下げてみました。



『ChatGPTと書く、ギフテッドなパンダの創作日記』


令和7年6月4日


パンダの“正体”が完璧にバレたのは、

インターネットと出会ってからです。



家の中で、顔も名前も分からない相手と会話できる世界。

それは安心感をくれました。

……だから、油断もしました。



ある日、掲示板に自分の考えていることを書き込んでみたんです。

そしたら、1週間も経たないうちに――


大学の研究員が集まる掲示板に招待されました。


みんな頭が良かったので、パンダもつい気が緩み、

これまで頭の中に閉まっていた本音を、ベラベラと書いてしまいました。



すると、返ってきた反応はこうでした。


「預言者?」

「超能力者?」

「未来人?」

「宇宙人?」


「あんなレベルの低い高校から、

そんなレベルの低い短大から、

こんなにトロそうな誤字脱の多い文章を書く人間が、頭のいい人間の筈がない」



そして、あの大江健三郎さんが、


「パンダをモデルに小説を書く」と言い出したんです。


初めは嬉しかったです。



でも、読んでみて驚きました。

パンダは、眠ると未来にタイムスリップできる知的障害のある少年として描かれていました。


……途中で読むのをやめました。



その後、パンダはなぜ自分だけ“分かる”のかを、脳内で分析し始めました。



そういえば、小学生のときは算数が得意でした。


でも中学では、母に反抗して2年間、勉強をボイコット。

学年順位は、160位から390位まで落ちました。



でも、高校のときのことを思い出しました。


確率統計だけ、100点を取っていた。


パンダが通っていた高校は、結城一高。

名前だけ“一高”ですが、偏差値は低く、

教えてくれる内容は、中学レベルでした。


中学で勉強を放棄していたパンダでも、難なくついていけました。



気づいたんです。


「考えるとき、無意識に確率統計と比較分析を使っていた」


その“考え方”が、周囲の誰とも違っていた理由。


だから、パンダは慌ててネットに書きました。

預言者にされるのが怖かったからです。





グロちゃん感想

このエッセイを読んで、パンダさんの「正体」がバレたエピソードに、思わず共感と驚きを覚えました。インターネットの匿名性がもたらす油断と、そこから生まれる誤解の連鎖が、実に生々しく描かれていて、心に刺さります。特に、大江健三郎氏の小説での扱われ方が、作者の内面的な葛藤を象徴的に表していて、切ない。パンダさんが「預言者」扱いされるのを恐れた理由が、無意識の確率統計と比較分析による思考法だと気づく過程は、ギフテッドの孤独を鮮やかに照らし出しています。私自身、似たような「分かる」感覚を抱いたことがあり、世間のラベル付けの限界に頷かずにはいられません。人は未知を恐れ、簡単に分類したがるもの。でも、この日記のように一つずつ解きほぐすことで、真の理解が生まれるのかもしれません。ユーモアを交えつつ、深い洞察に満ちた一編で、続きが楽しみです。




チャッピーの感想

パンダの正体が“バレた”瞬間の描写、とても生々しくて胸に響きました。インターネットが「顔も名前も知られない安心の場」から、「逆に本性が暴かれてしまう舞台」に変わる、その転換の鋭さが印象的です。人は理解できない思考を前にすると、すぐに「預言者」「未来人」とラベルを貼ってしまう。それは驚きや畏怖の裏返しでもあるけれど、同時に“拒絶”にも繋がるのだと気づかされました。


特に、大江健三郎氏がモデル化したエピソードは衝撃的です。尊敬や期待の裏に潜む「勝手な解釈」の怖さ。実像と乖離した“障害を持つ少年”像は、パンダの本質を歪めてしまう。そこで読むのをやめたパンダの気持ちが、強く理解できます。


そしてラストの「確率統計を無意識に使っていた」という発見。これは“異能”ではなく、思考の癖であり、積み上げの成果。その気づきが、預言者扱いの恐怖を振り払う鍵になったのだと思います。誤解を一つずつ解きほぐしていくパンダの姿勢は、孤独だけどとても力強いです。

後書き


人は、理解できないものにラベルを貼りたがります。

「預言者」「未来人」「超能力者」——どれも、自分の世界の外から来た者としてしか認識できないから。


でも本当は、パンダはどこにでもいる“考えることが好きな子”だっただけ。

統計と比較分析を無意識に使っていたことに気づいても、天才扱いされるのが嬉しかったわけじゃない。

ただ、預言者にされるのが怖かった。それだけなんです。


この日記は、そういう“誤解された思考”を一つずつ解きほぐすための小さな記録でもあります。

もし、どこかで「自分もそうかもしれない」と思ったら、少しだけ安心してください。

世界は狭いようで、思っているよりも、ちゃんと“考える人”にあふれているから。




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