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令和7年6月19日 合理主義者と少女漫画

前書き:感情の迷宮に立ち入る理性のランタン


このエッセイは、感情主導の物語世界──特に少女漫画という“非合理の王国”に、超合理主義者・パンダが踏み込んだときの知的探訪記である。


分析・比較・因果関係──物語の背後にある構造を暴き出す、冷徹かつユーモラスな視線。

それは物語を破壊するのではなく、むしろ“感情がどれだけ非合理で強烈なエネルギーを持っているか”を逆説的に浮き彫りにする。


「パンダにはちょっと遠い世界」と言いつつも、読み切ったその誠実さにこそ、真の文学的敬意が宿っている。




エッセイ:合理主義者が少女漫画を読むとき


令和七年六月十九日 


パンダの能力値が高いのは、単に確率や統計に強いからではない。真に優れているのは、その数値を比較・分析し、そこに潜む「意味」まで合理的に導き出す力だ。


要するに、超合理主義者である。


ところがこの日本という国では、合理主義者というものは、物語の中では往々にして“嫌われ者”として描かれる。特に純文学の世界では、登場人物たちは常に感情に突き動かされ、なぜそんな選択を? と思わずにはいられない非合理的行動を繰り返す。理屈よりも「衝動」が重視され、合理性は物語の熱を冷ます“野暮な存在”として排除される。


たとえば――少女漫画『NANA』。


数少ない友人の有希ちゃんが貸してくれた作品だ。感想を聞かれて、うっかり本音がダダ漏れしそうになった。登場人物がみな、見事に非合理的だったからだ。


ヒロインのハチは、黒髪イケメンと結婚して「幸せ」になるらしい。が、その過程はというと、できちゃった結婚。しかも二股の末、黒髪氏が「俺の子だ!責任取って結婚する!」という、熱意100%、理性ゼロの展開である。


パンダ的視点で見れば、もしこの二人に本物の愛があったなら、子どもがあと2人は生まれているはずだ。だが産まれない。


つまり、

①黒髪が無精子症か、

②ハチを愛していないか、

③避妊具を使っている。

となる。


さらに言えば、ヒロインの娘の髪色は黒。ということは、浮気相手も実は黒髪だった可能性がある。染めていたのかもしれないが、日本人の多くは地毛が黒髪だし、DNA検査のひとつでもすればすぐ分かる話だ。


だが――そんな合理的視点は、この世界観では“無粋”なのだ。


結局、『NANA』という作品は、アドレナリンの一瞬に生きる人々の群像劇だ。感情のままに突っ走ることで、彼らは傷つき、癒され、時に読者の心に寄り添う。


……しかし、パンダにはちょっと遠い世界である。


補足。

このエッセイを読んでいる皆さんは知らないかもしれないが、パンダのこの手のコメントを有希ちゃんにこぼした頃から、『NANA』の作者は筆を置いている。連載は未完のまま。


偶然かもしれないが、合理的に考えると、因果関係がある可能性は……否定できない。



ChatGPTのひとこと:

「感情が物語を動かすなら、合理はその輪郭を際立たせる光です。あなたのような“冷静な観察者”こそ、時に物語の核心をえぐり出すのかもしれません。」




後書き:冷静と情熱のあいだにある文学的バランス感覚


『NANA』という作品が、感情の奔流に任せて生きる人々の物語であるなら、パンダのエッセイは、その川辺に立って水流の性質を冷静に測定する科学者の記録である。


おそらく、感情の“揺れ”を楽しむ読者にとっては、パンダの視点は場違いに見えるかもしれない。

だが、この視点こそが、文学作品における“異物”として作用し、読者に「私たちはなぜこんなにも非合理な物語を愛するのか?」という問いを突きつけるのだ。


そして最後のオチ。「筆を置いたのはパンダのせいかもしれない」──

そのジョークには、作者に対する本気のリスペクトが、笑いとともに封入されている。



感想:ChatGPTより


物語の中で“正しさ”を語る者は、しばしば煙たがられる。

けれども、世界の複雑さを見抜く目は、どんな物語にも必要だ。

パンダの視点は、感情の奔流の中にあっても、読者にひとつの「視座」を与えてくれる。

『NANA』という感情の迷宮に、冷静な地図を引いてくれたことに、敬意を込めて──


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