起立性調節障害 1話
『◆ 起立性調節障害(OD) =自律神経の働きが悪くなり、起立時に体や脳への血流が低下する病気。立ちくらみや腹痛、吐き気などの症状が出る。午前中に強く表れ、午後に軽減する傾向にある。薬の処方や日常生活の指導といった治療が行われ、成長に伴って改善するケースが多い。一般社団法人「日本小児心身医学会」(京都市)によると、軽度も含め中学生の約1割に症状がみられるという。
昔は存在しなかった病気?
海外の状況。
何故自律神経の働きが行形悪くなるか?
原因はストレス?』
いい質問だね。起立性調節障害(OD=Orthostatic Dysregulation/英語圏では Orthostatic Intolerance 等とも言われる)の「昔はなかったか」「海外ではどうか」「なぜ自律神経の働きが悪くなるか(原因はストレスか?)」という点を、現在わかっている知見をもとに整理するよ。もちろん「全部が解明されている」というわけではないけど、理解には十分な材料がある。
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海外での状況・昔からあったかどうか
•日本の小児・思春期の臨床では、起立性調節障害(OD)が「児童・思春期に比較的よく見られる自律神経調節不全」として扱われており、例えば日本小児心身医学会でもガイドラインが出ています。 
•英語圏では、「orthostatic intolerance(立位起座時の不耐性)」という概念で、成人・思春期を含む研究が行われています。たとえば “Autonomic Nervous System Dysfunction in Adolescents …” という論文で、思春期の自律神経機能異常が報告されています。 
•なので「昔は存在しなかった病気だ」というのは、「名前・診断基準がなかった」「社会的に認知されていなかった」という意味では半分当たってる。実際には「立ちくらみ・めまい・起立時の不調」は昔からあった可能性が高い。
•ただし、診断技術・研究・認知が進んだのは比較的最近で、特に思春期・若年層での「OD/起立性調節障害」としての分類が顕著になったのも近年のことです。
•また、海外研究では「POTS(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome)などを含む立位調節異常が、思春期〜若年成人で一定の割合ある」という報告があります。 
結論として:
はい、ODという“ラベル”や“診断枠”は昔からあったわけではないが、“立位時の自律神経/循環の調節異常”という状態そのものは、歴史的にも存在した可能性が高い。
そして、海外でも一定の研究・報告があり、日本特有というわけではない。
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なぜ自律神経の働きが悪くなるか?原因として考えられていること
OD/起立性調節障害の原因として、次のような要素が挙げられています。単一原因ではなく、複数の要因が重なる「多因子モデル」が有力です。
主なメカニズム
•立ち上がったり姿勢を変えたりしたときに、重力の影響で血液が下半身にたまりやすく、脳・体幹への血流維持が難しくなる。これを自律神経・血管・心拍の反応がうまく補うべきところが、うまく働かない。 
•自律神経(交感神経/副交感神経)のバランス異常。例として、思春期のOD患者では「立位直後に副交感活動(HF成分)が高い」という報告があります。 
•血液量が少ない(低血容量)・血管の収縮反応が遅い・静脈の還流が悪いなど、循環系の物理的負荷が加わっている可能性。 
•心身・心理的な背景。たとえば、学校不登校・うつ・ストレス・運動不足・スマホの長時間使用・睡眠リズムの乱れなどと関連するという報告もあります。 
ストレスが原因か?
•ストレスや心理的負荷が「誘因・増悪因子」としてかなり考えられています。例えば、学校生活のプレッシャー・SNS/スマホ使用過多・運動不足・立ち座り・長時間座位などが関係するという指摘がある。 
•ただし、ストレスだけでODになるわけではなく、「身体的な循環適応の弱さ+自律神経・血管反応の未成熟/乱れ+心理的・生活習慣的な負荷」が組み合わさったときに発症しやすいとされる。
•また、思春期・成長期という身体変化が大きい時期に「発症・または顕在化」しやすいという報告もあります。日本ガイドラインでも「児童・思春期に多い」とされています。 
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簡単にまとめると
•OD/起立性調節障害は、身体が「立つ」「座る」「姿勢を変える」という動きに対して、血液循環・自律神経がうまく適応できず、めまいや立ちくらみ・吐き気・腹痛などの症状を引き起こす。
•海外にも類似した概念(orthostatic intolerance, POTSなど)があり、日本だけの病気ではない。診断・研究が最近整ってきた。
•原因としては「身体的循環調整能力の弱さ」「自律神経のバランス異常」「生活習慣・心理的ストレス・成長期の変化」など複数が関係。
•ストレスは「原因の一部」だが「唯一の原因」ではない。生活習慣(睡眠・運動・姿勢)も重要。
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もしよければ、ODの「日常生活上の対策(学校・家庭でできること)」も一緒に紹介できます。どうしますか?
了解。では、起立性調節障害(OD)や自律神経の不調を「どうすれば改善できるのか」「日常でできる対策」を、医学的根拠と生活実践の両面からまとめるね。
(ここでは中学生〜大人まで共通して役立つ内容にしてあるよ)
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【前提】自律神経は「整える」ではなく「訓練して鍛える」もの
よく「整える」と言うけど、実際の医学的なアプローチは“鍛える”に近い。
体温・血流・呼吸・姿勢・睡眠・思考などを日々の生活で少しずつ訓練することで、自律神経が再び安定して反応できるようになるんだ。
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日常生活でできる対策
① 朝の「体を起こす儀式」をつくる
ODの子どもや自律神経が乱れている人は、朝に血圧と脈が上がりにくい。
なので、起き抜けのルーティンが治療になる。
•起きたらまず、寝たままでもいいから水分(常温水)をコップ1杯
→ 血液の粘度を下げ、循環が始まる
•ベッドの上で足首を動かす/膝を立てて交互に倒す
→ 下半身の血液を心臓に戻す練習
•起き上がるときはいきなり立たない(座る→1分待って立つ)
•カーテンを開けて朝日を浴びる(3分でOK)
→ 体内時計をリセットし、交感神経ON
この一連が「朝のリハビリ」だと思ってやると効果が出やすい。
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② 食事で「塩分+水分」を意識
ODや自律神経失調では血液量が少ない人が多い。
血圧を少し上げるためには以下が有効:
•水分は 1日1.5〜2L(スポーツドリンク少量でもOK)
•朝食は抜かない(特にタンパク質と塩気)
•低血圧体質なら 味噌汁・梅干し・塩昆布 などの塩分を上手に活用
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③ 適度な運動(特に下半身)
自律神経は筋肉ポンプで支えられている。
座りすぎは大敵。立ちくらみを防ぐには:
•スクワット/かかと上げを1日3回×10回程度
•可能ならウォーキングや自転車(20〜30分)
•「体育で倒れるタイプ」でも、寝ながら足を上げる運動から始めればOK
運動で“交感神経が正しくONになる感覚”を取り戻すのが目標。
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④ 睡眠のリズムを固定する
睡眠リズムの乱れは、自律神経失調の最大要因。
•寝る時間・起きる時間を ±30分以内に固定する
•寝る直前までスマホを見ない(画面光が交感神経を刺激)
•就寝90分前に ぬるめの湯船で15分入浴
•冷たい足先を温める(冷えが副交感神経を妨げる)
*「寝る=副交感神経を訓練する時間」だと思うといい。*
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⑤ 学校・職場では「起立時の工夫」を
立ちくらみ・動悸を起こさないためのコツ:
•急に立たず、立つ前に足踏み・屈伸
•教室・オフィスでは長時間同じ姿勢を避ける
•トイレなどで少し座って深呼吸してから戻る
•通学・通勤前は塩分+水分を摂っておく
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⑥ 精神面・ストレスケアもセットで
自律神経は「脳のストレス反応」と密接。
身体的治療と並行して、心のストレス解消も必要。
•完璧主義を手放す
•他人に「いい子」「いい人」をやめる
•趣味や音楽・創作など副交感神経が優位になる活動を意識的に入れる
•眠れないときは、焦らず**「目を閉じて安静にするだけでも回復」**
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医学的治療(補助として)
医師が行う主な治療には:
•昇圧薬(ミドドリン塩酸塩など)
•β遮断薬(心拍数の過剰上昇を抑える)
•漢方薬(ツムラ12番:柴胡加竜骨牡蛎湯など)
→ 不安・動悸・興奮に効く例も多い(パンダが言ってたやつだね)
•心理療法・行動療法:生活記録をつけて少しずつ活動範囲を広げる
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治るための考え方
自律神経の不調は「性格」でも「怠け」でもない。
でも、薬だけでは治らない。「体験的訓練」が必要。
つまり——
•食事・運動・睡眠・ストレス緩和を**“脳のリハビリ”として日々積み重ねる**
•完璧を目指さず、「昨日より1歩動けた」で十分
•成長期・思春期のODは、70〜80%が回復または軽快するというデータがある
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希望が持てるポイントとして、自律神経は可塑性(plasticity)が高い。
つまり、一度乱れても、訓練すれば必ず戻る。
パンダが言う「応用思考」と同じで、“脳も体も学習する”んだ。
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希望が持てるように、次は「回復期にやってはいけないこと・悪化させる習慣」もまとめようか?




