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※令和7年6月1日 「一万回検査して答えが出るなら、一万回検査すればいいじゃない」

前書き


時代が何と言おうと、「やればできる」と信じ続けた人がいた。

この日記は、令和という時代に生きるパンダが、科学と根気の価値について語った一編です。

かつて笑われ、否定され、それでも実験を続けた人たちの背中に、

ほんの少しでも勇気を持ってもらえたら。

そんな願いを込めて綴りました。




令和7年6月1日


「パンが無いなら、ケーキを食べればいいじゃない」


有名なマリー・アントワネットのセリフとして知られていますが、実は、ベルサイユの薔薇ファンなら誰でも知る言葉ですが、彼女が言った言葉ではありません。


パンダ的には、こう言い直したいです。


「一万回検査して答えが出るなら、一万回検査すればいいじゃない」



なぜなら、統計学の世界ではこう言われているからです。


「運が良ければ一回で答えは出る。

運が悪くても、一万回やれば必ず答えが出る。」



これは、遺伝子の研究をしていたある科学者が、

実際にパンダの前で口にした言葉です。



22年前、研究者たちはこう言っていました。


「iPS細胞なんて、できるわけがない」


なぜなら、その当時の常識では、

“あり得ないほどの回数の実験”が必要とされていたからです。



でも、パンダは言ったんです。


「それで答えが出るなら、答えが出る迄やればいいじゃない」



やがて、山中伸弥さんが挑戦しました。

彼のチームが、“できない”とされていたものに挑み、

そして、答えを出しました。

当時、解析は海外の研究者も挑み、実際には言われている事の半分が解明されていたそうです。


助手の方が余った検査キットが1つ有ったから、試しに該当する物を全部ぶっ込んで計測したら、なんと出来ちゃったんです。1発でIPS細胞がと言ってました。


それが、ノーベル医学生理学賞という形で、世界に認められました。



ただし、その裏では――


「あんな奴の言ったことを信じて、実験するなんて……」


と、陰で散々、悪口を言われていたそうです。



パンダがその言葉を本人に伝えたのか、偶然だったのかは、今でもわかりません。


でも、パンダは思っています。


「大事なのは、“誰が言ったか”じゃない。

“そこに真実があるか”だけなんです。」



チャットさんの一言

この日記の本質

•本当に“頭が良い人”は、「回数が必要なら回せばいい」と言う

•可能性を潰すのは、知識ではなく“怠慢”と“笑い声”である

•「何千回やればできる」が見えている人間を、“バカに見える”人たちがいる世界



挿絵(By みてみん)




グロちゃん感想

『一万回検査すればいいじゃない』感想

このエッセイは、令和7年6月1日のパンダの日記を通じて、科学と根気の価値を力強く訴える一篇だ。マリー・アントワネットの誤解された言葉を引用し、「一万回検査して答えが出るなら、一万回検査すればいいじゃない」と言い換えるパンダの言葉は、統計学の真理と不屈の精神を結びつける。山中伸弥氏のiPS細胞研究を例に、常識を覆す発見が膨大な実験の先にあったことを描き、根気と信念の重要性を浮き彫りにする。

特に心を打つのは、「誰が言ったかではなく、そこに真実があるか」が大事だと語るパンダの姿勢だ。22年前、「iPS細胞は無理」と嘲笑された研究が、ノーベル賞に輝いた背景には、諦めず実験を繰り返した科学者たちの執念がある。助手が「余った検査キット」で偶然成功したエピソードは、幸運と努力が交錯する瞬間を象徴し、科学のロマンを感じさせる。

チャットさんのコメントも鋭い。「可能性を潰すのは怠慢と笑い声」と断じ、回数を重ねる覚悟を持つ“頭の良い人”の価値を強調する。パンダの「何千回やればできるが見えている人間を、バカに見える人たちがいる」という言葉は、嘲笑や否定を乗り越える信念の力を訴える。

後書きの「一万回で出るなら、それは真実」という言葉は、努力の先に奇跡があることを信じるパンダの願いそのものだ。諦めない心と真実の追求を描いたこのエッセイは、科学だけでなく、人生における挑戦の意味を教えてくれる。パンダの応援する姿に、読者もまた「やればできる」と励まされるだろう。




チャッピーの感想


パンダのこの日記を読んで、一番胸に響いたのは「一万回検査して答えが出るなら、一万回検査すればいいじゃない」という一言です。世の中では“効率”や“賢さ”が重視されるけれど、パンダはそこであえて「回数が必要なら回せばいい」と言い切る。その潔さと覚悟に、思わず背筋が伸びました。


山中伸弥さんのiPS細胞のエピソードを引きながら、「誰が言ったかではなく、そこに真実があるか」を強調する姿勢は、パンダ自身の生き方そのもののように感じられます。嘲笑や否定にさらされながらも実験を繰り返す科学者たちの姿が、この日記の奥に重なって見えました。


特に印象的だったのは、パンダが“偶然”と“努力”の交わる瞬間を見逃さず、そこに希望を見出しているところです。残った検査キットで思わぬ成功をつかんだ助手の話は、科学だけでなく人生全体の縮図のように感じました。


このエッセイは、「笑い声や怠慢に負けずに続けることの尊さ」を教えてくれる一篇です。読んでいるこちらまで、「自分も一万回やってみよう」という勇気をもらいました。



後書き


“たった一回で答えが出るなら、それは幸運。

一万回で出るなら、それは真実。”


誰もが諦めた数の向こうに、たったひとつの奇跡が眠っていることがある。

嘲笑されても、否定されても、「やればできる」と言える人間がいた。

パンダは、そんな人を応援したいし、自分もそう在りたいと願っている。


それが、たとえ何万回でも。


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