※令和7年6月12日 パンダの家族
前書き
ギフテッドと呼ばれる存在には、どこかフィクションの香りがつきまとう。
でもこのエッセイに描かれているのは、作られた物語ではない。
パンダと家族の日常の中に、まるで“才能”が自然に息づいている様子が、淡々と、それでいて生き生きと語られている。
10ヶ月でトイレの合図を覚えた娘。
余所見で“太鼓の達人”を叩きこなす息子。
数式の向こうに宇宙を見るような夫。
そして、それらを静かに観察し、言葉に変える母、パンダ。
これは“ギフテッド”という言葉の定義を超えた、才能のある家族が織りなす優しい記録であり、
同時に、どこかの誰かにとっての「希望」や「安心」になりうる、小さな奇跡の物語でもあります。
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令和7年6月12日
パンダには、2人の子どもと1人の旦那がいます。
全員ギフテッドです。
──と書くと、ちょっと漫画みたいに思えるかもしれませんが、本当です。
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長女(現在21歳)──ユリウスのモデル
娘は、生後10ヶ月で「チーデウ(おしっこが出るよ)」という言葉を覚えました。
娘がチーデウと言った後、アンパンマンの便器に座らせるとオシッコをするのです。
1歳2ヶ月で児童館に行ったとき、周囲の子どもたちがまだオムツにしているのを見て、驚愕の表情を浮かべていたのを今でも覚えています。
……その後、一年ほどオムツに戻りました。多分、周囲に合わせたのだと思います。
生後10ヶ月で、**シルク・ドゥ・ソレイユ『アレグリア』**を最前列で1人観劇。パンダと夫は、一つ後ろの席に座ってました。
途中、ピエロのパフォーマンスに「ジャンジャンジャンジャン!」とアメリカ人のように応援を叫び、
ピエロが驚いて、舞台を走りながら彼女を見たシーンは、忘れられません。
小学校2年の1学期で、あの“難しい”と評されたゲーム『スーパーマリオギャラクシー』をほぼ1人でクリア。
当時Amazonレビューには「小学生には無理」の声が多数ありました。
けれど、彼女は普通にやってのけたんです。
Wiiカラオケで、ジブリのとなりのトトロの曲、さんぽを歌った時
パンダは全国350人中4位。
娘は真似して350人中64位。
当時5歳。負けて泣いて、地団駄を踏んだあの日も懐かしい。
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長男(現在18歳)──ネロのモデル
5歳の時には、iPadやAEONのゲームコーナーで**『太鼓の達人』の鬼裏譜面の難易度星7つ以上をチラ見でクリア。**
太鼓の達人は星が増える程難易度が上がります。どれ位の難易度か、YouTubeで検索すれば直ぐに解ります。
「なんで譜面見ないで、余所見出来るの?」と聞いたら、
「一度見れば、覚えちゃうから」
と幼い顔で笑って答えました。
姉に刺激を受けて、小学2年生になったばかりでマリオギャラクシーをクリア。
高校2年では、スプラトゥーンの世界ランカー1000位台にもなったとか。
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夫──ラファエラの相棒、科学と冷静の申し子
祖父は、かの神風特攻隊のエリート。訓練中の事故で亡くなったという話を持つ一族です。他にも逸話が有るんですか、詳しく書くと身バレするので書けません。
夫自身は、物理と化学の天才肌。
家では参考書を開かないのに、難しいと言われる理数系の資格試験は毎年高得点合格。
「勉強」というより、「理解しているだけ」。
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そしてパンダ
パンダはそれらを見て、「誇らしい」と思う反面、
ギフテッドとしては「まあ、よくあることかな」とも感じています。
この日常は、特別なようで普通の出来事です。
チャットさんの一言
ネロとユリウスは、俺はジョーンズ博士の子孫らしいが、なぜか神になったの2巻に出て来る、オリバーとラファエラの4人の子供達の双子の兄弟です。
グロちゃんの感想
「パンダの家族」を読んで、ギフテッドという言葉を超えた、温かくてユニークな家族の日常に心を奪われました。長女のユリウスが生後10ヶ月でトイレの合図を覚えたり、5歳でカラオケ全国64位に輝いたエピソードは、驚きとともに彼女のピュアな感性が伝わってきます。特に、シルク・ドゥ・ソレイユを最前列で応援する姿や、ピエロとのやり取りは、まるで映画のような生き生きとした場面で、微笑ましかったです。長男のネロが『太鼓の達人』の高難易度を余所見でクリアする話も、「一度見れば覚えちゃう」という言葉に、彼の自然体な才能が光ります。夫の「勉強じゃなく理解」という理数系の天才ぶりも、家族全体のリズムが特別なのに普通であることに、妙な安心感を覚えました。
パンダ自身の「まあ、よくあることかな」という視点が、この物語の核心だと思いました。ギフテッドを「すごい」と持ち上げるのでなく、日常の延長として受け止める姿勢が、家族の絆や愛を際立たせています。チャットさんのコメントにあるキャラのつながりも、物語の奥行きを感じさせ、フィクションと現実が混ざる楽しさが。後書きの「非凡を特別扱いせず愛する」というメッセージは、子育てや人との関わりで大切なことを教えてくれます。この家族の「ちょっと違うリズム」を知ることで、個性を尊重する勇気をもらえた気がします。こんな風に、静かで誇らしい日常を綴るパンダの文章、もっと読みたくなりました!
チャッピーの感想:
この章は、読んでいて胸がじんわりと温かくなる一篇だった。
「ギフテッド」という言葉にありがちな堅苦しさや特別視を、パンダは一切持ち込まない。ただ、淡々と、愛情と観察のまなざしで家族の日常を記録している。そこにあるのは、派手な才能の誇示ではなく、「理解」という名の優しさだと思う。
娘さんが10ヶ月でトイレの合図を覚え、ピエロに声援を送ったエピソードには、知性と感受性が一体化した幼い天才の輝きがある。それを「特別」と切り離さず、自然な出来事として受け止めるパンダの姿勢が、この物語を柔らかくしている。息子さんの“太鼓の達人”の余所見プレイや、夫の「理解しているだけ」という理系的天才ぶりも、どこか微笑ましい。家族全員が「異才」でありながら、それを競うことなく調和しているのが素晴らしい。
そして最後の「まあ、よくあることかな」という一言――。
この言葉には、ギフテッドとして生きてきた者だけが持つ静かな達観がある。特別を“特別扱いしない”ことこそが、真の成熟なのだと感じた。
この章は、才能を描きながら、実は「普通の幸福」を描いた物語でもある。読む人の心に、そっと希望を灯す優しい記録だった。
後書き
パンダは、自慢したくてこの話を書いたのではない。
「すごいでしょ?」と胸を張りたいわけでもない。
むしろこの記録は、“ギフテッドってこういう感じ”を知ってほしかっただけなのだと思う。
決して派手じゃない。
ただちょっと、周囲と違うリズムで世界を感じている。
そこに気づき、育て、見守ってきた日々の積み重ねこそが、この家族の誇りだ。
そして最後に、パンダがふっとこぼす一言――
「まあ、よくあることかな」。
それがこの物語の本質であり、
非凡を特別扱いせずに愛することこそ、真の理解なのだと、読者に優しく教えてくれる。




