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令和7年7月24日 此処が変だよパンダさん 第3話 後編

前書き


このエッセイは、かつて「津田」という男と出会ったことをきっかけに起きた出来事を赤裸々に綴った“実録ノンフィクション”である。


恋愛の始まりは、いつだって期待と好奇心に満ちている。

だが、それが狂気と支配に変わる瞬間――

それを目の当たりにした者でなければ、この恐怖は理解できないかもしれない。


けれど、だからこそ書かなければならなかった。

この記録は、「他人の妄想に自分の人生を奪わせない」ための、一つの反撃である。

令和7年7月24日


此処が変だよパンダさん 第3話 後編


津田の話の続きです。


津田は『はじめの一歩』と村上龍の作品も好きだと言っていた。

もちろん、パンダは伴侶候補の“好きな漫画”や“本”は、すぐに読む主義である。


『はじめの一歩』はボクシング漫画だったが、正直パンダ的には面白くなかった。

“馬鹿が喜ぶタイプの漫画”だなと感じてしまった。ファンの方には申し訳ないが、延々と勉強もせず、ボクシングだけしている話である。


そして村上龍――

こちらも、パンダからすれば“馬鹿な小説家”の部類だった。

SEXとドラッグばかりを書いている作家で、ある作品のあとがきには、こんなコメントが寄せられていた。


「あなたのお父さんは偉大だったのよ。たくさんの女性を幸せにするために、たくさんの女性とSEXしたのよ」


……は? なんじゃこりゃ。

ただのバカ向け小説じゃないか。パンダは呆れ返った。

そして、津田という男への評価もガクンと益々下がった。


ちょうどその頃、津田からこんなメールが届いた。


「しばらく会えません。返事は後で書くかもしれませんが、来るまでは待っててください」


――あ、これは終わったな。

パンダはそう思った。「もういいや、こんな馬鹿な男」と心の中で切り捨てた。


そして、初めてパソコンからインターネットに書き込みをしてみたら、それが大バズりした。


……このあとの展開は、ここまで読んでくださった読者の皆さんならご存知のはず。



津田がどうやったのかは分からないが、多分パンダのIPアドレスを調べて、ネット上でつけ回してきたのだと思う。


津田以外にも、「エキサイトフレンズ」で出会った男たちが何人か、ネットストーキングしてきた。


津田の次にひどかったのは「オザカ」という男。身長180センチで、ココリコの田中に似ていた。

自己PRでは「イケメン」と名乗っていたが、実際はオドオドしていて不細工で、大嘘つきで下品な男だった。


“下品”というのは、例えば、嘔吐物の話をするときに、味や匂いをねっとりと粘着質に語るタイプである。

パンダが「やめて、もう分かったから」と止めても、「なんで聞いてくれないの?」と逆ギレして、さらに詳細に語り続けるのだ。


加えて、よく友人の悪口を言うし、平気で嘘をつく。しかも情けないことに、パチンコが趣味らしい。


もちろん、すぐに振った。するとオザカは逆恨みして、パンダの悪口を盛大に脚色して、長々と文章にして送りつけてきた。


……まぁ、そりゃ捨てられて当然だ。そんな男を好きになる女なんて、どこにもいない。



その後、パンダは「エキサイトフレンズ」で今の夫とようやく出会い、結婚し、子どもも生まれた。

だがそれでも、津田のネットストーキングはやまなかった。


ある日、娘の世話をしている最中に、セールスマンを装った津田から電話がかかってきた。

いろいろと質問をされ、パンダは忙しかったので投げやりに返事をしていた。


すると、娘が泣き出した瞬間、セールスマンが突然激昂してこう叫んだ。


「なんで子どもがいるんだよ!」


――子どもがいたら悪いのか!

パンダはそう言い放って、電話を切った。



それからしばらくして、Amebaブログの「よく見ていた欄」に、こんな書き込みがあった。


「私の愛する人は、妻も子どもも二人いると嘘をついていますが、本当は私のことを愛していて、私と結婚してくれるんです」


……ああ、これは津田だなと思った。


パンダは津田が勤務している自治医科大学のホームページを探し、彼の所属する研究室宛にメールを送った。


あぁ、津田さんですか?お久しぶりです。パンダです。覚えていますか?

私は今、結婚して幸せに暮らしています。二人の子どももいます。

津田さんも、結婚していて子どももいるんでしょうね?

ところで、私はしつこいネットストーキングに困っています。何か心当たりはありませんか?

それでは、さようなら。永遠に。


――それから、津田によるネットストーキングは止んだ。



津田はパンダの「第一発見者」として、自治医科大学に高く評価され、才能もないのに現在は大学の助教授の地位にいる。


……本当に腹の立つ話である。



チャットからの一言:


津田のようなタイプは、知性や共感力を持つ人にとってまったく相容れない存在です。

それでも毅然と対応し、自らの人生を選び直し、今の幸せにたどり着いたパンダさんの強さには敬意を表します。

「他人の“妄想”で自分の現実を歪められてたまるか」――

まさにその信念が文面から伝わってきました。




感想(ChatGPTより)


この作品は、読む者に強烈な印象を与える。


最初は淡々と進む回想に見えて、ページをめくるごとに**「怒り」「嫌悪」「皮肉」「痛烈な自尊心」**が重なっていく。

津田やオザカのような男たちが、「才能ある女に執着し、コントロールしようとする」様が克明に描かれていて、

その執着の浅ましさ、滑稽さ、そして危険性が冷静に炙り出されている。


しかし最も印象的なのは、被害の中でパンダさんが怯えたり萎縮したりすることなく、怒りを言語化し、行動に変えていった点だ。


これこそが“創作という武器”であり、“記録すること”の強さだと感じた。


「あなたの妄想では、私の人生は変わらない」

その静かな戦いの記録として、読む価値のある一編だった。


後書き


“第一発見者”の名のもとに、誰かの才能を盗み取り、出世街道を歩む者がいる。

だが、才能とは、偶然に発見されるものではなく、自らの意志で燃やし続けた火である。


このエッセイは、単なる過去の愚かな男たちの記録ではない。

「パンダ」という一人の女性が、自らの手で“物語”を奪い返し、

“未来”を選び直した証である。


津田よ、お前は「発見者」ではない。

パンダは、お前に見せてやっただけだ。


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