第二十二話 結局は報復のピーーをうけることになるお話♪
ー 学園都市ヴェローナ ―
フロストヴァルド王子の『アッシュ』との決闘で瀕死の呪いを受けたリックは、いまだ、後遺症を抱えて生活をしていた。
学園都市のプリーストでは、これ以上の治療はお手上げ状態で原因もよくわからないようだった。
「フロストヴァルド王国の最高神官、エリザ・ノースフォード様ならば、」
ということを言われ、一行は黙るしかなかった。
それは、アッシュの姉であった。
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その後も懲りずにロペス家は、
アッシュ・ノースフォード王子を何とか暗殺しようとたくらんでいた。
ある日は、居宅を襲い、あくる日は、学園内に刺客を放った。
何しろ敵国の王子に、仕返しすらできないのである。
一家の恥であり、他の誰にも言うことはできない。
そうなれば家をあげて、対象を暗殺するしかない。
でもダメなのである。
アッシュ王子に近づくや否や、『よからぬこと』が起き、
誰でも再起不能級の状態異常を受けるのだった。
この効果は日増しに強くなり、
そもそも近づくことが困難になりつつあった。
これまで刺客や家のもので、
37人がこの影響を受けるに至った。
血の便がとめどなく出るもの、
穴という穴から血が噴き出すもの、
死ぬより苦しい「呪い」のような症状に苦しんでいた。
アッシュ王子に近付くことができないことを理解したロペス家は、
付き人の『ルーナ・ノーヴァ』を拉致、監禁し、
アッシュに復讐しようとたくらんでいた。
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その計画が実行に移される日がやってきた。
今日はリリアとアッシュを図書館に残して、
ルーナは学園から一人で帰宅していた。
傭兵達とロペス家の家臣のパーティがルーナを囲むように現れた。
「ルーナ・ノーヴァ、君にはしばらく学園を休んでもらう。」
一人の傭兵が冷たい声で告げる。
しかし、その瞬間、ルーナの目が冷たく光り、
一言も発せずに彼らを見つめた。
すると、傭兵たちの足元から土が盛り上がり、
次々と『土人形』にされていった。
土人形となった一行はその場で動けず、
助けを求めるが声すら出せない状態に陥った。
もうめんどくさいなと思い、
ルーナは無言でその場を立ち去った。
皆殺しにして外交問題になるのもごめんなのである。
きっと誰かが魔法で戻すことだろう。
土人形たちは立ちすくむ。
いや、これ、誰か助けてくれるんだろうかと思いながら。
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しばらくたったあと、ルーナの強力な魔法を感知したリリア皇女が現れた。
「あなたは、そんなのだから甘いのよ。ルーナ。」
土人形たちは、サンフォーレ皇国のリリア皇女に見つけてもらったことに安堵した。
「太陽神のお導きだ!!リリア様、助けてください!」
一行の一人が声にならない心の声でリリアに懇願する。
彼らは、リリアが助けに来てくれたと彼らは本気で思ったのだ。
リリアはつぶやいた。
「望み通り、魔法を解除してあげるわ」
土人形たちがリリアに感謝した瞬間に、
泥人形達は一瞬で黒い砂になっていた。
リリアは暗黒魔法で、泥人形たちを砂に戻したのだ。
リリアは飛んでいく砂を見下ろしながら、冷たい声で言った。
「あなた方は国の恥。そしてアッシュに危害を加えようとした罰ですわ」
一緒に来ていたノワールはその光景を見て、
心配そうに呟いた。
「ねぇ、これどう収拾するの?」
「これで収拾させたのだけれど」
「皇女様、ヒトであるならば、結果を予想しながら行動をしないと」
ノワールはかなり複雑な思いを抱えたまま、その場に立ちすくんだ。
この皇女様は、これの何が問題なのか、残念ながら理解できないのだ。




