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第十九話 お見合いの相手に魔法でピーーをして頂くお話♪

ー ヴェローナ学園都市 ホテルスィート ―


この日、皇女リリアは、たいへんに苛立っていた。


今日は、以前サンフォーレ宮殿でお見合いをすることになっていた

「アルバート・ほにゃらら」という男が、

今度は学園都市に訪ねてくるということだった。

リリアはもう名前も正確に覚えていない。


「しつこいわね。ノワール。」


「しょうがないんじゃないの、皇位継承もからむし、

皇帝の命令じゃ、嫌でも本人は来るしかないでしょ。」


「かわいそうだけれど、

今回も、恥ずかしい思いをするかもしれないわね。」


「なんだか、かわいそうなんだけど、

あれしか方法はないのかな。」


と、リリアたちはサンフォーレでの惨状を思い出していた。


_________________


重厚な雰囲気のサンフォーレ宮殿の玉座の間で、

リリアは父、皇帝レオンドゥスに呼び出されていた。


窓の外には、夕暮れの薄暗い光が差し込み、

部屋全体を幻想的な色彩で染めていた。


皇女リリアは、深紅のドレスを身につけ、

無造作に椅子に座っていた。


「リリア、そろそろ結婚のことを考えなければならん。

皇女として、国を継ぐ者として、結婚は避けて通れない道だ。」


父の言葉に、リリアは顔をしかめた。

「父上、私の気持ちはわかっているでしょう?

私は、結婚など考えていません。」


「分かっている。だが、お前は皇女だ。

皇国の未来のために、結婚は必要なのだ。


それに、相手はサンフォーレの貴族、

アルバート・カロリングだ。優れた剣士であり、

政治手腕にも長けている。

お前にとっても、皇国にとっても、ふさわしい相手だ。」


「わかりました父上」


とリリアはすました顔で言った。

話し合えない人と、

いくら言葉を交わしても時間の無駄なのだ。


ここは一旦折れて、

理解したふりをするに越したことはない。


「相手とは明日、宮殿で会わせる。」


父はそう言い残すと、玉座の間を後にした。


リリアは一人残され、ため息をついた。


「特段相手に恨みなどないのですが、

ここは一旦あきらめてもらうように頑張ってみますか。

さて、どうしましょうかねぇ。」


リリアは、策を練り始めた。


_________________


翌日、アルバートは、サンフォーレ皇宮にやってきた。

彼は、礼儀正しく、品格のある男だった。


しかしながらアルバートは今日1つ問題を抱えていた。

なぜか宮殿に着いてから朝から体調が悪いのである。

それも、時間がたつにつれてお腹のほうが痛くなってくるのである。

宮殿でもしも粗相(そそう)があってもどうしようもない、

粗相があれば見合いどころではないのである。


アルバート側は、「体調不良」を理由に一旦引き払ってしまった。

父の前でリリアは素知らぬ顔で、


「あら、残念ですわ、私、今日はとっても楽しみにしてましたのに♪」


とさらりと言ってのけていたが、

満面の笑みからは、何かこのリリア皇女がしくんだことは、

ノワールに容易に察知できるのであった。


「顔が緩んでますよ。リリア様」


「緩んでいたって、誰にもわかるはずがないわ。」


とリリアは答えた。


____________________


サンフォーレでの出来事を思い出し、

リリアはノワールと会話を続けた。


「そうね、この『おなかの調子が悪くなる魔法』、嫌がらせにはちょうどいいわ。でも相手に『魔法だ』と悟らせないように使うのは少し工夫が必要なのよ。」


とリリアはつぶやいた。


____________________


アルバートは、ホテル別室の応接室にて待機していた、

今日はリリアは特別、応接室にサンフォーレから連れてきている使いの者を全員整列させていた。


アルバート・カロリングは今回は気合を入れてきていた。


なんとこのアルバート、今日は、

『食事をしてこなかった』

のである。


食事をしなければ、

トイレの問題も起きようがない。


それに、今度は魔法防護やヒーリングの魔法も完備してきたのだ。


「めんどくさいわね」

「リリア様、今度は難しいんじゃないかな。」

「どうということはないわ。」


念話で2人は話していたが、

リリアはお見合い自体、

成立させるつもりもなかった。


「リリア皇女様、ご機嫌うるわしゅう、アルバート・カロリングと申します。」


とアルバートは丁寧に切り出した。


「リリア・サザンウィンドですわ。前回は体調が悪かったとお聞きしています。お会いできなくて大変残念でしたね。今日は体調のほうはよろしいんですの?」


とリリアは近づき、

周囲に悟られないように強力な魔法を発動させる。


「ぇえ、今日は大丈夫で、」


と言いかけた途端、

アルバートは突然腹痛が生じると同時に、

リズミカルな音が発生し、

速攻で失禁したことに気が付く。


リリアは、扇を顔に持ってきて、


「あら、アルバート様、大丈夫ですか?

体調が悪いなら無理なさらなくても大丈夫なのに。」


と声をかけた。


「こ、皇女様、失礼いたしました。

私はこれで失礼いたします。」


といって、アルバートは焦って退場していった。


リリアは、きっぱりと宣言し


「皆の者、アルバート様は体調が悪くいらっしゃったこと、

絶対に口外無用よ!」


と、表面上はアルバートのことを気遣うふりを見せながら、

心の底では笑い転げていた。

____________________


哀れな男、アルバート、

あなたには何も罪がないかもしれないけど、

あなたも悪いところがあるの。

私の魔法に抵抗ができない、

弱いあなたが悪いんですの。


と、リリアは微笑みながら、

応接室を去った。

__________________________


アルバート側は、理由はわからないものの、

お見合いを自粛するようになり、

このお見合いの話はなかったことにされた。


その場は緘口令が敷かれたため、

またアルバートは名誉のために口をつぐんだため、

皇帝は理由もわからないまま、

別の見合いを準備せざるを得なくなった。


皇女の下女たちが緘口令を守れたかどうかは誰も知る由はなかったが、

脚色を付けた噂が学園都市中を出回っていった。


「失禁貴族」の噂は、学園とサンフォーレ皇国に広まっていった。

結果、リリア皇女の『暗黒面』の噂が国外でも増えることとなった。

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