5年ぶりの文化祭
「第5回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」への応募作品です。
私の高校には文化祭が無かった。
「何で? どうして?」
あり得ない事象に私達“一年”が戸惑っていると
そのわけを
誰かがセンパイから聞いて来た。
「不祥事が原因で自粛している」と
「そんなのおかしい!! 反省や責任を取るべきは当時の先輩達だ!! その先輩達はもういないのだから!!」
憤慨している私達の耳に、不祥事の『内容と原因』が色々な“尾ひれ”を付けて入って来た。
その中で確かな事は……
『文化祭の開催中に、とある男子生徒が屋上から飛び降り自殺した』という事……
何が動機、原因だったのかは、“尾ひれ”の部分で色々取り沙汰されてはいたが……結局、不明だった。
「だったら!!」と
私達“一年有志”はその男子生徒のお墓にお参りし手を合わせた。
そして、墓前に供えられていたコスモスの花にあやかり“コスモス同盟”を結成して有志を募り、先生方学校関係者と文化祭開催の交渉を始めた。
その過程で……コスモス同盟は一年生の間だけじゃなく上級生にも拡がりを見せ、ムーブメントと呼べる位までになった!!
でも駄目だった。
恐らく“文化祭”は学校の対外的な“理由付け”にされてしまったのだと思う。
結局、私達の在学中には文化祭が行われる事は無かった。
ところが今年になって……「文化祭を復活させる事になった」と聞いた。今度は最近目立っている受験者数の漸減の理由付けで、そうなったらしい。
まあ、せっかくなので久しぶりに“母校”を訪ねてみる事にした。
5年ぶりの文化祭はそれなりに人が来ていてそれなりに賑やかだった。
講堂での催し。
クラスごとの展示や模擬店。
あの頃の私が……私達が欲していた物の数々がここにある……
だけど!!
「やっぱり素敵!!
文化祭が出来なくてホントに残念!!」
って思えない……
下手くそな演奏に間抜けなパフォーマンス
絵の具が乾ききっていないんじゃないかと思える展示物にマズそうな一品……
どれもこれも“がっかり度”ばかりがうなぎ上りだ!!
こんな物の為に!!
私は『青春』と言う言葉を使い掛けていた!!
バカバカしさと廊下をすれ違う喧騒に、私は軽いめまいを覚えて窓の外を見やる。
窓ガラスに幾分歪められた青空には……掃き残された雲と寝起きの悪い三日月が
ただ、浮かんでいた。
これは全くのフィクションですが……
当事者気分が抜けて……
はたと、気が付いたらこうだったって事はあるかもです……(^^;)
まあ、ここに恋愛とかのスパイスが混ざっていれば、もっと違うんでしょうけどね……(笑)
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