シンデレラ 台本
役として姉がありますが二人いる想定です。
詳しい振り分けはありませんが、二人同時のところは注意してください。
シンデレラ 「私、シンデレラ!両親ともに死に別れ!だけど、今は義理のお母さまとお姉さまたちと暮らしています!」
「義母さまたちは私にいろんなことをさせてくれるの!掃除洗濯食事の用意。きっと、両親を亡くした私が良いお嫁さんになって幸せになってほしいから、いろんなことをやれせてくれてるに違いないわ!」
「でもね、おうちのメイドさんたちはいっつもひそひそ陰口を言っているの。私がかわいそーとか、よくこんなのに耐えられるわねーとか。ほんっとうにイライラするわよね!義母さまたちの善意を馬鹿にしてるのよ!」
「だからね、私考えて、そんな奴ら全員消そうと思ったの!だから今は、義母さまたちのところに向かっているの。義母さまたちはいつもこのリビングでお茶をしているわ。さっそく、お話してきましょう!」
シンデレラ 「失礼します。お母さま、お姉さま。」
義母 「どうしたんだい?シンデレラ。私たちの茶会の邪魔をして、くだらない要件ならただじゃおかないよ?」
シンデレラ 「はい。実は、この屋敷のメイドたちがいっつもふざけたことを言っていて、義母さまたちに消してもらえたら、と思いまして。」
義母 「…ふざけたこと?」
シンデレラ 「メイドたちがいっつも私を可哀そうとか、お母さまたちがひどいとか言ってるんです。」
義母 「なっ!なんですって!」
シンデレラ 「お母さまたちは私のことを思っていろいろさせてくれているというのに…。ですから、消してもらいたいんです。」
義母 「チッ!厄介なことを…。そんな噂が流れても困るが、消しても家が汚くなる。くそっ、どうしようもないじゃないか!」
シンデレラ 「大丈夫ですお母さま!あんな奴らがいなくたって、私がいるじゃないですか!」
「確かに、あいつらがいなくなれば家事は大変になります。でも、私一人でやって見せます!ですから、あんな奴ら、消してもらえないでしょうか?」
義母 「…わかったよシンデレラ。お前の誠意はしっかり理解できた。もし、一人で家事をこなすことができたなら、褒美にもうすぐ開催される王子の舞踏会に連れてってやる。」
シンデレラ 「わぁ!本当ですか!ありがとうございます!私、頑張ります!」
ナレーター こうして、シンデレラ一家には家族以外の人間がいなくなり、シンデレラは多忙な毎日を送りました。そうして、半年が過ぎたころのことでした。
義母 「シンデレラ。よく、働いてくれてるね。約束どおり、舞踏会に連れてってやる。舞踏会は今日の夜だ。それまでに衣裳部屋でドレスを選んでおきな。」
シンデレラ 「ありがとうございます!お母さま!(やった!お母さまたちとお出かけができるのね!きっと楽しいわ!)」
ナレーター とうとう、約束の舞踏会の日になったのです。シンデレラはウキウキでドレスを選び、準備をします。夕方、出発の時間。
シンデレラ 「お母さま、とってもお似合いです!お姉さま、とってもかわいらしいです!」
義母 「ありがとう。シンデレラ。」
姉 「あなたも似合っているわね。まぁ、私たちほどではないですけれど。」
シンデレラ 「ありがとうございます。お姉さま!」
姉 「さっそくだけど、御者がいないのよね。だからお前にやってもらおうかしら?」
シンデレラ 「はい!喜んで!どこの馬の骨かもわからないやからに、お姉さまたちのお尻は預けられませんから!しっかり、お勤めさせていただきます!」
姉 「はぁ、じゃあ、しっかりお願いねシンデレラ。」
義母 「では、出発するわよ」
ナレーター こうして、シンデレラが御者を務めて、お城へと向かっていきました。
────────────────────────────────────
屋敷から走り去る馬車を、物陰からにらみつける小汚い壮年の女性が一人、憤りを隠しきれぬ様子で憤慨していた。するとそこに妖精が現れたのだ。
メイド 「ッッッッ!なんなのよ、あいつ!私たちをクビにして、何様のつもりよ!それに、私たちはお前を気にかけてやってたってのに、勘違いしやがって!クソガキが!‥…あんなやつ、雷に打たれて、廃人になっちまえばいいのよ!」
妖精 「おやおや?ここから面白い声が聞こえたんだが、あんたかい?」
メイド 「!あ、あなたは誰!?」
妖精 「ああ、私はね妖精さ。あなたが面白いことを言っていた本人で間違いないようだね。…あなたの願い、叶えてやってもいい。あの、御者台にいた娘を廃人にするというのだね、雷に打たれて。」
メイド 「ほ、本当!本当にやってくれるの!あのにっくき女を!」
妖精 「ああ、本当さ。…ただし、そのためには対価をもらわなくちゃいけない。それも、とびっきりのを。」
メイド 「なんでもいいわ!あの小娘を絶望の淵に落とせるのなら!」
妖精 「いい返事だ。確かに、その願い聞き届けた。では、対価を徴収する。」
妖精はそういうと、メイドに向かって指を動かし、何かを吸い込むように息を吸った。それと同時に、メイドは地面へ倒れこむ。
妖精 「…久しぶりのデザートは、かくべつだねぇ。くくくく。」
────────────────────────────────────
ナレーター 屋敷を出発したシンデレラたちは、無事お城へと到着しました。
シンデレラ 「到着しました。では、私は馬車を止めてきますね。」
ナレーター 御者を務めていたシンデレラは、義母・義姉たちを門の前へおろすと馬車を止めに繋ぎ場へ向かいました。
姉 「…それにしても、あの子気持ち悪いわよねぇー。」
姉 「本っ当にそうよね。ちょうどいいし、ここで適当な貴族にでも売っていかない?」
姉 「そうね、それ名案だわ!顔はいいしそれなりになりそうよね。」
義母 「そうよねぇ、ここらが捨て時よねぇ。」
姉 「あら?お母さま、売るつもりなのね?」
義母 「はははは!そうねぇ、そうだわねぇ!だから!たのしみだねぇ!…行きましょうか。ふふっ。」
姉×2 「はい。まいりましょう。」
義母 「…それにしても、今回は顔だけの出来損ないのほうか。残念だねぇ、せっかく来たってのに。」
────────────────────────────────────
ナレーター 馬車を止めてきたシンデレラが戻ってくると、そこにはすでに義母たちはいませんでした。
シンデレラ 「…お母さまたちがいないわ。きっと先に行ったのね。もぅ、少しくらい待っててくれてもいいのに。…少し、時間すぎちゃったけど。」
お城のメイド 「ようこそお越しくださいました。予定された時間はすでに過ぎていますので、ご入場までしばしお待ちください。」
シンデレラ 「ええ、わかっています。(もぉ~、早くお母さまたちに合わせなさいよ!)」
シンデレラは、内心子供のようにすねてはいるものの、身にまとう雰囲気は高貴で落ち着きのある麗しのお姫様といった具合だ。
お城のメイド 「では、控室までご案内します。そこでしばし、お待ちください。」
ナレーター シンデレラは、お城に勤めているメイドに連れられて控室まで案内されます。
シンデレラ 「ねぇ、王子さまってどんなお方なの?」
お城のメイド 「…とてもお美しい方ですよ。」
シンデレラ 「そう。…どれくらい?」
お城のメイド 「そうですね。…ちょうど、あなた様が男性になられたような、麗しい容姿ですよ。」
シンデレラ 「そう。ありがとう。(私ぐらい、…たいして美しくないのね。絶対、お姉さまたちに近づけないようにしないと)」
お城メイド 「では、こちらでお待ちください。」
シンデレラ 「ええ、ありがとう。」
ナレーター 控室につくと、シンデレラは一人になりました。
シンデレラ 「…それにしても、お城ってずいぶん立派ね。ぜひ、私たち一家で使いたいわ。一室でこの広さだもの、ぜんぶお掃除したら、きっとお母さまたちもほめてくれるに違いないわ!ふふふ!」
ナレーター そうして、軽く身だしなみを整えたり調度品の位置を正したりしていると、先ほどのメイドがやってきました。
お城のメイド 「失礼します。入場の準備が整いましたので、ご案内いたします。」
メイドに連れられ舞踏会場へ着く。
お城のメイド 「…では、ご入場ください。」
ナレーター 会場へ入るときに少しの時間を要したのは、シンデレラの到着を周知させるためでした。ですので、ゆっくりと開け放たれる扉は遅れてきた痴れ者を嘲笑するための笑みを皆に浮かばせる合図になったのです。しかし、そこから現れたのは儚くも麗しい、傾国の美女とも思える少女だったのです。そんな少女を見た者たちは嘲笑うことも忘れ、ただ熱心に少女を見つめるだけでした。ですがそれも、少女が家族を見つけるまでのことでした。
シンデレラ 「はぁ!お母さま!お姉さま!やっとお会いできました!私がどれほどこの時を待ち望んだか…さぁ!みんなで踊りましょう!」
ナレーター 儚げな少女が、天真爛漫な幼子に変わったのです。この事実に会場は唖然としました。ですが、それさえも一時のことだったのです。
義母 「…ええと、どちら様でしょうか?私たち何か御用ですか?」
シンデレラ 「え?なに言ってるんですか?お母さま。ねぇ!お姉さま、お母さまがおかしなことを…」
姉 「…なにか、人違いをしておりませんこと?私たちに妹なんておりませんわよ?」
シンデレラ 「…ほ、本当にどうなされたのですか?みんなで私をからかって?」
義母 「ごめんなさいねぇ。あなたみたいな礼儀知らずでおかしな娘、私の家族にいないの。」
シンデレラ 「え?本当に、何を言って…」
姉 「誰だったかしらねこの娘?…ああ!思い出した。確か、自分のわがままで使用人を排除した挙句、皆に嫌われてるとも知らず雑用ばかりしていた、残念な娘でしょ?」
シンデレラ 「…」
義母 「ああ!そういえば、そんな娘もいたねぇ。嫌いすぎて頭から消えていたよ!…そういうことだからさ、みんなお前が嫌いなの。分ったかい?」
シンデレラ 「何を、…そ…んな。う、嘘ですよね。冗談、ですよね。みんなでからかってるだけ、ですよね?ね!?」
義母 「…はぁ、本当に現実が見えていないのね。ちょっと、そこのメイドさん。この方は少し気が優れぬ様子。少し外にお連れしたほうがよろしいのでは?」
お城のメイド 「は、はい!そうですね畏まりました。シンデレラ様、こちらへ。」
シンデレラ 「っ!お母さま!冗談ですよね?お姉さま!みんなでからかっているだけですよね?嘘ですよね?嘘だって、言ってください!お母さま、お姉さま!」
お城のメイド 「失礼いたします。…控室まで行きましょう。」
シンデレラ 「いやよっ!お母さま、お姉さま、何か言ってください!嘘だって言ってください!冗談だって笑い飛ばしてください!…じゃないと、じゃないと私、どうにかなってしまいそうです!」
義母&姉 「…」
シンデレラ 「お母さま…お姉さま…」
お城のメイド 「まいりましょう。…お騒がせしました。この方は私が送り届けさせていただきます。…よろしいですね?」
シンデレラ 「お母さま…お姉さま…」
お城のメイド 「…では、失礼します。」
────────────────────────────────────
お城のメイド 「…では、ここで少々お待ちください。すぐに帰りの馬車を用意してきますので。」
ナレーター 何があったのか。取り乱すシンデレラは、メイドに連れられ再び控室へとやってきました。そうすると、メイドはシンデレラを送るために馬車を取りに行きます。
シンデレラ 「違う違う違う違う違う違う違う違う違う。そんなことない、冗談よ。きっとそう。今までだって、少し冷たいときはいっぱいあった。そうよ、いつもの、きっといつもの花嫁修業の一環よ。きっとこれは、冷たく当たられても平静を保ってっていうことよね。そうよそうだわそうに違いないわ。絶対にそう言うことだわ。だったら耐えられるわよね。いいえ、耐えて見せなければならないわよね。それがきっと、ああまでしてくれたお母さまたちへの恩返しになるんだから。」
妖精 「そうさねぇ。そうだといいねぇシンデレラ。でもね、あなたはダメなんだよ。不幸になるのが遅すぎた。」
ナレーター 必死に現実を受け入れようとするシンデレラに、どこからか声が届きます。それは、妖精さんの声でした。
シンデレラ 「…あなたは?それに私が不幸だなんて、そんな素っ頓狂なこと言わないで。確かに多少辛いのは事実だけど、不幸ではないわよ。今もまさに、お母さまたちから愛をもらっているのですから。」
妖精 「そう考えたいのもわかるが、あんたは捨てられたんだよあの親子に。おまけに、どっかの貴族に売られたらしい。それとも…王子か?」
シンデレラ 「どこかの貴族にって。…馬鹿言わないで。まして王子様なんて。お母さまたちは私に花嫁修業をさせてくれるのよ?なのに売るなんて、ありえないわ。」
妖精 「まあ、何を言っても無駄なようだね。…どっちにしろか。」
ナレーター そう言うと、妖精さんは何か言葉を紡いでいきます。ドア越しの音すら気に留めず。
王子 (コン、コン)
妖精 「これより、私はかのものの願いを遂行する。」
王子 「あの、シンデレラ様はいらっしゃいますか?」
妖精 「対価は命。願うは落雷。」
王子 「入りますよ…」
シンデレラ 「いやああ!」
王子 「どうなされましたか!」
妖精 「今ここに、神罰を与えん。果てよ、メンタルブレイk…(クダウン)」
王子が扉を開けた時、目に飛び込んだのは恐ろしい光景だった。麗しの姫君が、謎の雷に打たれようとしていたのである。しかし、同時に脳裏をよぎったのは助けるという選択だ。彼女の身代わりとして雷に貫かれることで、シンデレラからの好意を我が物にしようとしたのだ。だから考えが及ばなかった。雷に打たれることの恐ろしさが。
妖精 「はっ!」
王子 「貴様!なにも…(するな)」
妖精 「よけろ!」
王子 「ぐ、があああああ!」
妖精 「くそっ。…願いは聞き届けた。われはまた、汝のもとに顕現せん。」
ナレーター 王子様を貫いた妖精さんは、どこかへと消えていきました。そして、落雷を受けた王子様は、ただただ虚空を見つめるだけで、何も反応はしません。
シンデレラ 「い、今のは、なんだったの?…お、王子様!大丈夫ですか?」
王子 「…」
シンデレラ 「王子、さま?」
お城のメイド 「どうされましたか!大きな音が響いていて…王子様?どうなされたのですか?起きてください!」
王子 「…」
お城メイド 「こ…これは!脈は…あるようでよかった。何があったのですか?」
シンデレラ 「わからない、わからないの!突然変な奴が現れて、私に何かしようとして、それで、…それで、王子様が私を…かばって…‥………。
お城メイド 「なるほど、それで雷が王子様を貫いたと。お顔に傷ができてますものね。これでは、もう…王族としての立場もないですね。っふふ!」
王妃 「何事ですか?」
ナレーター 落雷を聞きつけたのか、近くにいた王妃様が駆けつけてくれました。
お城メイド 「王妃様!いかがされましたか?」
王妃 「大きな音がしましたので、寄ってみたのです。…ああ!それは、私の愚息でしたか。唯一良かった顔に亀裂が入っていたもので、誰だかわかりませんでした。これでは、政治の道具としても機能しない、ゴミになってしまいましたね。どうしましょう?」
シンデレラ 「…私のせいで…私のせいで…」
お城メイド 「でしたら、どうでしょうか王妃様。」
王妃 「?」
お城メイド 「王子様が、天罰によって裁かれたことにするのは。そうすれば、王子様のせいで離れていた貴族たちもよりを戻すでしょう?」
王妃 「確かに。でも、殺さないといけないじゃない?手間よ、そんなこと。」
お城メイド 「大丈夫です。王子様は私がもらいます。」
王妃 「へぇ。」
お城メイド 「幸い、私の実家は辺境も辺境。統治する貴族もいません。ですので、見つかることはないでしょう。それに…今の王子様が鏡を見たとき…ふふっ、実にかわいいと思いませんか?」
王妃 「まあ、そうね。好きになさい。もとより、そのものは処分する予定でしたから。その手間を、ここで排除できるのなら良いことでしょう。」
お城のメイド 「ありがとうございます!」
王妃 「それと、そこのものは?」
シンデレラ 「わたしはわたしはわたしはわたしはわたしはわたしはわたしは…」
お城のメイド 「ああ、この方は王子様の今晩の相手にして、舞踏会で愛する家族に捨てられた、哀れな娘です。それと…とても美しい。」
王妃 「そう。その分ならこっちもあなたに任せていいわね?」
お城のメイド 「はい。喜んで。この勤め果たさせてもらいます。」
王妃 「はぁ、勝手になさい。王子の件はこちらでやっておくから。」
お城のメイド 「はい!失礼します。シンデレラ様、まいりましょう。ここにいては、またあのおかしな輩に絡まれるでしょう。さあ。」
シンデレラ 「あぁ…は…い。」
お城のメイド 「私が、王子様を抱えていきますのでついてきてください。」
────────────────────────────────────
ナレーター シンデレラたちがお城を後にした後、騒ぎを聞きつけた者たちが続々と集まってきました。
義母 「はぁはぁ、こっちで大きな音が…王妃様!ご機嫌麗しゅうございます。こちらのほうで何か、大きな音がしたのですがいったい何が…」
王妃 「王子が、死にました。」
義母 「え?」
王妃 「彼に、神罰が下ったのです。その身は雷に打たれ、灰燼となりました。弔いの準備を進めますので、会場に来ている皆さんはおかえりください。」
義母 「了解いたしました。では、そう伝えてきます。」
王妃 「ええ、頼みましたよ。」
王妃 「…それにしても、あの子も災難よねぇ。あんなに美しくても、一度悪魔に目をつけられればすべてが無駄になってしまう。…理不尽もここまでくれば、正義よね。」
────────────────────────────────────
ナレーター お城から逃げてきたシンデレラたちは、メイドの実家だという田舎の方まで来ていた。
お城のメイド 「つきましたよ。ここは、私の実家です。だいぶ田舎なので慣れないかもしれませんが、今日からはここで過ごしましょう。…あぁ、家族はいないので安心してください。私たち三人だけですよ。私は王子様を寝かせてきますので、…ふふふ、温かい家庭を築きましょうね!」
シンデレラ 「(…私は、みんなに捨てられちゃって、その上この国の王子様を傷つけてしまった。…本当に、どうしようもないわよね。…)」
お城のメイド 「…王子様はベットに寝かせてきました。私たちは、お風呂にでも入りませんか?お互い、いろいろあってだいぶ汚れていますから。…(ぐへへ)お背中お流ししますよ。」
シンデレラ 「はい。いろいろとありがとう。さっきは、…ずっと取り乱していて悪かったわね。」
お城のメイド 「いいえ、お気になさらず。…(泣き顔も、光のない顔も最っ高でした)これからは、一緒に暮らしていくのですから、お互い、つよがんなくていいんですよ!」
シンデレラ 「…ありがとう。」
お城のメイド 「さぁ!お風呂に行きますよ!着替えは用意してありますので!しっかりそのお美しい肢体…いいえ!汚れてしまったお体を、きれいにさせていただきます!」
シンデレラ 「あー、お手柔らかにお願いしますね?」
────────────────────────────────────
シンデレラ 「ふぅ。気持ちよかった。」
お城のメイド 「それはよかった。…さっきまでの考え事は、少しは収まりましたか?」
シンデレラ 「ええ、心配かけて悪かったわね。」
お城のメイド 「…(微笑んだ姿so cute)では、体が冷えぬうちに私たちも寝ましょうか。…ですが、その、ベットが、一つしかないのです。」
シンデレラ 「…何か問題でも?一緒にお風呂に入ったではないですか?」
お城のメイド 「いえ、その私、実は抱き着き癖がありまして。ですので、寝ているうちにそんなことをしてしまったら、よろしくないかと思いまして。」
シンデレラ 「私は構いませんよ。ふふっ、これからは一緒なのですから、いくらでも抱き着いてください」
お城のメイド 「…(そ、それは!ごう、合法!)ええ、そうですね。寝ましょうか!」
ナレーター こうして、数週間がたち、その間も王子が目覚めることはありませんでした。そんなある日のこと、
お城のメイド 「では、私は作物の様子を見てきますので。」
シンデレラ 「ええ、行ってらっしゃい。」
ナレーター ここでの生活も習慣化し、だいぶ慣れてきました。
シンデレラ 「…こうして、王子様の寝顔を見るのもすっかり習慣になってしまいましたね。あなた様はいつお目覚めになられるのかしら。…私が奪ってしまった時をどう償えばいいのか…。…私もお務めを果たしましょうか。」
ナレーター そうして、立ち上がろうとしたとき何かに引っ張られたような感覚に陥ります。
シンデレラ 「(ガタッ)…うん?何か引っ張られて…はぁ!お、お目覚めになられたのですか!王子様!」
王子 「ぁ、あぁ、うぁあうぁ…」
シンデレラ 「な、なにをおしゃられて…」
王子 「あぁういぁぃぅぅあうぁうぅ…」
シンデレラ 「…待っていてください、すぐにメイドさんを呼んできますので。」
王子 「ぃ、いあぁぃえ、『ま、ぁ…』」
シンデレラ 「(ピキーン)(全宇宙の歴史が脳内に入る)い、いまなんと…」
王子 「いああいえ、『まま!』」
シンデレラ 「はぁぁぁ!『ま、ま』!そんなに見つめられると、私…(こんな熱く求められることなんてなかった!)」
王子 「『ま、ま?』」
シンデレラ 「……………はい!ままですよ!どうしましたか?」
王子 「『まま!』おなかちゅいた!」
シンデレラ 「まあ!では、すぐにお食事の準備をいたしますね!何を食べたいですか?」
王子 「う~ん…おっぱい!」
シンデレラ 「あら!わかりましたわ。…母乳、出るかしら?」
お城のメイド 「あ・・・・この状況は一体…」
シンデレラ 「おかえりなさい。たった今、王子様がお目覚めになられて…」
お城のメイド 「シンデレラが、上半身をさらしておられるのは…」
シンデレラ 「お目覚めになられた王子様が、乳が欲しいとのことでしたので。」
お城のメイド 「だったら、氷室にミルクがあるでしょう?」
シンデレラ 「ムッ、それはなりません!わが子のために乳を出すのが母親というものでしょう!」
お城のメイド 「それって、どういう…」
王子 「『ままぁ』、おっぱい、まだぁ?」
シンデレラ 「はいはい。ちょっと待ってくださいね。よっと、はい。すっていいですよ。」
王子 「あぁ…」
お城のメイド 「(ピキーン)(この世の未来がすべて脳内に送り込まれる)ままぁー。わたちも、おなかすいたー。」
王子 「む。ん~!」
シンデレラ 「あらあら、メイドさんも赤ちゃんになったのですか?…仕方ありませんねぇ、メイドさんもこちらに来てください。一人ずつだと時間がかかってしまいますので、いっぺんに飲んでいただけると幸いです。」
お城のメイド 「やっちゃ~」
ナレーター こうして、王子は無事目覚め、シンデレラは新たな可能性を見出し、お城のメイドさんは…幼児退行してしまいましたが、みんな幸せに暮らすこととなったのです。めでたし、めでたし。
最後は意味深です。