慎ましく折れることなく
指二本分ぐらいの小さな緑の葉を
たくさんたくさん身にまとい
壁のように整列して並んでいる木
家の壁を道路の内側に窪ませて作られた
壁の外側の花壇で花咲かせている
五芒星の、一見星のようにも見える
赤い花や白い花
色までも夜空の星の色のようだけど
夜に光り輝くことはなく
昼に彩り咲き誇っている
躑躅『つつじ』
通ることを躊躇う花
低木だから
高山でも花を咲かせるこの花は
同じ高山に放牧される羊たちに
踏み入ることを躊躇わせたから
この名がついたとも言われてる
時折、垣根のようにして
建物の周囲をぐるりと囲むように
花咲かせているのは
そんな由来にあやかったものなのかな
なんて思う
躊躇わせる花なのに
その蜜は甘くて
その姿は華やかで
気づけば惹きつけられている
映山紅『つつじ』
同じ姿でも
捉え方や接し方で
見え方が変わる花
名は体を表すけれど
それが全てじゃない
そんなことを教えてくれる花
慎ましやかに
でも誰になびくでもなく
強く咲く花
艶やかに彩ることも
香り立つ匂いを纏うことも
毒を身に抱えるのも
生きていくため
生き延びるため