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ある冒険者たちの物語  作者: ひろきち
第1章 僕は君を守りたかった
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4. -女剣士レイラ②-

「リーーーフ!!!」


俺は叫びながらトロルに向かって駆け出しトロルに切りかかった。


「ギュオーー」


走りながら剣には氷属性の魔力を付与していたこともあり、切りつけたトロルの左腕が一部凍り付いている。

フェンリルの時と違ってこいつには俺の魔法も通用するようだ。


俺は切りつけられ怒りに任せて剣を振るうトロルの反撃を躱しつつ、懐にもぐりこみその左胸に剣を突き刺した。

そして剣先から氷結の魔法を放つ。


「アイスロック!!」


剣先から冷気がほとばしりトロルの大きな体を少しずつ凍らせてゆく。


そして、トロルの体が完全に凍り付いたところで俺は刺していた剣を引き抜き、止めとばかりに剣に炎の魔力を付与し上段から切りつけた。


氷と炎の温度差で凍り付いていたトロルの体が砕け散る。

冒険者時代に俺が得意としてた戦法だ。


大分鈍っては居るかもしれないけど体が勝手に動いてくれたな。

最も今の俺じゃ魔法が効かなかったら正直危うかったかもしれない。


俺は態勢を整え、突然の出来事に呆けているリーフのもとへと移動した。


「リーフ大丈夫か!」

「え?リーフ?誰それ?っていうかあんた誰?」

「・・・」


そう だよな・・・リーフが生きているはずがない。

よく見れば顔は似ているけど別人だ。そもそもリーフは銀髪だったし・・・

それにリーフはあの時俺の腕の中で・・・

俯き思いつめた顔をしていると赤毛の女性が話しかけてきた。


「リーフって知り合いの人を探してたの?

 その人の事は知らないけどさ、あんた中々やるじゃん。助かったよ。

 あ、私はレイラ。見ての通り冒険者さ。

 あんたは・・・冒険者って感じじゃないね?」


レイラと名乗った赤毛の冒険者はそう言いながら俺の事を見て笑いかけてきた。

何ていうか親しみやすい笑顔だ。

確かに今の俺の恰好は普通の村人って感じだし冒険者には見えないよな。


「俺はアレク。ラクルの町で道具屋をやってる。一応は元冒険者だ」

「"元"かどうりで。

 でも十分現役でもいけるんじゃないか?中々いい剣筋だったぜ。魔法剣も良かった。」

「はは ありがとうよ」

「それよりラクルの町ってことはシャザムがここの事を知らせてくれたのか?」


シャザム?あの冒険者の事か?

そういえばプレートで名前を見る前に来ちまったんだよな。


「名前は聞いてないが、怪我をした冒険者が町に来て・・・湖の近くで魔獣に襲われたって知らせてくれたんだ」

「そうか・・・多分シャザムだな。あいつは無事か?」

「あぁ出血は酷かったが命には別状はないと思う。とりあえず治療が出来る教会まで運んでもらったよ」

「そっか・・・仲間が世話になったな。ありがとう」


無事を伝えると安心したのか笑顔で俺に礼を告げた。

・・・やっぱり似てるよな。


「な 何だよ人の顔じっと見て!」

「あ、ごごめん」


つい顔を見つめてしまったけど、初対面の女性の顔を見つめるのは失礼だよな。

そういうのに慣れていないのか彼女も顔を赤くしている。


「ま まぁ減るもんじゃないし良いけど・・・助けてもらったし・・・」

「助けたのは気にしなくていいさ。持ちつ持たれつだろ冒険者は」


「そう言ってもらえると助かるよ。あんたいい奴だな。

 ちなみに言い訳にしか聞こえないかもしれないけどトロル1匹程度なら魔獣化していたとはいえ私や仲間達でも余裕で殲滅できたんだからね。

 ただ、今回はもう1匹、いや1人か?の人型の魔獣が強敵で・・・パーティの仲間も警護していた商隊の人達も奴に・・・」


そう言って悔しそうな顔をするレイラ。

辛いよな・・・仲間を失うのは。

それにしても人型の魔獣か・・・


「そいつって黒いローブを着た奴か?」

「知ってるの?」

「あぁ・・・俺の居たパーティも奴に・・・」

「そっか・・・・奴の事はここ数年ギルドでも話題になってるよ。

 腕利きのパーティが幾つも犠牲になったし、村や町もいくつか消滅させられたってね。奴の目的は未だにわからないけどギルドとしても討伐に乗り出してはいるんだよね。最も神出鬼没で全然だけどさ・・・」


俺自身、冒険者は辞めたが奴の事は色々と伝手を使って調べ、王都に行ったときも知り合いのギルド職員に同じような話は聞いていた。

アジュール同様に破壊された村や町、それに奴が放ったともみられる魔獣たちの影響で瘴気に汚染されてしまった草原や森。

そして討伐に向かい犠牲となったパーティ。


話を聞いている限り今の俺では奴に勝てないだろうな。

だが、自己満足かもしれないけど、みんなの無念の分せめて一太刀でも・・・


「それで奴はどうしたんだ?俺が来た時には居なかったが」

「・・・消えたよ」

「消えた?」

「うん。さっき大きな爆発があったでしょ?

 この先に洞窟があるんだけど、奴がそこに魔力波を放ったんだよ。

 凄い破壊力であの土煙だ。

 あんなの食らったら私ももう駄目かなって正直死を覚悟したんだけど、さっきのトロルを残して急に消えちまったのさ」

 まぁ理由はわからないけど私はそのおかげで命拾いはしたんだけどね」


俺達の時もそうだったな。

あの時も洞窟絡みだった。

だとすると今回も?


「その洞窟は?」

「・・・逃げるのに精一杯だったけど爆発で入り口は塞がってしまったみたいだし入るのはもう無理ね」

「そうか・・・」


洞窟に破壊すべき何かがあったのかもしれないな。

・・・町長のジゼルさんなら何か知ってるかもしれないな。

まぁとりあえず今は


「怪我もしているみたいだし町に戻ろうか。レイラさん」

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