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ある冒険者たちの物語  作者: ひろきち
第2章 異世界転移は楽じゃない
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1. え!異世界転移?

「・・・・何処だここ」


思わず誰ともなしにつぶやいてしまった。

でも気持ちはわかって欲しい。

目の前に広がるのは何処までも続いてそうな大平原。

そんな中に俺は1人ぽつんとは立っていた。

正直訳が分からない。

少なくとも俺が住んでいる町・・・ではないだろうな。

田舎町だけど、流石にこんな平原はなかったはずだ。


それに今日の俺は会社から終電で帰宅していた。

もちろん深夜で真っ暗だった。

でも・・・今はどう見ても真昼間だ。

幾らなんでも半日以上こんな場所で寝てたとも思えない。

しかも立ちながらで半日とか流石にないだろ。

何がどうなってるんだ?


服装は会社帰りのスーツ姿のままだし、鞄は・・・・・無い。

何処か眠たげだったのが一気に目が覚めた。


まずい!鞄の中には明日客先の会議で使うプレゼン資料が入ってたはず。

あれを無くしたとなるとセキュリティインシデントだ!

それにスマホや財布、それにICカードとかも入ってたはずだ。無くしたとか報告書や顛末書を何枚書けばいいんだよ!


っていうかそもそもどこで無くしたんだ?


よく考えろ俺。

今日(というのも今となっては怪しいけど)は終電で帰宅し地元駅の川野辺で電車降りて・・・確かこの時は鞄にスマホをしまったから・・・鞄はあったはずだ。

で、終バス終わってたから家まで駅から歩いて帰る途中・・・・帰る途中?


そうだ!スマホ見ながら歩いてた女の子が赤信号で道路に飛び出して・・・俺をそれを助けようとしてトラックに・・・・ん?トラック?


眩しいトラックのライトと迫ってくる車体がフラッシュバックする・・・ってもしかして俺死んだのか?


でもってここは死後の世界?

いや、それにしてはリアルだよな。

だとすると、昔よく読んでたラノベに出てくる異世界に転移しちゃった感じ?

まっさか~~ってかマジ異世界転移?

冴えないアラサーサラリーマンの俺が?

いや、それってありそうな設定だな。

じゃ、もしかして何かチートな能力とか勇者的な力とか貰っちゃってたりするの?


と軽く体を動かしてみるが・・・いつもと変わらない。

少なくとも超人的な力が!!!なんてことはないみたいだ。

夢の中とかで女神さまと会って・・・とかも無かったもんな。


だとしたら普通に異世界に転移しただけなのか?

そもそも異世界ってどんなところだ?

都合よく言葉が通じたり生活習慣が被ってたりするのか?

・・・いきなり襲われて殺されたりはしないよな。

・・・そもそも人が住んでんだよな?


小説やアニメの世界ではご都合主義な感じで話が進むけど、現実に起きたことと考えると・・・そんなご都合主義はありえない。

考えれば考えるほど不安になってくる。

一応一人暮らしはしていたし自炊や生活に必要な身の回りのこと位は出来るけど、家電や生活に必要なものが揃っていたからだ。

学生時代は剣道や柔道やってたしそれなりに体力はあると思うけど、、、

何もないところでのサバイバルテクニックとか持ってないぞ俺。


それにしても時間の概念はどうなってるんだ?

実際はどれくらい時間が経ったんだろう。

正直今のところお腹も空いてないし喉も乾いていない。

ただ、この大平原には見る限り水も食料もなさそうだ。

せっかく異世界転移しても干からびて餓死してしまうとかだけは勘弁だ。


太陽?は高い位置のままだし意外と時間は経ってないのかもしれない。

でもいつまでもこんなところに居たら気が狂いそうだ。


「よし!とりあえず歩くか」


俺は誰に言うでもなく自身に気合を入れるため大声で叫ぶと、勘に任せ何もない平原を歩き始めた。

この先に人が住む集落があるかはわからない。

あったとしても俺に友好的かも不明だ。

でも、ここに居るよりはましだ。




---------------------------

あれって・・・道だよな?

どれくらい歩いたかもわからないけど、少し疲労を感じ始めたところで明らかに人?の手が入っていると思われる道らしきものが見えてきた。

草が刈り取られていて"舗装"とまではいかないけど砂利がまかれ歩きやすく整えられている。


この道を歩いていけば集落とかあるんだろか?

道の先を見ても今のところ建造物等は何も見えない。

でも、目的無く歩くよりは希望が持てる。


俺は砂利道に沿って再び歩き始めた。

そして、少し日が傾き、いい加減疲労感が出来てきたところで視線の先に幾つか建物らしきものが見えてきた。

まだ距離はあるけど、明らかに"家"だ。


この世界の人の集落か?

言葉が通じると嬉しいんだけど、流石にいきなり殺されたり・・・食われたりはしないよな?

そんな不安を持ちながら建物が立ち並ぶ集落へ用心しながら近づき、岩陰に隠れながら集落の様子をうかがった。


あらためて見ると建物は俺が過ごしていた町とは明らかに異なっている。

町の奥の方には大きな石造りの建物(神殿か?)があり、それを囲むようにログハウスの様な木造の建物が立ち並んでいる。

まるでロールプレイングゲームにでも出てきそうな景色だ。


そして・・・それら住居から出てきたのは俺と同じような姿をした人間だった。

その足元には小さな犬の様な動物もいる。

髪色はゲームの世界みたいに赤や緑とカラフルだけど、そんなの地元のヤンキーにもいたし気にしなければ問題なしだ。


思わず話しかけたい衝動に駆られながらも、俺は引き続き観察を続けた。

言葉・・・通じるのかな。

都合よく言葉が通じるとは思えないけど・・・そう思いながらさらに集落に近づき建物の陰から住民の会話に聞き耳を立てた。


「〇@X△~!!」

「@@@■〇**」


俺の視線の先には見た目は若そうな女性が二人。

楽しそうに会話をしてるんだけど・・・何言ってるか全くわからない。

ある程度は予想していたけどやっぱりショックだ。


少なくとも俺の知っている外国語では無いような気がするしどうすりゃいいんだ?

もしかしたらゼスチャーとかでコミュニケーション取れるかな?

あ、でも生活習慣違うとそれも難しいか・・・・

そんなことを考えつつ女性達を眺めていると、突然後ろから肩をつかまれ男性に大声で怒鳴られた。


「◎△$♪×¥○&%#?!」


やっぱり何を言ってるかわからないけど、とりあえず肩を掴んできた男性が怒っているのは雰囲気でわかる。

男性は、俺より背も高くがっちりした体型。

そして、鋭い目つきに顎髭を蓄えた強面のおっちゃんだ。

もしかして女性を狙ってる変質者とかに思われたのか?

それに俺の服装も集落の人とだいぶ違う(スーツ着てるし)し考えてみれば怪しさ満点だよな。

どうしよ・・・

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