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ある冒険者たちの物語  作者: ひろきち
第1章 僕は君を守りたかった
15/21

14. -新しい旅路-

教会での話し合いの後、俺達はジゼルさんにローブの男の討伐の旅に出ることを伝えた。

ジゼルさんは、自分から頼んだこととはいえ、複雑な表情をしつつ"頼む"と言い、旅費等の援助を申し出てくれた。

ポーションなどの支援アイテムは俺の店でも取り扱っていたけど、俺は武器も防具も売ってしまっていたし、レイラ達も荷物の大半を襲撃で失っていたから支援は正直助かる。




翌日から俺達は旅の準備に取り掛かった。

と言ってもフェイトとシャザムはまだ体調が本調子ではないということでアンナさんの宿で療養している。

結果として旅の準備は俺とレイラで行うこととなった。


武器屋で破損した皆の装備の修理や俺の武器や防具の調達。

それから旅に必要なポーションや食料の調達。

そして、俺は冒険者としての再登録も行った。

一度廃業してブランクがあるということで規定により以前よりもワンランク下のCランクからスタートだ。


まさか、またこのカードを付けるとは思わなかった。

俺が買ったばかりの真新しいロングソードと新たに配布された冒険者カードを感慨深く見ているとレイラが俺を覗き込むようにして話しかけてきた。


「へぇ 強いとは思ってたけどアレクも元はBランクだったんだね」

「まぁな。でもギルドの人が言う通りブランクもあるし今の実力はCランクが妥当だろうな。ってことで危なくなったらフォローしてくれよ♪」

「ふふ 団長さんに任せなさい♪

 あ、でも後で手合わせしよ。アレクの実力知っておきたいし」

「オッケー。お手柔らかにな」


レイラとは買い物の他、剣の手合わせ等一緒に行動する時間も増え、何となくだけど距離感は以前より縮まった気もする。

冒険者としてパーティに所属していた頃は、パーティの買い出しとかリーフと一緒によく出掛けたよな。

レイラはリーフと見た目は似てるけど、話し方も振る舞い方もだいぶ違う。

でも何だか懐かしい感じだ。





------------------------------

そして、1週間が過ぎフェイトやシャザムの体調も問題が無くなってきたということで、いよいよ俺達も旅立つこととなった。

とりあえずは乗合馬車で王都を目指し、そこからキースという人と会うために西のウエスティリア王国を目指すこととしていた。


慣れ親しんだ家に別れを告げレイラ達との待ち合わせ場所とした町の門へと向かうと、既にレイラ達と見送りの人達が集まっていた。


「お待たせ」

「あ、アレク。遅いよ♪」

「悪い」


俺が声を掛けるとレイラとジゼルさんが歩み寄ってきた。


「アレク。無理言ってすまないが・・・頼むぞ」

「はい」


ジゼルさんが言葉少なに話す。

黒いローブの男の事は町のみんなには話をしていない。

俺達は町長の頼まれ事でレイラ達と西のウエスティリア王国に行くということになっている。

本当の事は話したら・・・止められるかもしれないからな。

でも、それは別にジゼルさんが気に掛けることじゃない。

俺達が自分で決めたことだ。


「アレク。ここはあんたの第2の故郷なんだ。用事済ませたらまた帰ってくるんだよ」

「アンナさん・・・ありがとうございます」


そうだな。アジュールが無くなった今、ここは俺にとっての第2の故郷でもあるんだな。それに家というか店も買っちまったし(おかげで貯金も・・・)

と、ユズハとシンが真剣な顔をして俺に話しかけてきた。


「本当に帰ってくるんだよね?」

「ユズハ?」

「約束して!ちゃんと元気に帰ってくるって!」


気付いているのか?俺達の旅の事。

でも・・・


「あぁ分かった。期日は約束出来ないけどちゃんと帰ってくるよ」

「・・・うん」

「シン。ユズハの事頼んだぞ」

「はい。アレクさんも約束守ってくださいよね。まだ薬草の採取連れてってもらってないんですから」

「あぁ そうだったな。じゃあそれまで店の事も頼んだぜ」

「はい」


道具屋は、ジゼルさんに相談してユズハとシンで当面やり繰りしてくれることとなっていた。

シンは武器屋の息子ということで仕入れや販売についての知識もあるしユズハは愛想は良いので2人が協力してくれれば何と潰さずに頑張ってくれるはずだ。


「アレク。そろそろ乗り合い馬車が来るぞ」

「そうだな」


名残惜しいけど、俺達は死にに行くんじゃない。

いつかきっとこの町に帰ってくるんだ。


「じゃみんな行ってきます!!」

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