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ある冒険者たちの物語  作者: ひろきち
序章
1/21

プロローグ

クラウド大陸。


女神ミラが創り出したとされる大陸であり、始まりの王国とされるアースフィア王国を中心に北のノーザン王国、東のイースウェア共和国、西のウエスティリア王国、南のサザン帝国と5つの国から形成される。



ここは西の王国ウエスティリア。

その最西端にある洞窟。


今その洞窟の最奥にある開けた空間で、2人の人影が対峙している。

1人はウエスティリア王家の紋章の入った白銀の鎧を着た騎士。

もう1人は漆黒のローブを纏った魔導士。


そして、2人の周りには激しい戦闘の傷跡とウエスティリア王国軍の紋章を付けた騎士や魔導士が複数倒れていた。


「くそ!何で俺達の攻撃が効かない!!」

「ふふ 今更ですよ。あなたも知っているでしょう。私のマジックバリアが物理、魔法すべての攻撃を完璧に防ぐことを。

 それにしてもこの程度ですか西の勇者の力とは。ウエスティリア王国軍の力とは。その程度では私のマジックバリアを破ることも出来ませんよ」

「くっ」


ウエスティリア王国軍の猛攻にローブの男は1人で応戦していた。

その強力な魔法で軍の精鋭たちを葬り去り、最後に残ったのは軍を率いていた西の勇者アーガスのみだった。


「もっと私を楽しませてくださいよ。この程度じゃ全然ダメですね期待外れです」

「だまれ!確かに貴様は強い。この戦いも俺達の負けだ。

 だが、何故だ!ここの封印を解けばお前もどうなるかはわかっているだろう。

 お前もかつては王家に仕えていた魔導士。この国がどうなってもいいのか?」

「・・・・」

「だんまりか・・・。いいだろう。俺もウエスティリアの勇者と呼ばれた男だ!倒せないまでも一矢報いる!!いくぞ!」


そう言いながら騎士は魔力を込めた剣を上段に構えた。

構えた剣は青白く光りその光は徐々に大きくなっていく。


「ほぉ 守りを捨ててすべての力を攻撃に向けましたか。確かにさっきよりは威力がありそうですね。

 でも・・・効きますかね私に」

「ほざけ!行くぞ!」


騎士は魔導士に向け走り出し、その光を帯びた剣は展開されていたマジックバリアを破壊し魔導士を切りつけた。

が、魔導士はその攻撃を自身の持っていた剣で受け流した。

騎士は態勢を崩しながらも後ろに飛び再度距離をとる。


「中々いい攻撃ですね。私のマジックバリアを越えて私に剣を抜かせるとは」

「でも・・・それが限界みたいですね。魔力・・・下がってきてますよ。

 それに私もそろそろ遊ぶのに飽きてきました」

「なに?」

「そろそろお仲間のところに行ってもらいましょうかね」


そう言って魔導士が騎士に指先を向けると、その指先から禍々しい漆黒の光が放たれた。


「ぐはっ」


光は騎士の胸元を鎧ごと貫きその勢いのまま洞窟の壁際まで弾き飛ばした。

そして、そのまま力なく倒れこむ。


「・・・これ程までに力に差があるとは。すまない。キース、リーファ」


そう言い残し騎士は事切れた。

洞窟の中で立っているのは黒いローブの魔導士のみ。

そして、戦いが終わった静寂の中、魔導士がつぶやいた。


「さよならアーガス。かつての友よ。

 先程の答えだがな、私はこの国に・・・人類に・・・女神に失望したのさ。


 ・・・さて"封印"を解かせてもらいましょうかね」


そう言いながら魔導士は空間に魔方陣を描き失われたとされる古代語魔術の呪文を唱えた。

しばらくすると地鳴りと共に洞窟が崩れ始め、先に魔導士の放った光と同じ禍々しい漆黒の光が辺りを包みこんだ。


この日。

西の王国ウエスティリア最西端の洞窟を中心に発生した漆黒の光はウエスティリア西部の森林地帯と点在していた村を包み込み、そこに暮らす人族、魔人族、獣人族、そして多くの獣を瘴気によって魔獣化させた。


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