8話 夜と朝が2回
ひところさないです
〔これまでの行動経験によりスキル<識別>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<痛覚耐性>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<言語学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<識別>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<痛覚耐性>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<採取>を習得しました〕
採取が一段落ついた時に溜まっていたログである。<識別>がレベルアップしたことで、草のどこを傷めるとどんな効果が落ちるといった情報まで手に入るようになった。恐らく<採取>を習得したのはそれとほぼ同時だろう。スキルのアシスト無しにちゃんとできなければ自動習得はできない仕組みなのだと思う。スキルポイントを消費しないからにはそのくらいやれということか。
<薬学>に使えそうな材料は大分溜まったので、今度は<魔力学>と<魔法学>を鍛えたい。最初は適当に木に当てるか。
体内にある魔力を意識して一箇所に集める。粘性があるのか動きがとても遅いが、習熟したら一瞬で動かせるそうだ。本には丹田に集めろとか書いてあったがどこのことか分からないため取りあえず体内を循環させている。
こんな訳の分からない感覚まで再現してしまえるあたり、技術の進歩というのは恐ろしい。私が10代だった頃はまだ人の感じえないものの再現などできなかったはずだ。若い子には分からない感覚だろうが。
魔力(仮定)が体を巡り、全身が温まったところで手に留める。これが体外に出て、体から離れると魔法になるのだ。ついでに目に集めれば魔力が見えるようになり、耳に集めれば人ならざるモノの声が聞こえるようになるという。オカルトめいている。
徐々に手から魔力(仮称)を出し、手の上で球体を作っていく。手に穴でも空いてしまったかのようだ。
(あっ)
ぽん、と弾ける感覚と共に手の平の球が消えた。失敗だ。自分が酷く疲れていることに気が付く。慣れないことをしたからか、魔力が不足しているからか。分からないけれど、もう1回くらいは大丈夫そうだ。
上限があまりに少なくないかとも思ったが、レベルが低いしパッシブにしているスキルも多い。そのせいだろう。レベルを上げればきっと増える……そういえばレベルは戦闘以外で上がるのだろうか?
〔これまでの行動経験によりスキル<魔力学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<魔法学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりレベルが上がりました〕
〔スキルポイントを2獲得しました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<魔力学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<魔法学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<気配希釈>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<気配察知>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<隠密>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<視線察知>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<魔力学>がレベルアップしました〕
〔これまでの行動経験によりスキル<魔法学>がレベルアップしました〕
結論。上がるらしい。
尤もここまでやるのに周囲の木をあらかたへし折り尽くしてしまったので、効率は非常に悪そうだ。途中で多少モンスターも殺したうえに、魔力の塊を1発当てた程度では幹の表面が多少削れる程度であることを補足しておく。
最初は塊を保つことに精いっぱい、徐々に魔力(仮)を体から離せるようになり、次いで形を保ったまま飛ばすことができるようになった。火や水に変えるのは多少性質を弄ってやるだけなので大した難易度ではない。要するにイメージ次第というやつだ。このイメージと魔力、魔法の関係を追究するのが魔力学、魔法学という学問だそうな。へーという感じである。効率が良くなるならばそれに越したことは無いが、そこまで追い求めるつもりもないのだ。
それにしたって、若かりし頃に引きずられて初期に魔法スキルを取らなくて良かった。これがあれば他の魔法スキルとか必要ないわ。
ちなみに修行を始めてから2回くらい夜と朝が来ている。その間ずっとフィールドにいるのである。途中でウルブズとか梟とかの気配もしたが、残らず修行のために死んでもらった。対モンスター戦といえどもう少し知能の高いAIと戦闘したいものだ。
(とはいえさすがに疲れたな)
あれだけあったMPポーションもほとんど尽きかけている。幸い必要な材料は採取してあるし、部屋に戻ってログアウトして、明日は薬学の本を読もう。2日も帰ってないから人の手が入っているかもしれないのは不安であるが、まあそこはそれ。ログアウトしている時にNPCに殺されたなら仕方ない。探し出して殺し返すまで。
MPポーションは殺して奪ってもいいのだが、持っている人にうまく目撃されるとは限らない。私から姿を見せるのはルールに反している。私しか知らないルールだし違反してもいいのだけれど、せっかくのストレス発散なのだから一点の曇りもなく楽しみたいよね?
帰り道は誰にも見つからなかった。それどころか人がほとんどいなかった。つまらない。
裏道から街道をチラ見してみると、街の人はどこか緊張した表情をしており足早に歩いているようだ。何かあったのだろうか?
まあ私には関係ないかと思考を放棄して部屋に帰る。侵入の形跡を確認して出入口の魔法陣を壊してからログアウトした。
若い頃(未来)
種族:人族
種族レベル:8
スキル:
<暗殺術>8<奇襲>7<投擲術>2
<気配希釈>7<気配察知>7<隠密>7<視線察知>2<変装>2
<識別>5<解読>1<看破>1
<薬学>1<言語学>7<魔力学>4<魔法学>4
<痛覚耐性>5
残SP:9
称号:
《初めてのひとごろし》
《躊躇の無い殺人》