すべての始まり 2
二話目です。
「そうだお前だ。早く出てこい」
管理兵に一礼の会釈をし、部屋の外に出た。
外に出るのはいつぶりだろうか、ここにきてから一度も出ていないことを踏まえるとかなり長い時間をこの部屋の中で過ごしていたのだろう。
長すぎた部屋の中での時間、そして突然すぎた部屋での生活の終了を告げるように部屋から連れ出された今、他人に買われるのかそれとも始末されるのか、自分にはわからなかったがあの部屋に一生いるよりはここで生涯を終わらせたほうが楽なのかもしれないと、考えた。
そんなことを考えながら歩いていたら、長い長い廊下も終わり大きな大きな扉が現れた。
「ほら、ぼさっとするな。入れ。」
管理兵は苛立った様子で僕に言葉をかけた。
「失礼します」
そう言い放って僕は扉を開け中をうかがった。
応接間だろうか。
中は広い作りになっていて、テーブルとソファーが並んでいる。
そのソファーに二人の客らしき人物とうちのオーナーが俺の未来について話し合っていた。
「おお、来たか117番。」
こちらを見てにっこりとほほ笑む、オーナーの笑顔に恐怖を覚えながら作り笑いで返した。
「まあ、117番すわりたまえよ」
「はい、失礼します」
今までにないくらい座り心地の良いソファーに座った僕は、ここまで丁寧に扱われるということは自分は売られるのかと考えた。
「では、ご婦人。117番の件なんですが10000スフィアでどうでしょう」
「わかりました。いただきましょう」
僕は売られるのだ。人ではない僕は商品なんだ。
「お買い上げありがとうございました。ぜひ、またうちでお願いします」
僕は買われたのだ。ここの生活も、もうここで終わり。
「さよなら、僕の故郷」
僕はそう小声でつぶやいた。
「ほら、117番行くわよ。ついてきなさい」
そういわれて僕は手を引かれた
超不定期投稿になってしまっていますが継続していきますのでよろしくお願いします。