35話
(注)この物語には多少の流血、イジメ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また、犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただいいますようお願い申し上げます。また、この物語にはフィクションです。登場する人物、団体、名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
伊織たちが朝いつも通りに投稿すると、普段よりも騒がしい校舎内。そのことに伊織は目を丸くする。確かに千里が来たときはいつもこのくらい騒がしいが、今はあたりを見渡しても千里の姿を確認できない。それに千里は伊織たちの姿w見れば必ず声をかけてくる。し、そもそもの話だが、彼女たちはいとどたりとも自分たちよりも早くなんてきたことはない。いつも遅刻ぎりぎりに来るか、少し余裕があるかどうかぐらいの時間なのだ。そういった判断の仕方はどうかと思うのだが、事実なのだから仕方が無い。それに、千里は遅刻常習犯である。
「……どうしたんだろうね。千里が来ていないのに騒がしい」
「え?あー、そう、だな。千里が来てねぇのに珍しい」
伊織が隣に歩いている幼馴染み(周りからは伊織のお父さんと呼ばれている)二声をかけると、一瞬反応が遅れるが、空返事で言葉を返す。いい雰囲気ではないのは確かで翔太の耳に聞こえたのは“橘さんが“と言う言葉のみだ、流石過保護者である。過保護もここまで来ると怖いものだと思う。
こちらをtらちらと見ながら話していた女子が教室に入るや否や、一気に伊織たちを囲むと、声をそろえて質問を投げかける。
『橘さんって太田くんと付き合ってるの?』
「……え?」
「いやいや、ちょっと待て!なんでそうなった?!あり得ねぇから」
あまりの驚きで伊織が放心していると代わりに翔太が否定の言葉を彼女たちにぶつける。が、しかし噂でキャッキャッしている女子にそれは逆効果で、周りが色めきだち、一気に盛り上がる。勿論、二人が思ってもみなかった方へ。
「えー!なになに!もしかして、翔太くん橘ちゃんのこと好きなんでしょー!ずぅっと一緒にいつも居るもんね」
「はぁ?!有り得ない。それだけは絶対」
「もぉ、照れちゃって―」
翔太の否定の声もどこ吹く風で、周りはどんどん勝手に盛り上がる。驚きのあまり硬直していた伊織もその頃ぐらいには、否定の言葉を言えるようになっていたが、それも無意味。二人は同時に思った。―――面倒なことになった、と。
「伊織ちゃん、翔太おはよぉ。どうしたの、二人とも。こんなところで立ち止まって」
「お、縁じゃーん。丁度お前の噂してたんだよ。いいところに来たなぁ」
楔はうるせぇな、黙れ、なんて心の中で悪態をつきながら、伊織に会えることを楽しみに教室までの道を歩く。教室に近付くにつれ騒がしさは増していき、うるささの原因は隣のクラスと、自分のクラスだと言うことが分かった。隣は隣でなんかもめてるし、自分のクラスは伊織がなんだか困っていた。それが分かった楔はふわふわと笑いながら伊織に声をかける。しかし伊織の返事を聞く前に同じクラスの名前すら知らない男が慣れ慣れ敷く声をかけながら肩を組んでくる。心の中で悪態をつきながら受け流そうとしていたが、続いた男の言葉は楔の思考回路を止めるには十分すぎた。
「お前って上野美桜ちゃんとデキてんの?!」
「……んぇ?」
一瞬反応が遅れたが、上野美桜とデキているのか、という問いに対し、表の自分だったら一番正解であろう言葉が出る。思わず表の自分が出なくてよかったと思う。しかし、肩から鞄がずり落ちるし、返事に困ってその場でしばらくフリーズする。
「そんなわけないよぉ、僕は伊織ちゃんが一番好きだし……」
へらりと笑いながら軽く否定を入れるが、誰も聞き入れない。「またまたー照れちゃってー」「お前は隣の地雷だと思った」「お前ばっかりモテてずりぃよなー、誰か紹介してくれよ」等色々好き勝手に言われる。思わず拳を握りしめ、思わず裏の顔が出そうになった時。いつの間にか隣に立っていた翔太に二の腕を摘まれ、我に帰るが、それでも抑えきれない手を見ると翔太はため息を吐くと、メッセージアプリを開き、楔の裏を知っているとある人に連絡を取る。“昼休み、屋上に集合。”と送るとすぐには返事がこなくて、授業が始まる直前、“ラジャー”と返事が来るのだった。
同時刻、千里自身も面倒ごとに巻き込まれていた。今日は少し早めに学校に登校していて、伊織たちが教室で質問責めにあってる時にクラスに居た。教室に入ると同時に数人の女子が馴れ馴れしく千里を取り囲んだかと思えば、爆弾かよ、都突っ込みたくなる質問を一斉にぶつける。因みに千里は、取り囲んできた女子生徒の名前はおろか、話したこともないし、普段嫌っている人たちなのもあり、馴れ馴れしい、嫌いなら話し掛けてくるなよ、とか思っていた。が、そんな思いも一気に吹き飛ぶほど、彼女たちの質問の威力はすさまじかった。
「ねぇ、地雷さん。地雷さんって、縁くんたちと仲良かったよね?この噂の真相を知りたくて……。上野さんと縁くんが付き合ってて、太田くんと橘さんが付き合ってるって本当?!」
「……は?」
今まで千里が生きてきた中で一番素っ頓狂で相当間抜けな声だった。。顔も間抜けな顔になっており、ものすごく驚いているのを物語っていた。しばらく、聞かれたことに対する情報の処理に手間取ったのか、暫く黙っていたが、不意に千里は口を開く。……寂しげな声で。
「それだけは有り得ねぇよ。絶対。蒼は俺に機器として報告するだろうし、く……縁のやつはないついてくるだろうし。……それにあいつ、伊織以外に興味ねぇもん。伊織以外好きになるわけねえんだよね。縁が伊織以外に見向きなんてするわけ、ないから……」
だから嘘だと思う、なんていいながらふい、と目を逸らす。ため息交じりの、少し寂しげな声。それでいて、縁楔のことをよく知っていルカらこそ出る発言。それらを聞いていた周りの女子は一気に色めきだった。
「……もしかして、地雷さんて縁くんのこと好きだったり、する?」
「はっ?!それだけはぜってぇねえから!誰があんな、誰にでも優しくできて、でも腹ン中じゃ何考えてんのかわかんなくて、自分の欲望には忠実なやつ、すきになんてなるかよ!」
噂というのは実に残酷だ。いくら本人が否定しても、無慈悲に広まっていく。千里の楔が好きだ、と言う話はあっという間にクラス中に広まり、千里の言葉なんて誰も耳に貸さない。だって、それは事実なのだから。




