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紡ぐ言葉  作者: 葉桜
30/45

27話

(注)この物語には流血、いじめ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただきますようお願い申しあげます。又、この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 翔太達のグループである翔太からとても丁寧でとてもへりくだったメッセージが届く。用件を見れば、午後からはみんなで遊びたいという熱意を伝える連絡がを確認をした後にクスクスと笑いながら千里は口を開いた。

「やっぱり楔の言うとおりだったね」

「だろ?絶対午後からはいっしょだと思ってたんだよ」

「翔太、信用されてねぇなぁ」


 千里は楔の発言を聞くなりくすくす笑っていたのからケラケラと笑い始める。千里はスマホで時事チェックを、楔は伊織の写真を眺め始める。千里が待ち合わせ場所の広場近くにある長椅子に座ると、楔もその隣にちょこんとかわいらしく座った。千里は隣に座ってきてくれたことをうれしく思いながらもその行動に小さく首をかしげた。普段なら、「伊織ちゃんにいつ会うかわからないし伊織ちゃんに誤解されたくないから」と聞かれてもないことを言いながらわざわざ離れて座る楔が、隣に座ってきたのだから。

千里が訝しげな顔をしながら見つめていると、楔と目が合ってしまう。楔は千里の顔を見るなり、申し訳なさそうな顔をしながら楔は目線を落とした。しばらく楔は言うべきなのか言わないべきなのか悩んだ挙句に、思わす声が漏れたのだろう。「あー……」と小さく言葉が漏れる。しばらく「あー……んー……」といったようにどう切り出そうかと悩んでいた様子だったが、意を決したかのように顔を上げた後に、再び自信をなくしたかのように俯いてから、そっと声を出した。

「……ねぇ、地雷。今度さ伊織ちゃんのことで相談したいんだけど良いかな……?」

「いきなり隣に座ったかと思えば、なんだよ、唐突だな。……まぁ、別に最近はまだ暇だし良いよ。いつにする?」

「地雷が空いてる日ならいつでも……お前だって忙しいだろ?ほらあの仕事で……」


 ぽつりと聞こえた少し悲しそうな、辛そうな楔の声に千里は横を向いて、少しうつむいた楔の顔を見つめる。何で好きな人の辛そうな顔を見なきゃ行けないのか、そう思うと辛かった。自分ならきっと、そんな悲しい顔させないのに、とか思っていたが、口にはしなかった。嫌われたくはなかったから。そんな邪な気持ちがばれないように、少し悩んだそぶりを見せてから、おもむろに口を開いた。

「んー、まぁそうなんだけど……。まぁ今日明日少し無理すれば仕事の報告書も完成するから、気にしなくていいよ。課題もすこし無理すれば完成するし、いつでも平気だよ。しばらくは暇だしな……。ま、急に俺がいかなきゃ対処しきれない大事件が入らなければ、の話しになるだけど……」

「……ん、ありがとう。じゃあ、確か週明けテスト週間だよな?テスト週間は俺はさ、勉強したいから、テスト終わった後で良い?」

「まぁ、そんな後で良いなら、良いよ」

「じゃあ、お願いするわ。予定空けとけよ」

「はいはい、やっぱり今聞いてってのも受け付けてやるからな、いつでも頼ってよ」

「……ありがとな、地雷。お前って意外と優しいんだな。」

 千里は楔のお願いを聞くと、少し苦笑をこぼした後に相づちを打った。しかし、そんな遅くていいのか、という問いに対しては楔は少しほほを膨らませながら「伊織ちゃんのためにテスト期間は勉強したい」という言葉にあぁ、こいつも頑張ってんだな、なんて思ってしまう。だからこそ、約束した日まで、耐えられるのも嫌だったので、聞いて欲しくなったらいつでも聞くぞ、と言うと泣きそうな顔で、ありがとうという言葉で、千里は少しだけ支えになれたんだ、と思えた。でも、優しいという言葉はあまり嬉しくなかった。ズキリと胸が痛んだ。

 "楔、お前が思ってるほど俺は綺麗な人間じゃねぇよ"そう思いながら、口を開く。うまく笑えているか自信がなかった。

「なんだよ、失礼だな」


「ちーさとっ!」

「うわっ!!」

 そんなときだった。いきなり名前を呼ばれながら飛びつかれたのは。不意を突かれたものの、足を踏ん張って倒れないように踏みとどまると、後ろを振り返って飛びついてきた人物を確認する。まぁ、声である程度は予測できてはいたが。そこに立っていたのは、やはり予想通り、秋良が立っていた。

「秋良、危ねぇだろ……。てか暑い、離れて」

「はーい」

 千里は少し苦笑を零しながら口を開く。秋良は千里と目が合うと、秋良は千里から離れてにししと笑う。千里もそれを見てふっと目を細めてほほえんだ。


 秋良は、千里から離れると、はっとしたかのように口を開くと、お昼はどうしたか、という話題になる。

「あ、そういえば千里達ってお昼って食べた?僕たちまだ食べて無いんだけど……」

「あー、合流してからお昼食べるだろうなぁって思ってたから、まだ食ってないよ。どこ行く?」


 そんな風に相談しながら千里と秋良は歩き始める。楔と翔太はその後をただ黙ってついていくのだった。

「やっぱりフードコートのほうがいいのかな……?千里、どう思う?」

「あー、まぁそっちの方がいろいろあるし、どこに行くかで話し合わなくて良いかもね。そうしよっか。楔たちにも伝えてくる」

千里がそう言うと秋良は「ありがとう」なんて言いながら後ろを歩いている彼らの元へ向かっていった千里の背中を見つめる。千里は何かからかうようにしながら2人と話していた。仲がいいな、なんて思いながらフードコートへと向かう。

千里たちはある程度話してから軽口を叩き合いながら秋良のところまで戻ってくる。千里が戻ってくるなり質問を投げかける。

「千里何な食べるか決まってる?」

「決まってねーよ。秋良は?」


千里は秋良の質問に対し、へらりと笑いながら答える。千里も秋良の質問と同じ質問を投げかけると秋良は少し悩んだように上を見上げた後、「僕も決まってないよ」とふわりと笑いながら質問にたいして答える。

「とりあえず、何があるかわからないしなぁ……。俺的には軽食系があればいいんだよね、いつもそんなに食べるわけじゃねぇし……」

「千里、食べない時はあんまり食べないもんね……。お弁当も小さいし、たまにお弁当持ってきてない時はおにぎり一個じゃなかった?」

「……今あんまり、食欲なくて」

何を食べようか、という話になると千里はすこし苦笑を零しながら軽食系があればいいな、なんて呟く。元々最近食欲がないのもあり、軽く食べたい程度だった。秋良はそんな千里を心配げに見つめる。その視線を申し訳なく感じながら「大丈夫だよ」なんて言いながら少し誤魔化すように笑った。秋良はそれでも心配そうに千里のことを見つめる。千里は少し困ったように笑いながら言い訳ぽいが口を開いた。

「最近どうにも忙しくて、食欲がちょっとないだけだよ、だから秋良心配しないでね?」


千里がそういえば秋良は納得していなさげだったが、頷くと千里から視線を逸らす。恐らく本音を言うならば心配するなと言われてもそれが無理なことは分かっているからだ。この短い間の付き合いだったが、秋良はそれを充分に理解していた。彼女は直ぐにむりをするからだ。秋良が聞いた話では中学生ぐらいから、ということを聞いていた。

「ほら、秋良!フードコート着いたぞ!」

「本当だ!あ、向こうの方に軽食屋さん、あるみたいだね!」

「……そう、だな」


千里は隣でニコニコと笑う笑顔を見ながら密かに小さな声で謝った。「言えなくてゴメンな」と。しかしそのつぶやきは小さすぎて彼女の耳には届かない。不思議そうに小首を傾げている彼女を見るとふっと頬を緩めなんでもない、と言って秋良の背中を追うのだった。

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