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紡ぐ言葉  作者: 葉桜
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shortstory-少年少女たちの心の奥底

(注)この物語には多少の流血、いじめ、殺人等の残酷な描写が含まれます。苦手な方はブラウザバックをお願いします。また犯罪行為を助長する意図はございませんのでご理解いただきますようお願い申しあげます。又、この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

「父さんも母さんも何で────」

幼いころの自分はいつも誰も認めてくれなかった。

言いかけた“認めてくれないんだ”その言葉は空を切り、紡がれることはなく次に紡がれた言葉は自虐じみた謝罪の言葉、だった。


「あぁ、ごめんって。俺が悪かったよ。聞いた俺が馬鹿みたいだ。底脳でごめんなさい。生きててごめんなさい。出来損ないでごめんなさい。女に生まれてごめんなさい。……これで居んだろ、俺は低能でできそこないで女なんだから」


“失敗作、女はいらない、お前は出来損ないだ”そう言われながら男として、失敗作として、────要らない子として育てられた少女は女として生きていくことはおろか、愛し方、愛され方を学ぶことをあきらめ、愛すること、愛されることを辞めて生きていくことを決めました。


「マ……マ……?パパ……?……いや、だ!いやだ……やめて、やめて……ごめんなさい……っ、」


あぁ、赤い赤い真っ赤な血は人を殺す。たくさんたくさん血が出るとその人は助からない。お金がなければどうせお医者さんは助けてくれない。お金がなくて助けられなかった私は出来損ないで、要らない子。私はママとパパを救え奈で見殺しにした。ママとパパを殺したのは赤い赤い、真っ赤な血。だから────赤い赤い真っ赤な血は怖い。たやすく人の命を残酷に奪い去っていくんだから。


「あー……。うん、俺ねそれ無理。怖い、できない……。俺には……できない……から……。ごめん、ごめんなさい。ほんとうに……ごめんなさい……ゆるして……お願いだから、それだけは無理なの……」


幼い頃に医者に見捨てられて事故で両親を亡くし、助けられなかったことで、心に深い傷を負た挙句に親せきの家での虐待を受けてしまった少女は、全ての感情を殺し、医者を軽蔑し、どうせ無駄だと全てをあきらめて生きていこうと決めるようになりました。そんな風に育ってしまった少女は自分の怖いこと、嫌いなこと、無理だと判断したことからは逃げる術だけを覚えただけで立ち向かう勇気を学ぶことは諦めました。


「俺が、狂ってるとか言うけど……!じゃあ何が正しいんだよ!俺には、伊織ちゃんしか居なかった!伊織ちゃんしかくれなかった!伊織ちゃんがくれたものが俺の全てだった……っ!伊織ちゃんさえいればそれで良かったんだよ!俺はただ……!俺はただ、伊織ちゃんがくれたもの、全部全部返したいだけ……。それだけなんだよ!」


伊織ちゃんがくれたもの、それだけが全てで、ただ────伊織ちゃんが大好きなだけなのに。

「伊織ちゃん。好き好き好き好き好き好き……!大好き大好き大好き大好き大好き!ねぇ伊織ちゃん。愛してるよ……?」


両親にも兄にもちゃんと愛を与えてもらえなかった少年はとある少女と出会い、その少女が与えてくれた愛に触れてしまったことで、愛を少女に返そうと思いつきました。しかし正しい愛の与え方を知らない少年は過剰なまでに愛を少女に与えようとしました。少年は、正しい愛の受け取り方、正しい愛の与え方を知ること、学ぶことそれら全てを破棄しました。


「────なぁ、雅。どうしてお前は僕を……」

一人置いて、先にいなくなってしまったんだ。その言葉は口の中で小さく紡がれるが、声には出なかった。口にすることを体が拒んでいたのだった。


「お前がいなければ、こんなつまらない世界に生きている価値を見いだせると思うかい……?」


共にこれからも生きていたかった最愛の人を失ってしまった少女は幼くして、生きる意味を求めながら、のびのびと生きていくことを放棄すると共に目の前に立ちふさがった大きな壁を乗り越えようとする力を出すことを諦めました。

この物語は読もうが読まないでおくのもいいと思います。

読まなくても本編には関係ないので、特に困らないです。

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