『閉ざされた街』シムティエールにて(9/20加筆)
GM:時刻は午前10時くらいにしておこうか。君たちはシムティエールの街の郊外に着いたよ。外から見てもわかるように、中々荒れ果てている。空には分厚い黒雲が立ち込め、日の光を遮っているね。
カレン:「雰囲気たっぷりね……」
ルース:「露骨な暗雲だー」
ソウジ:「いいじゃないですか。雰囲気出てて」
GM:「気楽だなぁ。君たち」
カレン:「気楽かな?やばい感じがしないでもないようなそうでもないような」
ルース:「でもアンデッドうじゃうじゃなんでしょー?」
カレン:「うじゃうじゃは鬱陶しいなぁ」
ソウジ:「でもグールの100体や200体で終わるのなら拍子抜けですけどねぇ」
ルース:「とりあえず、その屋敷でも目指す?」
カレン:「そうしよっかー。目立つしね」
ルース:「ちゃっちゃととっちめちゃお」
ソウジ:「殲滅ですから、どこから回ってもいいですよ」
GM:「まあ、中央にあるというのも何かありそうだ」ではトート家を目指す感じでいいかな。
一同:おー!
ルース:「わたしたちが暴れて強そうなアンデッドが対策立てる前にいっちゃおー」
GM:街中ではアンデッドの姿が集団で見えたりする。―――そして街の門をくぐった瞬間、君たちは突然ある幻覚を見る。
一同:おっ?
GM:見ると、街のどこも破壊されておらず、黒雲も立ち込めていない。通行人すらも見える。ただ、その顔はどれも暗い。
カレン:ふぁ!?「……え?あれ?」目をごしごし。
ルース:「あれー?」
GM:「また神隠しですって」「いやねぇ。しばらくなかったのに」「今度は女の子ですってよ」「かわいそうに…」と口々に。しかしその通行人の誰もが君たちの存在に気づいた様子は無い。
ソウジ:「これはおもしろくなってきましたねぇ」
ルース:「破れるのかなーこの幻影?もうちょっと見てみる?神隠しだって!」わくわく。
ソウジ:「ルースさんも好きですねぇ。こういう話」
GM:「何かの手がかりにはなるかもしれんが……」そうしてなんともなしに誰が一歩踏み出した瞬間、君たちは幻覚から目を覚ます。
ルース:「ふわっ」
ソウジ:「おっと。もう終わりですか」
カレン:「うぉっと……なんなんだろ、一体」
GM:壊された建物。黒雲。アンデッド。禍々しい瘴気。それらが目の前に再び現れる。ただ、幻覚で見た光景もまた、あまりにもリアルな光景だった。
ルース:SANチェックです?
GM:しましょうか?
カレン:システム が ちがいます▽
ソウジ:クトゥルフならこれどうやって行くかすごい迷うとこなのになぁ。(笑)
ルース:SWだったら、もう行っていいんじゃないかなって気が。
カレン:しちゃうなぁ。(笑)
GM:わからないでもない。
SANチェックネタはともかく、クトゥルフ神話TRPGの影響からか、探索となると一気に用心深くなるPLたち。
SWなら大丈夫、を合言葉に進んで行こうとする。時間もないしね。
ルース:「なんでこんな幻影が見えるんだろー。すっごい気になる!でもアンデッドじゃま!」
ソウジ:「邪魔なのは僕とランケさんが切り捨てていきますよ」
ルース:「よろしくー!っていうかあの人離れてしばらく経つんだったよねえ」
カレン:「うーん……なんだろう、ただ襲撃を受けて壊滅したってんじゃないのかも?」
ソウジ:「いくらなんでもグール相手なら一晩とかで滅亡はしないでしょうが」
カレン:「外との交流少なかったっぽいからねぇ。いつからってのは判断しにくいのかも」
GM:「もしかしたら生き残りが……いや、ありえないか」
ルース:「あ、でもこういうのにあるよね。地下にレジスタンスがみたいな」
カレン:「ああ、打倒トート家!みたいなのが居てもおかしくないかもー」
何時もの如く戦闘しかないというのに、シナリオがあると背景をいろいろ推理しようとしてしまうのも癖である。
ルース:とりあえず道なりにまっすぐいって、屋敷近くの様子見てみる?
ソウジ:せやね。
カレン:うむ。
ルース:下からまわりこむ?なんかあったら宿行けるし。……こいつら正面突破しそうですけど。(笑)
GM:やろうと思ったら出来そうなのがなー。もっとも、範囲攻撃はそこまで得意でもなさそうだが。
ソウジ:とりあえず普通に行きますか。
ルース:アンデッド、襲ってくるにはくるんだよね?
GM:君たちの相手になるようなのは居ないな。避けて通ろうと思えば避けて通れる。
ソウジ:グール一発で斬首しよう。
GM:楽しそうだな。ダメージロール振ってみるか。(笑)打点で30点出れば斬首できたことにしよう。
ソウジ:よし!やるか!(笑)
悪乗りで振ったダイスだが、出目は5で回らず。ダメージは22点。
ソウジ:むぅ。「あれ?一発じゃ無理か」
ルース:「ソージちゃんとやってよー」支援しない。(笑)
今まであんまり苦戦したことがない(高レベルの調整も未だうまくいかず、強いと思って出した敵が思ったより弱かったりなどがいつものことだった。ソウジが死んだのはピンゾロのせいである)ためか、いまいち緊張感なく進んでいく。
GM:さて、ではではそんな群がるグールとかを千切っては投げして。屋敷をチラ見できるポイントまで行くんだっけ。
一同:ちらっ。
GM:ではトート家のあたりには、ことさらアンデッドが居るような気がする。それらはなんとなく統率されたような動きで、辺りをぶらぶら歩き回ったりボーっと空を見たりしている。グールとかゾンビとか。ただまれにブラッドサッカーが居る。
ルース:「なんかいっぱいいるね」
カレン:「居るわね」
ソウジ:「そうですねぇ。あそこまでいっぱいだと範囲魔法とかないと面倒ですねぇ」
GM:ではここでまた君たちは幻覚を見る。さっきは昼の光景だったが、今回は夜。トート家には明かりがついている部屋は特に無い。
ルース:「真っ暗だー」
GM:えーっと…暗視持ちは居ないか。
ルース:せやな。ライトでもつけちゃおうか?
GM:ライトをつけるなら行使判定をどうぞ。
ルース:へい。(ころころ)かかったよ。
ソウジ:「あっ。星がきれいですよ」(ライトがかかるのと同時の発言だった)
ルース:「あっ、ごめんライト出しちゃった」杖とかにつけとこ。
ソウジ:「……まぁしかたないですね」
GM:これって自分の周囲10mとかなのかな。
ルース:かなぁ。リモートドールあるから、暗視もちパペットとか作れるの持ってくるんだったな。
ソウジ:高レベルはほんとどこか抜けてるなぁ。(笑)
カレン:屋敷の中を見るんだったら、フラッシュライトでも撃ちますかの?
GM:まあ、自分たちの視界が良くなったので見えることにしておこう。別にわざわざこだわる事でもない。(笑)
カレン:わーい!ガン見。
ルース:「何が見えるのかなー?さっきガン無視されたから大丈夫かなってライトつけちゃったけど」
ソウジ:「大丈夫でしょう」
カレン:「なんとかなるわよ……たぶん」
GM:では屋敷の方を見ていると、窓に突然一つの影が映る。2階の、真ん中辺りの部屋だ。シルエットだけでは一人の姿に見える。その影は、抱えていた何かを下ろすような仕草をした。下ろしたそれが何かはわからないが、影は顔を近づける。
ルース:「むう……?この幻影って動いたらだめだっけ?」一歩歩いたらというか。
GM:「わからん。前はそれで解けたと思うが」
ルース:「むむーっ」
ソウジ:「まぁもうちょっと見てましょうよ」
GM:見ていると口付けのようなことをして、そのまましばらくの時間が過ぎた。どこか厳粛で儀式めいた様子だ。影は再びその物を持ち上げると掻き消えた。そして君達は幻覚から目覚める。
ルース:「なんだったんだろー?」知識でひっかかるものとかないのかな。(ころころ)達成値は19。
GM:あれは『血の接吻』と呼ばれる儀式ではないかと思う。ざっくり言うと人をヴァンパイアにするための儀式。親のヴァンパイアには服従しなければならない。
ルース:「……あ!(ぽん)ここって、もしかしたらヴァンパイアに支配されてるんじゃない?『血の接吻』だよあれ!」
ソウジ:「『血の接吻』ですか」
GM:「だとしたら、閉鎖的だったのはわからないでも無いか」
カレン:「って、えー、かなり昔からヴァンパイアに実効支配されてたの、この街?」
ソウジ:「ならトート家っていうのが実はヴァンパイアということなんですかね?」
カレン:「かなぁ?神隠しも、犠牲者だってことなら話は合うし。でも問題は、なんで今こうなってるかってことよね。なにか事故ったのかなー?」
GM:「生き血を吸わないと生きていけない。か。」
ルース:「あ、そうだよ。生き血吸わないと生きてけないのに、盛大に事故ってるよね。それともどっかに囚われてるとかかなー?」
ソウジ:「ふむ。まだあそこの屋敷になにかいるのでしょうか?」
カレン:「そのほうがまだ希望はあるけどねぇ。お邪魔してみる?」トートさん家に。
ルース:「殴りこむ?」ぐっ。
ソウジ:「じゃあ周りのアンデットはカレンさんお願いします」
カレン:「え、ソウジとランケ頑張ってくれないの!?」
GM:殴り倒す前提なのか。
ソウジ:「あれだけ相手にするの面倒ですし。カレンさんなら何発か撃ってれば殲滅できるでしょう」脳筋。
カレン:「私、グレネード苦手なんだけどなぁ……」魔法制御ないから。
ソウジ:「う~ん。派手に正面突破のほうがカッコいいと思ったんですけどねぇ」
ルース:「そーなんだけどー、カレンおねーさんの魔力がもったいなーい」
GM:5点魔性石なら渡せるけど。(笑)
カレン:「……なんでだろう、正しいけど悲しいわ……」
GM:「まあ、気づかれなければ時間かけたっていいだろ」
カレン:「た、たまにはこそこそするのもいいと思うの!」
ソウジ:カレンさんのグレネードも見たかったなぁ。(笑)
GM:ではちらちら見ながら宿を目指す感じで。
カレン:おー。こそこそ。
ルース:「こそこそ!」スカウトレベル7の動き。
ソウジ:では先に屋根の上走って偵察します。宿屋付近まで。(笑)
GM:隠密どうぞ。振らなくていいよ。気付きようがないわ。(笑)
振らなくていいと言われつつ、ルースとソウジが隠密判定を振る。
GM:おう。その辺のグールやらでは気付けんな。
ソウジ:「ちょっと先行って見てきますよ」屋根の上ぴょん。
GM:「じゃあばれたら適当に暴れとくよ」適当に逃げるとも言う。
ルース:「あっ、ソージずるーい!」
ソウジ:ルースさんも一緒に行く?屋根の上乗れないようなら抱きかかえて屋根の上走るよ。(笑)
ルース:じゃあそれで。
カレン:自由だなぁ。(笑)
GM:散々格好つければ良いと思う。(笑)
ソウジ:「ルースさんも行きたいんですか?ならちょっと失礼」ひょい。
ルース:「ソージ待って待って……」敏捷16でのたのた。「きゃー!?」
カレン:によによ。
ソウジ:「じゃあちょっと行ってきますね~」抱きかかえたままそこらへん偵察に。
GM:やれやれ。
ルース:「もー!あ、でもたかーいすごーい!」きゃっきゃ。
GM:隠密とはなんだったのか。
ソウジ:動きはすごい隠密してるんだよ。(笑)
ルース:こんなことしつつも隠密なんだろう。たぶん小声だよ!
GM:で、正面から見たトート家ですが、門の前を行き交うアンデッドたちが居ます。それなりに数は多いです。門は木製なので、爆破しようと思えば出来そう。
ルース:「アンデッド多いなあー」爆破しろって言ってる。
GM:側面から見たトート家は、それなりに高い塀があります。でも割とこう、植物茂ってる感あるので登ろうと思えばいけなくは無いかも。アンデッドは正面よりは少ないです。
ルース:「あそこ薄そう!」
ソウジ:「あっ。ほんとですねぇ」
カレン:こそこそ行くか ダイナミックお邪魔しますか、の二択か。
GM:宿屋周辺は、瓦礫の山の近くだからかアンデッドの姿は薄いです。宿屋自体はなんか壁にダイナミック体当たりしている岩があったりする以外は普通。路地破壊された時の弊害かな。
ルース:ダイナミック。(笑)
ソウジ:「案外普通ですね。宿屋もしかしたらまだ中もあんまり壊れてないのかな?」
ルース:「宿屋行ってみよっかー?みんな今どこかなー」
ソウジ:「まぁすぐ見つかるでしょう。偵察はこんなものですかね」
GM:一方ランケ達。「とはいっても気づかれなければ動く事もなし」
カレン:「待ちぼうけー?」
GM:「気づかれて無いといいけどなー」
ルース:宿屋で合流しようとかしたらよかったな。
ソウジ:まぁ合流してからアンデットが少ない通りとかを教えて移動しましょう。
GM:驚くべき事に通話のリングなど無い。
ルース:あっほんとだ。うっかりうっかり。
GM:では合流して宿屋に来たでいいかな。
が、時間の都合で宿屋の幻影イベントがはしょられている。誰かの視点で宿の娘が何者かに浚われるシーンだったのだが、泣く泣くカットしたらしい。(GM談)
もしもの時に休めるかどうか安全確認だけして、トート家を目指すことに。
ルース:壁は何メートルぐらいあるの?
GM:塀だからなぁ……(ころころ)出目3で3メートル。くっそ低い。
ソウジ:低いな。(笑)
ルース:ひっくい(笑)
GM:高飛びとかでいいんじゃ。(震え声)いっそ隣の家から幅跳びで飛び込めばいいと思う。何このアクロバットチーム。
一同:(笑)
カレン:なんか雑技団っぽくていいんじゃない?(笑)
GM:これが高レベルか……(笑)
続くアクロバット判定(笑)にも成功し、易々と屋敷に侵入する冒険者たち。
GM:「あっさり入れてしまった」まあ、本来人が入ってくるところでも無いので雑草生い茂っています。表に回るか裏から入り口を探すか。そんな感じかな。
カレン:「さっき見た部屋は2階だったっけ?」
ルース:「入れそうなところはないかなー」
ソウジ:「2階でしたっけ?まぁ頑張れば登れそうですが」
GM:通風口、通称ゴミ出しの扉ならこちらにあった。ちなみに冗談やってましたが割りとこう、どろどろした穢れの臭気を感じるよ。
ルース:「うえーっ、この辺空気悪いよー」
ソウジ:「そうですか?まぁ少しいやな感じもしますが別に。」(穢れ度1)
GM:「まああまりよろしく無い感じだな。」(穢れ度1)
カレン:ライフセンサーしてみる?ダイナミックに行っても良い気もするが。
ソウジ:おぉ~いいんじゃないかな。
GM:するんだったらどうぞどうぞ。
カレン:いきまーす。(ころころ)魔晶石で代用。
GM:屋敷の二階に一つ反応がある。後は敷地外に山のような反応。アンデッドたちかな。
ソウジ:「なんか戦闘以外の魔法使ってるの初めて見た気がしますねぇ。気のせいでしょうけど」
カレン:「ききき気のせいじゃないかな!」目逸らし。
GM:水作ったりしてる。
ルース:「さっきライトぺかーしたよ!」
カレン:とりあえず屋敷の中にごーごー。
GM:屋敷の中は静まり返っている。明かりなどは無い。ただ、静寂だけがあたりを占める。君たちが歩く音だけが、まるで空っぽであるかのような屋敷に響き渡る。玄関ホールには、屋敷によくある造りの左右に二階へと上がる階段が見えた。屋敷の中心へと進むたび、穢れの気配は膨大になっていく。ライフセンサーの反応のあった部屋の前に着いたとき、君たちをその扉は君たちを歓迎するかのように……あるいは飲み込むように口を開いた。
カレン:「……えぇー……入れっての? これ?」
ルース:「うー、ヤナ感じー……」カレンにひっついてる。
ソウジ:「僕もここまで来るとやな空気ですねぇ」
GM:そこにあるのは闇。暗闇ではない。光の介在する余地の無いただの混沌。君たちは見る。その中にあるおどろおどろしい魔法陣を。君たちに背を向けて立つ少女を。
カレン:「……誰よ?」バーサタイル起動しとくかな。
「ひさしぶり―――というべきかしら」
そこには、百合の香りを身に纏ったノスフェラトゥ、ヴァンパリアリリィの姿があった。
リプレイ執筆の仙茶です。読んでくださりありがとうございます。
ものすごく大部分はしょっていますが、『閉ざされた街』シムティエールとシナリオの背景の部分はこれにて以上です。
次からはメインディッシュの戦闘となります。あっ、敵の語る前置きなどはありますが。
最後までお付き合いいただけると幸いです。