二人の王さま
子ども向けに漢字の多くは、開いてあります。読み辛いでしょうがご容赦下さい。子どもには少々分かりにくい部分もありますが親が読み聞かせるのを前提で書いている事を承知してください。
あるところに、一人の王さまがいました。
王さまはなんでももっていましたが、それでもまだほしいものがありました。まちの人々は、この王さまを「ごうよくな王さま」とよびました。ごうよくな王さまは、まちの人々からぜいきんをたくさんとりゆみずのようにつかっていたので、とてもいやな王さまだと言われていました。
またあるところにも、一人の王さまがいました。
この王さまもなんでももっていましたが、それでまんぞくしてなにもほしくないといいました。このまちの人々は、この王さまを「むよくな王さま」とよびました。むよくな王さまはぜいきんをぜんぜんとらなかったので、とてもいい王さまだと言われていました。
ごうよくな王さまとむよくな王さまの国はとなりどうしで、とても仲がわるくいつもけんかをしていました。二人とも考えていることがはんたいなので、あいてのことが気にくわなかったのです。
ごうよくな王さまは言いました。
「なぜむよくな王さまは、なにもほしがらないのだろうか?」
むよくな王さまも言いました。
「なぜごうよくな王さまは、何でもほしがるのだろうか?」
ある日ごうよくな王さまは、むよくなおうさまに言いました。
「おれの国と、おまえの国をこうかんしよう。おまえのつくった国にきょうみがある」
しかし、むよくな王さまはとてもいやがりことわろうとしたのですが、ごうよくな王さまはむりやり国をこうかんしてしまいました。
ごうよくな王さまは、むよくな王さまのつくった国を見ておどろきました。この国ではだれもわらっていないのです。かおだけわらっている人はたくさんいますが、心のそこからわらっている人は一人もいないとごうよくな王さまはすぐに気がつきました
ごうよくな王さまは、むよくな王さまのことはきらいでしたが、いい王さまだときいていたのでよけいにビックリしました。なんでだろうとおもい、なんにちもかんがえましたが分かりません。
むよくな王さまは、ごうよくな王さまのつくった国を見ておどろきました。この国ではみんな一生けんめいにはたらいているのです。てきとうにはたらいている人はだれもおらず、みんなけんめいにはたらいているのがつたわってきました。
むよくな王さまは、ごうよくな王さまのことがきらいでしたが、いやな王さまだときいていたのでよけいにビックリしました。なんでだろうとおもい、なんにちもかんがえましたが分かりません。
二人の王さまは、なんにちもなんにちも考えてようやく分かりました。
むよくな王さまの国は、あしたよりも今がだいじだったのです。なので、人々はとなりの人のことよりも自分のことをだいじにしました。だから、かおだけわらって心のそこからはわらえませんでした。
それはなぜかと言うと、むよくな王さまが人々に「きぼう」をおしえなかったからです。「きぼう」は人々に、よりよいあしたにするためのげんきを出すことができるのに、むよくな王さまは今にまんぞくをして「きぼう」を人々におしえることができなかったので、人々も今にまんぞくをしてあしたのことをかんがえなくなってしまったのです。
ごうよくな王さまの国は、今よりもあしたがだいじだったのです。なので、人々はがんばってはたらいてそのおかねで、王さまのようにぜいたくをしたいとおもっていたからです。
ごうよくな王さまは、あれもほしいこれもほしいと言って手に入れました。それは、よりよいあしたにするために今をまんぞくしなかったということです。人々もごうよくな王さまをみて自分もああなりたいと心に「きぼう」をもちました。「きぼう」ためにどりょくしてがんばって、今の自分よりあしたの自分はさらに王さまにちかづいていると人々はけんめいにはたらきました。
二人の王さまはふたたび会いました。
むよくな王さまが、ごうよくな王さまに言いました。
「あなたの国では、どれだけ人々をはたらかせる気なのですか? とてもかわいそうだ」
ごうよくな王さまは、むよくな王さまに言いかえしました。
「おまえの国では、だれもわらっていない。あの国はなんなんだ?」
二人の王さまの言いあらそいがはじまりました。
むよくな王さまは、
「はたらかせすぎです。だれもわらっていなかったし、みんな死にそうなかおで生きていました」
ごうよくな王さまは、
「おまえの国は人々をかっているのか? つくりわらいで、生きながらに心が死んでいた」
二人の王さまは一日中、いいあらそいしました。それぞれの国のだいじんたちもこまりはてていましたが、王さまどうしのけんかなのでだれも止められませんでした。
だいじんたちは、せんそうになってしまうのではないかとしんぱいしていましたが、さいごには二人の王さまはおたがいをみとめあい仲よくなったのでした。このことには、だいじんたちもおどろいてめがてんになっていました。
しかし、ごうよくな王さまとむよくな王さまは二人とも人々のことを思ってのおこないだったので、二人の王さまはそのことが分かれば仲よくなるのはとうぜんのことなのでした。
ごうよくな王さまは、むよくな王さまのつくった国を「あしたが、たのしみでない国をつくったむよくな王さまは、おかしいやつ」だと思っていて
むよくな王さまは、ごうよくな王さまのつくった国を「いまが、たのしくない国をつくったごうよくな王さまは、ひどいやつ」だと思っていたので、じつは二人とも知らないうちにきらい合っていただけなのでした。
仲よくなった王さまたちは、二つの国をがったいさせました。
国の名まえは、
「しあわせな王国」
にきまりました。
今がたのしくて、あしたもたのしみで、ずーっと心からわらえて、きぼうにみちあふれている国を二人の王さまはがんばって作っていこうとやくそくしました。
そんな国がつくれればみんながしあわせになれるだろうと……
強欲と無欲一概にどちらが良いかは分かりませんが、私は比較的無欲なタイプなので強欲なタイプには憧れます。
私見ですが、強欲な人ってカリスマと実力を兼ね備えているイメージがあるんですよね。人に夢を見せて、グイグイと引っ張って行くのは才能と気力がないと出来そうにないです。
そんなことを思いながら書いてみました。後半は急ぎ足だったので上手く纏まっていないかもしれませんので、思ったことがあれば感想よろしくお願いします。