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魚屋がふざけて言ってみる  作者: valota666
適当に綴る日々
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塩干の理

塩サンマの煮つけ


塩サンマは塩を軽く洗い頭と腸を抜く

適当にぶつ切りにした後で水と酒と色づけ程度の醤油で煮る。

この時ネギや生姜を入れるのもよい。臭みとりになる。

圧力釜があれば利用するのも悪くない、骨まで食えるようになる。


煮あがったら好みで大根おろしやスダチのしぼり汁等を添える。


飯の菜に良い、安酒の友としても悪くない。煮あがったのを米で炊き込んでサンマ飯なんて言うのも乙なものである。

 タイトルは死亡フラグ満載でありますけど私は大丈夫だと……………えっ!契約、派遣期限………


 久方ぶりであります、作者@流しの魚屋でございます。今回は塩干品について騙らせていただきます。


 塩干、鮮魚部門にとっては実は売り上げが多い項目であります。実際の話鮮魚の売り上げの数割から半分はこの部分で占めているのであります、となると私のような職人の出番は…………あるのでしょうか?焼くだけ簡単な塩干品、意外と保存がきいたりするので買いだめに便利、品質も安定していて生ものと違ってゴミが少ない。店から職人が駆逐されるのは塩干の理か………

 塩干とはと聞かれると塩蔵品と干物、そのままでありますね。具体的に言えば塩鮭とかアジの開きとか………店によっては鰆の西京味噌漬け等味付けの加工品も入ります。だけど塩わかめは海藻カテゴリーなのです、不思議ですねぇ…………そして、イクラやたらこが塩干品なのか魚卵なのかは議論の分かれるところであります。そこは大分類塩干品、中分類魚卵、小分類イクラ………だと!外部のお客さんに関係のない話ではあるのですけどね。



 さて、塩干品と言えば干物。アジの干物とか良き物でございます、朝食に一つ焼きたてで脂がジュワジュワしているのを毟りつつ白飯をかきこむ、日本の朝ごはんであります。はい?私の朝飯が立ち食いソバな件について?あれはあれで良いものですよ、寒い朝にあの湯気と匂いは暴力的でありましょう。

 アジの干物なんかも最近ではオランダ産のアジ(タイセイヨウアジ)を使用しておりますが日本のアジよりも脂の乗りが良いのかマアジを利用したものより人気があります。もともと干物は保存食としての面が強いので脂ののっていない魚のほうを利用(脂がのっていると脂が変質して不味くなったり傷みやすくなる)していたのですけど最近では生乾きの状態で冷凍保存していますので逆に脂ののっている方が持て囃されるのであります。脂ののった魚ということで最近では縞ホッケとかツボダイなんかも人気があります。私も大好きですけどね。

 ちょっとした見分け方として脂ののった干物というものは腹骨の付け根、お尻のあたりに白い脂がたまっていますので店で見かけたら確かめてみてください。


 逆にカチコチの干物と言えば身欠きニシンを挙げることができましょう。これもソフトとハードと分けられますがエスエムかよとその表記に突っ込みを入れてはいけません。バイト君(17)がそんな突込みをして家族会議で最終審判されてしまったのは悲しい話であります。

 それはさておきニシンの干物である身欠きニシンは脂が少ないものほど上物とされておりまして、本当に脂は味を変質させるものなんだなという実例でございます。

 身欠きニシンもソフトばかり取り扱っていますと時折「ハードはないの?」と問い合わせの声が御座いまして謝り倒した記憶が御座います。ハードを求められるのは年配のお客様が多いですね。煮て食べたいとか昆布巻きにされるとかニシン漬?あれって買うものじゃなかったんだ………私はあぶって味噌つけて酒のあてにするのが大好きですし甘辛く煮ておいたのを参照の佃煮と一緒に食べるのも捨てがたいのであります。そう考えるとうるめイワシのカチコチなのも煮てみたら美味しそうかな………良い出汁が取れました。



 塩蔵品となれば塩鮭を挙げられるでしょうか、最近では甘塩とか甘口という名目の一塩しただけの鮭が多いのでございますがこれは塩物とするよりも一塩味付ただけの食材として利用されるのがよろしいかとそのまま焼いてよし煮てもよし、フライなんかに利用するのも悪くありません。

 塩鮭らしくないと言われる年配のお客様がおられますが塩にしてから乾かしていない鮭なので全く別の食材なのであります。そんな昔ながらの鮭も最近ではお歳暮くらいでしか見られなくなっております。時代の流れというものなのか寂しいと思うのかはそれぞれということで、あと数十年もすればそんな食材あったのかと歴史の教材になりそうです。


 塩漬けの魚というものは結構種類があるらしく塩サンマなるものを手に入れることがありまして売った時のこと。

 塩サンマという食材を見たことも聞いたこともないお客様が多く古いものなのかとか生がいいとかというお客様が結構見受けられます。船上若しくは港ですぐに加工されるので古いわけ御座いませんし、生生と何でも生が良いというのは悪い風潮でございましょう。焼いてよし煮てよし、どれだけの塩加減という説明をするのが一寸大変でありましたが水分が抜けて味がしみていて良いなという方も

 手に入れたのが一度だけだったのですがもう一度なんてお客様もおられます、どっちかというとサンマが捕れない地方向けの食材らしく輸送のしっかりとした関東では馴染みのない食材だったのであります。

 そんな塩サンマ間違って解凍サンマと銘打って売ってしまったことがありましてしょっぱいとお叱りの声を受けてしまいました。それはこちらのミスでありますので謝りに謝るしかなかったのでありますが、そのお客様血圧の治療受けているらしく塩物が制限されているのであります。


「ああ、塩干お断りって」

「ばろちゃん(仮名)誰がうまいことを(略」


 お後がよろしいようで

 タイトルがタイトルだけどマミってないよ。少々現場が若くてナマイキすぎる売り場長に代わって空中分解するんじゃないかとひやひやだけど大丈夫だよ。

 むしろ私をマミったら崩壊するなんて……なんで私を上に建てようとするパートさん!

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