くれくれくれーむ
鮭のクリーム煮
サケの切り身は一口大に切って塩こしょうしておく。
加える野菜は下ゆでしておく。ホウレンソウ、カブ、キノコ等が旨い。赤くなるけどトマトも良い出汁が出る。セロリや香味野菜等も牛乳の匂い消しに役立ったり味に深みが出るのである。
ホワイトソースを作る。面倒ならば市販のものを利用してもよいし、小麦粉と玉ねぎの微塵をよく炒めてから牛乳で伸ばすだけでも良い。
鮭を一度炒める、別にそのまま入れてもいいけど鮭がバラバラになる。これはこれで野菜と絡んで美味なのだが。鮭と一緒に野菜を炒めるのも一法。
ホワイトソースの中に鮭と野菜を入れて煮込む。固い場合は牛乳で伸ばしたりスープを入れてもよい。コクを出したければとろけるチーズを足すのもあり。
最後に塩こしょうで味を調える。
これはトーストと合わせて食べるのが良い。油脂を塗ったクラタン皿に乗っけて焼き目をつけるのも美味、その時は卵を落とすと更に良いがこるすてろーるが………私は気にしないが。
どうも皆様久方ぶりとなります。作者@流しの魚屋でございます。さて今回はクレームなんていう話を騙ってみたいかなとふざけてみましょう。ちょいとぼやかしたりしているのは特定を防ぐためで私の保身です。
洒落で済むクレームとか大事になったのとか色々ありますが面倒くさいものであります。もちろん私は一介の派遣業、クレーム処理は現場責任者が行うべきものなのです。
一番簡単なのは口で言えば満足するお客様、どちらかというと常連さんが多いですね。
「昨日のアジ脂が乗っていなかったよ。」
「言ったじゃないですか泳ぎアジだって。あれは締まった身を楽しむの。」
「にーちゃんの腹とは違うんだね。」
私凹んで良いですか?
「へこますんだったら腹をへこましな。」
しくしくしくしく………36
食味の文句だけではなく虫出てきたとか異物が入っているとかこれもその場で口で言ってくれるお客様が………よくあるのが今の時期ですと秋鮭のアニサキス。やつらは切りたての時には身に隠れているくせに暫く経つと出てきやがるのです。本当に最初から出てくれれば手間がないのに。
「にーちゃん、糸くず。」
「それアニサキスです。」
「うわぁ、そんなの見たら俺イカ刺し食えなくなる。で、そっちのにょろにょろしているのは?」
「そっちはイカの精莢ですね。」
「精莢?」
「精子嚢とも言われて交尾するときに………」
「イカの金〇?」
「どっちかというと使用済みの……」
「何馬鹿な会話をしているの!」
お客様共々クレームつけられました(笑)
アニサキス以外でもブリ糸条虫や髪の毛が良く挙げられますね。
「にーちゃん、作ったんならば髪の毛入ったというのはないな。」
何故かクレーム対応で謝りにいく羽目になった私の頭を見てしみじみ言うお客様。入っていたのは長い髪、私は基本坊主。禿ではないのだよ禿では(ここ重要!
入っていた系のクレームは商品取替えもしくは返金で大体済みます。入っていない系のクレームというのもこれまた、面白おかしく
「ぶりの刺身柵一本でわさび一袋はないだろ。」
これはわかります。500グラムの刺身に約4グラム弱のわさび、足りませんね。追加しますんでね、はいはい………
「写真と違ってえびの数がたりない。」
どこのカップラーメンですか、それにちゃんと『写真はイメージです。』と記してあるじゃないですか、これは仕様です。うわぁ、某ソフト会社みたいなこと言ってしまった。反省。
「ところでこの切り身にはにーちゃんの愛が」
はいっていません。入っているのは食材への感謝とおいしく食べていただけるようにとの願いです。
「にーちゃんのキャラじゃないだろ。」
ごもっとも
笑っていいのかわからないけど中ったというクレームも時たまありますが調べてみると水下り脂下り酒下り………食中毒菌が出るのが滅多にありません。
「にーちゃん、刺身食ったら下ったけどよぉ。」
「どの刺身ですか?」
「本マグロの大トロ入り、2パック(約300グラム)。」
「ほかに食べたのは?」
「一升瓶開けたくらいだな。」
「病院へは行かれましたか?」
「うんにゃ、いってない。」
「えっと、他の被害者が出るかもしれないから食中毒菌の特定を急ぐために病院へと行ってください。それで何かしらの原因菌が出ましたらこちらで応対いたしますので。そうでないと、こちらとしても下っただけでは応対できませんので………」
読者の皆様にも食中毒の疑いがあります時は速やかに病院へと原因の特定と場合によっては速やかな商品回収等々の手配が必要になりますので。そもそも健康被害系のクレームは病院やら第三者機関を交えて行うものであります、報告の義務とかもありますしね。
件のお客様の場合ですと体調がよろしくない時に食べたから脂下り酒下りを起こしたのでしょうという診断でした。脂の強い本マグロをガツンと食べればなりますよね。
「アブラボウズみたいだな。」
「あれ、流通制限なんで……脂乗って美味だけど。アブラソコムツは流通禁止ね。」
「何事も食べすぎ注意ということだな。」
「まぁ、そうですね。」
「ところでよ、病院行ったら血液検査されてよ、抗体云々というよりも高脂血症だの糖尿が見つかっちまったんだがどうしてくれるんだい!」
そこまでは面倒見きれません。だからって私まで食事制限に巻き込もうとしないでほしいものであります。
そういえばクレームの常連さんみたいな者がおりますが、毎日のように苦情を言ってくるほど文句があるのならなんでこの店来るのだろうと疑問に思ったり
「暇で構って欲しいんでしょ。」
ごもっとも、私が出てきたら逃げる客というのもどうかと
「ばろちゃん(仮名)血みどろ肉片付じゃお客さんびびるって………あと包丁持ったまま表に出たら。」
おっと失礼。でも、こんな温厚(自称)な販売員にビビるなんて肝が小さいねぇ。
「本当にばろちゃん(仮名)は庖丁握っていればまだ手加減できるけど素手だと手加減できないんだからまだ安全なのに。」
お客さん、包丁持っているときが安全って誰が言っていたので?
「肉屋の二番手さんだったかな。ばろちゃん酔っぱらったときまな板入って包丁の柄握りつぶしたって……」
あれ包丁の柄が寿命だったんですよ。まさか居酒屋でまな板ショー(違)してしまうとは大将ごめんなさい。後でボトル入れるから………
お客さんのクレームもあれが欲しいこれが欲しい系のものもあります。とりあえず正月にさんまの刺身とか季節感無視するのはやめてほしいのであります。美味しいのはわかりますけど(笑)
あと勘違い系のクレームだと他店で買った商品を………
「お客さん、これうちの商品じゃないですよ。隣の店ですし……」
「………一緒なようなもんでしょ。」
さすがにカチンと来てしまいますね、私の作った商品と隣の店の………げふんげふん……を一緒にするなんて。思わず切れかけてしまいましたよ。
「ばろちゃん(仮名)切れてて良いのはイカ素麺で切れちゃダメなのは職人さんだろ。」
売り場長、寒いです。頭は冷えましたけど色々と寒くなりました。件のお客さんは顔も見せなくなりましたけどどうでも良い事であります。誤解を招くかもしれませんが言いがかりをつけるお客様にかまけているよりはそれを無視して他のお客様を相手にしたほうが何倍も利益となります。店だって客を選びたいのですよ。
「ばろさん(仮名)前いた店から苦情。」
「どうしたんで営業さん。」
「お客様から『どうしていつもいるニーちゃんがいないんだ』って…………」
しらんがな………
その苦情の応対は他の店に転勤という説明をしたらしいのですが、決着については私は知らない。
クレームって、結局はくれってことなんだろうな。
金をくれ、商品をくれ、構ってくれ……って……
さて、今日はいくらでも仕込もう。




