めそめそ……
クロアナゴのから揚げ
クロアナゴの皮目に熱湯をかけてぬめりを取り切り分け水気をきる。
塩をしてから片栗粉(市販のから揚げ粉でも良い)を振りなじませる。
油は180度くらい中まで火が通るくらいで良い。
好みで山椒とか檸檬をかける。
揚げ立ては麦酒がよい。
余ったら野菜と一緒に炒め物にしても美味。酢豚のたれよりも八宝菜のたれが好み、豆鼓炒めにしてもこれはこれで……野菜と一緒に麻婆豆腐(辛口)の素で炒めるのも捨てがたい。
どもども、久方ぶりであります。タイトルでは泣いておりますけど私は元気です。今回はアナゴについて騙ると致しましょう。
アナゴ、ウナギの親類筋で海の鰻と英語表記されたりする魚であります。食べ方といたしましては煮付けやら天ぷら、かば焼きに寿司だね等と幅広く食されております。八幡巻を忘れている?ノレソレはどうした……はい付け足しておきましょう。
実際の話といたしましては取扱量はそれほど多くない魚であります。ウナギの代用とかチラシ寿司の具材として雛祭り前後に多少売り上げが上がりますが、天ぷらとか寿司ネタなどの総菜向けの魚種でございます。そしてよく取り扱われるサイズというか美味とされているのが30センチくらいのマアナゴ通称メソでございます。メソと言われましても某謎生物ではございませんのであしからず。
あまりにも取扱量が少なく、手に入らないことに業を煮やしたお客様が
「にーちゃん、アナゴ開けないから取ってないのか?」
と偏見を持ってしまわれることはたまにございます。その辺の偏見につきましてはあながちウソとも言い切れない部分がありますので私からは何とも言えません。特に鮮魚歴長い社員さんでもアナゴは開かれた状態で送られることが大半で丸のアナゴを触ったことがないという人も存在します。
「ばろさん(仮名)アナゴのさばき方教えて!」
アナゴなんて言うものは目打ちで頭を押さえてから皮一枚残して一気に引く、その後に骨を浮かすようにはずして終わり。あとは皮の部分を塩でもみ洗いしてから………
「失敗した。」
まぁ、最初の一発目で成功するとは思っていませんが見事にぶっちぎってくれましたね。練習用のアナゴって数ないんである程度形にしてくれないと………結局、数匹程度でものにすることができずその日は終わりました。残りは私がおろすのであります。
「で、若いの。この失敗したのはどうするんだ?」
意外とアナゴは値段が張ります。末端価格でというやつであります。
「え、えっと、安売りとか………」
うんうん、安くてもこれは買わないだろう。
「俺買ってきます。」
それも一つの手だけどそれをやるのは倫理上まずいからな。職場上の失敗を補填するのが曲がりとおると売れてないからと無理やり買わされる社員が出てくるんだから(実際いました)。
「す、すて……」
あうとぉぉぉぉ!
「じゃあ、どうすればいいんだよ。」
ここでいろいろ商品化するのが一つ腕の見せ所。おろすの失敗したのそのまま売るから駄目なのであって失敗した部分をうまくごまかして……………
「なるほど偽装!」
若いのお前いちいち人聞き悪く言うな!ウナギの類は結構その手の話聞くからいろいろ問題なんだ!(アナゴも産地偽装あります)。上手い事裂いてから小口に切って………アナゴ唐揚げ用。
「おおっ!ばろさん(仮名)それカジキとか鮭とかのきれっぱしでも作ってましたね。」
そういうことだ、更には………アナゴを裂いてから皮を引いて……
「刺身!アナゴの刺身ってあったんだ!」
これは鮮度がよいアナゴでないとできないのだが洒落で…………泥臭い気がするんであまり好みでないのだが。
「でもさ、ばろちゃん(仮名)」
どうしたんで売場長?
「うちアナゴの刺身商品コードないよ。」
おうっ!
アナゴの刺身は店の皆様方の商品知識向上の教材となりました。だけどさなんで紅葉おろしとかポン酢が用意されているんだろうか?あと冷酒が足りない。
「仕事中だ。」
何とも世界は酒飲みにやさしくない。
アナゴ……開きで2キロ?ふむふむ、値段も手ごろというか安いな…………一つ手に入れてみるかな。
売場長、これください!
「ばろちゃん(仮名)アナゴ売れないんじゃない?」
このアナゴならば値段も手ごろだし売れなくても私アナゴ好きだから買いますよ。先に言っていた補填とは違うのはあらかじめ申し上げておきます、私はアナゴが大好きなのです。白焼きに山ワサビをつけてというのも良いですし、煮アナゴの皮のトロプル感とか、天ぷらなんかも捨てがたいですけど食べ過ぎてしまうと油で胃がもたれてしまいます。年のせいでありましょうか?
「いや、大皿で食ってバカバカ飲めば誰でも胃が荒れる。」
そういって一緒に食べていた二番手氏、あなたそのあとでラーメン平らげていたでしょうが。
それはさておき、件のアナゴが届きました。
「で、でかい……二キロで一枚とか鹿島灘のアナゴは化け物か!」
って、ネタを明かせばクロアナゴなんですけどね。ふつう思い浮かべるのは20~30センチくらいのマアナゴ、今回仕入れたのはクロアナゴなのであります。大きくて小骨があるからマアナゴに比べて一段落ちるとされておりますけどこれはこれで………
「仕入れた途端のお取り置きとかダメだぞ!」
ちっ!クロアナゴもこれはうまいものであります。個人的には皮を生かして煮付けとか蒲焼とか、一枚あれば存分に楽しめます。そういうことで飾ってみて…………
「うおっ!アナコンダ!」
そんな異名もありましたなぁ、
「大うなぎ?」
いえ、アナゴです。
「うひゃぁ、ヴまい!」
アナゴが違います。それに食べてないでしょうが!そしてなんで微妙に真似がうまいんですか!
「ぶらぁぁぁぁぁ!」
そこまで行くと意味不明でしょう。
その後クロアナゴは普通に売られていきました。
「あの大きなアナゴで一本揚げとかしてみたいよね。」
店長、たぶんうちの店の設備(惣菜部門)を利用すればできなくもないでしょうが、ブログとかにアップするのはやめてください。一時期テラ盛りとかして大騒ぎとなったのの二の舞ですから…………
それ以前にあんな大きな揚げ物崩さずに揚げる技量があるかどうか……食べきれないでしょうが。
「夢ないこと言うなよ、ばろちゃん(仮名)。だったらばろちゃん(仮名)はどうするんだよ?」
私?私は大きな蒲焼で…………前見たテレビで大うなぎのかば焼きにあこがれて食べてみたいなと……
「作ってみたいじゃないところにらしさが………」
「それも面白そうですね。かば焼きのたれは…………ウナギ用のを流用して…………」
なぜ作る前提となっているのかがわからない。それに私が取り置いているのだけど………
「うちの店基本的に従業員の取り置きは禁止されておるんだけど。」
こういう時に振りかざしやがって……で、仕事は大丈夫なのかよ!
「今日は近所の店がセールしているから暇なのよね。あとで包丁研いでおいてもらえる、アナゴのかば焼き作っておくから。」
おぃっ!
クロアナゴは店長のおごりでおいしくいただきました…………
ちくせう
久方ぶりであります、ノレソレを見つけたので綴ってみた。どうしてノレソレ見てクロアナゴなのだろうと思うのだが気にしてはいけない。
とりあえず昼酒である。




