多幸を祈る
たこの炒め物
タコはぶつ切りにする。そのとき頭の部分は一度洗ってエビカニの残骸とか墨とかを取り除いておくとよい。
きゅうりは乱切り(水が出るのが嫌ならば皮を半分くらい剥いてから種の部分を取り除く)、山芋は皮をむいてから適当な大きさに叩き割る。
ごま油を熱して、ニンニク、鷹の爪を熱して香りが移ったら先ほどのきゅうり山芋を炒める。軽く火が通ったらタコを加えて油を絡めるように炒める。
味付けは塩コショウで。あまり火を通しすぎないのがミソ。
お好みで味付けにキムチの素とか使っても美味。
多幸焼きというものを見るにタコというものは日本人にとって幸いをもたらす食材なのかなと思ってみたりしますけど、外国では悪魔の魚。実は日本というものは悪魔崇拝国家なんじゃないのかとつい思ってみたりして・・・・・・・・
今回は半夏生の時期に合わせてタコの話題を騙りたいと思います。
「はろちゃん(仮名)半夏生とは何かな?」
はい、半夏生とはドクダミ科の多年生植物でこの時期になると白い葉を見せる植物です。結構シェードガーデンに映える植物なので育ててみるのも悪くないと思いますけど・・・・・・・・・
「そっちじゃなくて!」
サトイモ科の半夏と呼ばれる植物の生える時期とされておりまして、七二候の一つ『半夏生ずる』の語源となっております、この時期に田植えを終えていないと不作となると言われていたりこの時期の雨にあたると体に悪いと農作業を休む農家さんもありますね。そのためか小麦の餅に黄粉つけて食べたり鯖を振る舞ったりする地方があります。
「なんでタコに触れないように説明するのさ!俺達の今日の売り込みはタコなんだぞ、パートさん達を混乱させるような説明をするんじゃない!どうしてタコをうまく避けるんだ!」
そりゃ、関東地方の風習じゃないのに無理やりこじつけているのが不自然だからでしょうが、だったら饂飩を振る舞う風習があると
「それこそ四国の一部だろう!奴らは年中饂飩を振る舞う風習があるから時期ネタとしてはインパクトが薄い!それに俺達は魚屋だ!饂飩については和日配に任せればよいのだ!」
饂飩ふるまいのインパクトが時期ネタにするには日常すぎるのは否定しませんけど・・・・・・・・饂飩は七夕の時にでも・・・・・・・・・・・
「その時はタイ素麺で仕掛ける。」
さいですか・・・・・・・・・・・・
タコという食材は食べる地方が限られておりまして地域色の強い食材であります。世界的に見ましても食べる地方は日本に朝鮮半島、欧州地中海沿岸位でありまして他の地域では悪魔の魚だの教えに反するだのと食べられることがあまりないです。
と言ってもなんでキリスト教圏である地中海の連中が普通に食しているのだろう?彼等の信仰と食生活の差というのは中々面白いものでありますが掘り下げると何か出てきそうなのでやめておきます。
「ばろさん(仮名)これおいしいけど何?」
ムスリムの何某君、貴方当然のように居酒屋に入ってタコのから揚げつまんでいるのはどうかと思うぞ。タコのから揚げがおいしいのは認めるけど・・・・・・・・・・・そして私のつまみでしょうが!
「ばろさん(仮名)貴方食べてるのみるととてもおいしそうに見える。そして貴方食べてるのにははずれない。まずいものはちゃんと言ってくれる。」
だから、タコがまずいんだって!ハラル(イスラムの食戒律)的に!!
「でも、おいしいよ!」
突っ込みを入れている私がおかしいのでしょうか?
そしてタコと聞いて箸を避けているのが亜米利加人。イカは食らうのにどうしてタコ食べないんだろう?
「だって、タコってあれだろ!女の人の(以下略)、日本の絵や漫画で・・・・・・・・・」
誰だ!北斎の『海と海女』輸出したバカは!
「友達が日本のタコ作品を探しているんだけど何か良いのない?」
秋葉行ってきなさい。
さて、タコの調理と言えばゆでたのをぶつに切って刺身だのサラダだの関西系のお宅ではたこ焼きにするくらいがせいぜいでしょう。タコ焼き機がないことに驚かれる関西からの出向社員さんもいましたけどタコ焼きって店で焼いてもらうものですよねぇ・・・・・(その後関西系の人たちからたこ焼きについて熱く語られました。)
あとはミズダコの刺身はあるけどあれは冷凍物が主流だし、生を扱うなんて・・・・・・・・・・・送られてきました。
「ばろちゃん(仮名)後よろしく!」
うん、足だけなのに張り付いたり蠢いていたりするのはダメらしい・・・・・・・・・・って、カマトトぶっているんじゃねぇ!
「単純にさばき方がわからないの!」
それなら納得、覚えておく?覚えると仕事増えるから良いって・・・・・・・・・・・・・私の仕事が増えるじゃないですか。
「残業代出るでしょう。私は扶養の範囲内だからね。」
逃げやがって・・・・・・・・
そして興味深そうに水だこ(生)を見ている韓国系のお客様。
「流石にサンナクチ(タコの踊り食い)は無理そうね。」
それは流石にお勧めいたしません。のどに閊えそうで・・・・・・・・
「テナガダコ入らないの?」
生息域が違いますしねぇ・・・・・・・・マダコならまだ手に入りますけど・・・・・・・・
「マダコはねぇ・・・・・・」
タコにもこだわりがあるようで。
魚屋的にはマダコが主流でありまして、現在ではアフリカから送られてくるのが主流でございます。モーリタニアとかなんだとか・・・・・・・・・どこだろうと思ったりもしますしご質問もいただきます。って、言うかそこまで分布広げているんだスゲーというしか言いようがありません。
国産物との違いはとご質問をいただいたりもしますがわかりやすい見分け方といたしましては、色合いでしょうか。アフリカ産には薄い色合いなのに対して国産のは濃い小豆色、これは煮方の差なのか地域集団の差なのかはよくわかりませんがこれで見分けられます。(ただし無着色の物に限る)勿論活物は国産しかないのでご心配ならば活物をご購入されて自分で茹で上げるのも一興かと・・・・・・・・
「普通手に入らないでしょうが!活物なんて!それに茹で方なんて知ってるのかよ!」
そりゃ入手困難なのはごもっとも、活物を仕入れても網から逃げ出すは墨吐いて売場汚すは!加減の知らないガキ共のおもちゃにされる・・・・・・ガキだけじゃなくて老人共も買わないのに突いたりするよなぁ・・・・・・年取ると子供に返るものなのだろうか?
「にーちゃんに言われる筋合いはない。売り場と客で遊んでいるのは分かっているんだぞ。」
ばれておりましたか。因みにタコの茹で方は頭をひっくり返して〆てから塩で揉んで汚れと滑りを取っていただきましてから、沸騰したお湯に塩を三%ほど加えまして足先から投入して茹で時間二分。半生状態の美味しいゆでだこの出来上がりです。因みに足が速いのでお早めにお召し上がりください。
マダコ料理かと頭を抱える調理提案係のおばちゃん。どこぞのスーパーでは私のレシピ等と公表されておりますがたいていは調理師さんとか栄養士さんみたいな方がレシピなどを用意してくださいます。
店のオリジナリチー出したいからって売り場長とおばちゃんが頭を抱えて考案しようとしても中々出てくるものではないでしょう。そこでなんで私の顔を見るのですか?
「そりゃ、ばろちゃん(仮名)が色々食べ歩いているからだよ。何かいい案あるかい?」
そりゃ、タコブツに、サラダにタコ焼き、明石焼き、タコ飯は干したタコがあると一番なんだけど・・・・・あとは、最近流行のオリーブオイル煮だとか、から揚げ、おでんだと飯蛸がいいけどタコの足入れるのも悪くないな・・・・・・・・・まだ、こんなに種類あるじゃない。
「・・・・・・・・・・・」
ダジャレがお気に召さなかったようで、結局のところ新商品のドレッシングと合わせていくことになりました。私いらない子?
「いや、お客様にメニュー提案出来るのは貴重だ。流石にタコみたいに赤くなるまで飲み歩いて丸くなっているのは伊達じゃないな。」
うるさい!この野郎、いつか〆る。
そして半夏生の当日。売り込むタコが多すぎる。
「あれ?どうなっているんだ発注!」
「うわぁ!タコの発注少ないって本部から追加分が・・・・・・」
本部ェ・・・・・・・ 迷惑かけてくれてありがとう。
「いや、ネタが古いし、そのタコ違うし、使うところが間違っているよ!」
本部のタコ野郎・・・・・・・いつかタコにしちゃる!
「包丁持っているのが言うと怖いからやめて!」
タコは何とか売れました。他部門のパートさんたちありがとう。
タコの値段の高さにびっくり、最近の相場は海産物は上昇傾向にあります。
そもそも半夏生にタコという風習根付いているんですかねぇ?
タコキムチと山芋の炒め物で一杯やってます。




