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魚屋がふざけて言ってみる  作者: valota666
適当に綴る日々
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サヨリのような君

サヨリのフライ


サヨリは三枚におろして塩を振っておく。

サヨリを爪楊枝などでくるくるにまいておいて、衣をつける。

油で揚げるが衣が固まる程度を限度しておく。

塩で食べるのが良い。山椒塩だと少し味が勝ちすぎるか、抹茶塩も悪くない。


揚げながら食べているのも悪くない。巻くときに大葉とか梅等を間にするのも悪くないがまずは素材の味わいで。


ビールに合う。

 タイトルで言われるサヨリちゃんとかサヨリのように愛らしいいね等と女性に向かって言うのはやめましょう。裏の意味では腹黒なこと言う意味合いもあるのですから、決して通っていたスナックのサヨリちゃんの計算された媚にお金貢いでいた何ことはありませんのでお間違いなく。

 冒頭部分だけで出オチになってしまいそうですけど今回はサヨリの話を騙りましょう。


 サヨリ、春の魚であります。時折思い出したかのように入荷があるけれども高級魚であるためか手を出す人がいない。おかげで刺身として作るのが定番となっているのであります。透き通った白身と真ん中の銀というか黒の線のアクセントは見るからに旨そうで白身が好きなお客様ならば飛びついてきそうであります。値段を見て手を引いてなんていう笑い話は置いときますけど(笑)

 個人的には塩焼きや天麩羅にするのも好きですね。昆布締めも常温の徳利と共に楽しむのは悪くありません。

 名前は知られていますけど食べたことがないというお客様も結構見られますので見るだけ見て珍しいねと言われましてそのまま御帰りなんて言うのはよくあることでございます。色々食べ方とか聞いた後でそれは一寸つれないのではないでしょうか?鉛筆(小サイズ)が一尾300円くらいだから買えなくはないけど買いたい値段ではないのでしょうが。美味しい魚でありますのに。かんぬき(大サイズ)だと1000円超えたりしますけどね実際に。


「で、ばろちゃん(仮名)丸で売れないからって刺身に回すのはどうかと思うよ。」

 そう言いながら足りない材料の代わりに容赦なく入れ込んでいるパートさん(刺身担当)が言うべきじゃないでしょう。値段が合わないでしょうが!

「ふんっ!あるから使う。いつも同じね等と嫌味言われるのは気に食わないのでね。」

 そりゃわかりますけど、せめて安い盛り合わせではなくて高い盛り合わせに入れてください。それ一山で刺身の代金半分持って行っているじゃないですか!マネージャーに嫌味言われるの私なんですよ。

「気にしてはいけないよ、どうせばろちゃん(仮名)のことだから他で元を取っているでしょう。」

 冗談!今日の素材は高級魚ばかりでどこから持っていこうか悩んでいるんですから。わらさ(天然ブリ)は色変わるし、ソゲ(平目)は刺身用にしてたら持ってかれてるし、アジは小さいし・・・・・・・って、食うな!

「味の勉強よ、サヨリのお替りよろしく!」

 味見ってどんだけ食らうつもりだ!そしてホットデリカ!(温惣菜)何パートさんと結託しているんだ!

「サヨリは天麩羅だろ。」

 そこは否定しないけど店に出せないだろう。

「もちろん俺たちが食う。ばろさん(仮名)にもちゃんと出来上がり寄越すから。」


 ちなみに店に出せないのは原材料とかの表記ができないものは基本出してはいけないからなのです。これが個人店舗や小規模チェーンでしたらある程度の裁量でやれるのですけど、大規模なチェーン店ですと足並みをそろえないといけない部分がありますから個人プレーは嫌がられます。

 元々素人にやらせるから手の込んだものを作らせずにマニュアル通りが一番だったりするのであります。手の込んだものをということで技術力を持った私のような職人が雇われたりパートさんを仕込んだりするのでありますがパートさんの離職率は意外と高いですし使えるようになるまで我慢できずに適当なところで終わっているというのが大半であります。派遣の職人さんにしても玉石混合で使い勝手の問題もあります。社員にしても技術を学ぶのが中々機会がなくて頭数だけそろっているなんて言うこともございます。どこの店がとは申しませんけど・・・・・・・・・・・・婦人肌着から来た社員が大して教育も受けずに何ができるという話であります。でも婦人肌着かちょっと・・・・・・・・

「でもさ、客のほとんどがおばちゃ・・・・・・・げふんげふん。」

 余り羨ましくなさそうでした。若い女性だとオシャレな物を求めてとかでしょうし、今の日本の年齢分布だと・・・・・・・・・・・ですしね。


 さて、話を戻しましょう。サヨリの塩焼きを前にして

「白身がおいしいいねぇ。」

 サヨリを出してくれている居酒屋、チェーン店ではなくて親方とおかみさん、バイトの子で切り盛りしているこじんまりとした店であります。最近ではこういった主人の個性が出る店が少なくて美味しい物を食べる機会が少なくなっております。大事ですよ、個人の裁量でいろいろできる店って。

 そういうことを言っていると私がアルコール漬けであることがばれてしまいそうでありますが、当時店にいた若いのを連れて飲むというのもよくある事でありましてノミニケーション(死語)とか言いながら愚痴を言い合ったりするのであります。

「サヨリは色白でバイトちゃんみたいだね。」

「あら、若手さんあたしそんな腹黒に見えるかしら?」

  若手君がサヨリの白身とバイトちゃんの色白な肌をかけてほめたつもりだったんですけどサヨリの別名【腹黒】であると思われて笑顔で返されてます。始まる前に終わったな若手君。

 

サヨリが腹黒と言われるのはサヨリの腹膜(内臓を包む膜)が黒いからであります。身の白さと相まって見た目より腹黒だという意味合いで「サヨリのような」と女性に対して言うことがあります。


さて、来月からは別の店。酒でも飲んでいよう。

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