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魚屋がふざけて言ってみる  作者: valota666
適当に綴る日々
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雪が降るお客が来ない

煮凝り


魚の煮物の煮汁を器に入れて雪の中に埋める。量にもよるが一時も置いておくと冷えて固まる。

針生姜を添えて。


熱燗とともに雪見酒のあてによい。

 このタイトルをリズム付けて読んではいけません。カスラックが襲い掛かってきてしまいますので(笑)取り敢えずタイトルはどうでもよいのですが対応するネタというモノが思いついていませんので雪の日のスーパーの裏事情でも騙ってみましょう。


 他の地方ではいざ知らず関東地方と言うのは雪の対策がとてもなされておりません。年に数日程度ならば不便を耐えればいいやとか雪が降ったらお休みで・・・・・・・・・・・なんて南の島の大王様みたいなことを言えればよいのですけど客商売。雨が降ろうが槍が降ろうが店を開ける事が第一なのだと言われれば逆らう事が出来ません。私時給制なので休んだらすぐに酒代がなくなってしまいます(笑)一時間稼いでも一升分にもならないなんてなんて世知難いことなのでしょう。


 さてと雪が降ると客は来なくなります。これはお客様の基本的な移動手段が雪に弱い事に関係しております。基本首都圏のお客様は公共交通手段と自転車が移動手段となります。どこぞの限界集落の爺婆みたいに週に一度来る移動販売車両をあてにするなんて事は致しません。最悪でもネット通販をあてにするのが都会の流儀なのであります。

 雪が降りそうとなればネット通販の比率が上がるのですけど生鮮に関していえば雪が降ると品物が入りませんのでごめんなさいするしかないのであります。いつでもあるという前提はやめてほしい物でありますがお客様が期待するのは否定できない物であります。



 雪の日に出てくるのは難儀であります。鉄道各線は雪ともなれば当然の権利として運休をするのでありますから・・・・・・・・そのせいで運送業者もパートさんも出てこれなくている人間とある商品だけで応対しなければならないのです。客も来ませんけど(笑)

 そういう日に限ってあれがほしいこれがほしいというお客様が・・・・・・・・・

 お客様の側からすればあって当たり前という感覚があるのでしょうが、現場側からすればないものはないのじゃという意見が大半であります。最近では天気予報の精度が高く雪の予報がある程度当たるのでありますがそれでも食中毒除けのおまじない程度なのであてにしすぎるのはだめなのであります。加工食品とか日持ちのする食材あたりならばある程度量を前倒しで仕入れて置いたりとできますが、生鮮特に鮮魚だと前倒しで仕入れるにしても限度がありまして日頃の一割増したとか二割増し程度、倍仕入れるのは怖すぎます。雪の前の日だからって極端な売れ方の差がありませんし、冷蔵庫の中を漁れば一日くらいは大丈夫な程度の備蓄があります。次の日来れそうもないから少々買い足しておくか程度の感覚でありましょう。あまりやりすぎると怖いので保存のきかない生物は少々増量する程度にいたしまして冷凍ものとかでごまかせる体制を作るのであります。ちなみに雪の前日の売り上げは平日より売れた程度で重たい物が(お米とかお酒とか)少々売り上げを伸ばした程度である。鮮魚?聞かないでください。

 元々派遣の私に数字の話を・・・・・・・するなって言っているだろう!売場長!耳をふさいでいる手を押しのけるな若手!私に数字の改善策を聞くんじゃねぇ!元からの客数を増やす戦略から始めろって言っているんだろう!一人あたりの売り上げとか不景気で上がらないんだから!


 そして当日、春は名のみの大雪で私も始発で出勤いたすのですが電車が止まるは路上は雪で自転車が無理だとか・・・・・・・・・・・・一番悲惨だったのが途中で雨に変わって路上冠水。

 雨が降って雪が溶けたのはいいのですけど雪が固まって排水溝の入り口ふさいでいるんです。おかげで水浸し・・・・・・靴が一足ダメになりました。はい、長靴で行けとか作業用の白長靴を持ち帰れとかという意見はいまさら聞きません。ちなみに一時間で着くところを三時間ほどかかりました。遅刻です。

 来たところで社員はなく、パートのにーちゃん(徒歩10分)とおばちゃん(徒歩15分)がいるだけです。ちなみに私は徒歩8時間ほどです、歩きませんけど。売場も切る物はあきらめてパック物を中心で進めております。

「ばろさん(仮名)助かった!切る物よろしく!」

 はははっ!私の包丁さばきを目にするがよい!とはいえ、絶対客の入りが見込めない日でありますので物量よりも種類数を前提として切り込むのであります。そうしている間にも荷物が届いて・・・・・・・・・・ませんね。

 ピロリン☆

『あれこれとどれそれは雪のために配送できません。(意訳)』

 わかっていましたけどね。ところで商品の遅配とかは理解しておりますがそれでも求めてくるのがお客様。この日はネット配送の申し込みが倍だそうで・・・・・・・・・

「店長、この雪の中で配送していたら事故の元なのでごめんなさい。」

 と配送業者の親玉がギブアップ。雪かきもしていない状況、雪道対応のタイヤにしていても事故やら遅配が見込まれる状況で断念するのは当然であります。それでもネット配送担当がぎりぎりまで状況を見て

できそうならばと言っていましたが雪道の状況が思ったよりも酷く結局は断念であります。

 わざわざ出てきたネット配送担当のパートさんやらのブー垂れる声はともかく、欠品とか代替え品とかを用立てたこっちには何もないのかな?何もありませんでした。せめて戻す時にこっちも手伝ってほしいと思うのは私だけではないはずで断りの電話とか入れて売るのは担当社員だけで十分でありますし出てきてくれたパートさんをただ返すのももったいない。わざわざ出てきてくれたのだからと普段できない部分の掃除とか検品に駆り出されるのでありました。

 ところで社員連中は出てこないねぇ・・・・・・・・

「どこそこの売場長は電車が動かないので駅で立ち往生!」「あっちの古株さんも同じ路線だ。」「・・・・・・・は車で出ようとして断念。電車で出直すそうです。」「無茶しやがって・・・・・」

「あっちの売場長は歩いてくるのでいつのになるか・・・・・」「勇者(ばか)がいるぞ!」

 あっちもこっちも売り場は欠品と遅配の混乱であります。物もなければ人もいない、どうしたものでありましょう。

 パートさん達も順調に遅れたり・・・・

「雪が降っているので休みます。(自転車10分)」

「寒くて腰が痛くなりました。(徒歩5分)」

「こんな日に店を開けるなんてお客来ないので休みます。(自転車15分)」

「長靴ないので(徒歩10分)」

「風邪ひきました。(自転車20分)」

 うんうん、お前ら近いだろう!堂々と雪が降ったらお休みでって、どこの武蔵〇線だ! 

 テナントさんも

「美容師さんが来ない。」「先生が出てこれないから・・・・・・・・」「商品がない。」

 一部休業でした。一人二人で成り立っているから無理なものもあるよね。うんうん。

「でもさぁ、あっちの商業施設さんは従業員の安全第一と言って昨夜は早じまいして今日も休業しますって・・・・・・・・・・」

「いうな、うちは自社店舗じゃないからオーナーさんの意向が・・・・・・」

「オーナーさんに休ませてくださいと言えないものねぇ・・・・・・・・」

「あと本社サイドの判断もあるからなぁ。」

 某商業施設がうらやましかったのは否定できません。


 大雪ということで一部社員が詰めているのはよくあることで私も雪かき要員として残ってほしそうにしていましたけど私時給ですからねぇ・・・・・・サービス残業の社員さん達と違うのだよ、ふっ!前日からの雪かきはしっかりといたしましたけど。

「俺寝てていいかなぁ?」

「売場は面倒見ておくから若手さんは仮眠とってきなよ。会社待機していたのでしょう。」

「暖房入れて毛布もあったけど、隣で宴会している奴がいて寝れなかった。」

「よくあるよくある。若手さんじゃ物申せないものねぇ・・・・・」 

 その日は遅配欠品欠員の中で何とかやりくりしているのでした。


「にーちゃん達わざわざ来たの?ばかみてぇ!こんなときじゃ誰も来ないだろう。」

 お客さんのこの一言で撃沈した派遣がいたかどうかは秘密である。


 この雪の影響というのは馬鹿に出来ないもので数日ほど入荷のない品物があったりで泣きを見たのは実話であります。

パートさんの欠勤理由は実話です。


そして、裏話としてその日休みだった若手社員さんが

「雪の日に休みなんて俺勝ち組!」

とメールしたことから、次の雪予報の時に泊まり込みの当番を押し付けられたなんて言う実話があったかどうかは秘密にしておく。

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